Vol.56 新日&全日武道館大会とその後の事件


 6月2日新日の武道館大会を観に行って来ました。ドーム大会のような花道を作り、北側を一面つぶしていました。それでも客席には空席が目立つという寂しい状況でした。G1の先行発売もありました。最終日などは早くから並んでも買えないという時期もありましたが、試合後でも充分に買える状況でした。武藤も橋本もいないという状態もありますが、かなり厳しい状況です。
 私は昔からの新日ファンですが、今の新日には愛想が尽きています。話題性だけでドーム大会を連発して、中身は何もなし。ストロングスタイルが聞いて呆れます。小川対橋本で少しはいい方向に進んでくれるかと思えば橋本引退騒動のゴタゴタ、あげくの果てに長州が復帰で大仁田戦では、ファンが離れて行くのも当然だと思います。話題に踊らされるミーハーな人たちもいるでしょうが、本当の新日ファンはどんどん離れているはずです。新日がプロレス界を引っ張っているのは事実なわけで、その新日がこんな状態では、プロレスの未来はありません。
 さて、この日の武道館大会ですが、実はとても良かったです。ジュニアのリーグ戦では大谷が藤田と、金本が浜田と、新日vsみちのく対決となりました。そして相変わらずのレベルの高い好試合を見せてくれました。かつての闘魂三銃士でただ一人頑張っている蝶野は、売り出し中の吉江と対戦。かなり押されていましたが、インサイドワークで逆転勝ちし、渋いところを見せてくれました。村上戦で大化けした飯塚は永田に勝利し、これぞストロングスタイルという試合を見せてくれました。ガンのため長期欠場したいた西村が復帰し、藤波と対戦。敗れはしましたが、無我の精神の詰まった試合を展開しました。福田雅一、ジャンボ鶴田と悲しいニュースが続いただけに、西村の復帰は本当に嬉しい話題です。
 そしてメインの健介対中西は、ド迫力の名勝負でした。今年のベストバウトと言ってもいいほどです。こうした試合を地道にやっていってくれればいいんです。やれば出来るじゃないかという感じです。健介のファンの目をリング外からリングの中に向けさせるという発言には大賛成です。言葉通りに素晴らしい闘いを見せて欲しいと思います。
 武道館大会の2日後、ケンドー・カシンが素顔の石沢常光としてPRIDEを観戦に訪れ、ヘンゾ・グレイシーに対戦を要望されて握手を交わしたことが話題になっています。
 まだ参戦どうこうは早すぎますが、個人的にはカシンのPRIDE参戦は大賛成です。飛びつき逆十字を決めてくれたりしたら拍手喝采です。別に引き抜きとかじゃなくて、新日も出る。PRIDEも出るでいいじゃないですか。プロレスラーならバリトゥードだって特別なことをしなくても勝てるはずなのだから。
 藤波の「決定権は俺にある」発言にはがっかりしました。枠にとらわれず、ファンが望むカードをどんどん提供すべきだし、もしカシンがバリトゥードをやりたいのなら、自由にやらせるべきです。
 さて、一方、全日も6月9日に武道館大会がありました。残念ながら仕事で観に行けなかったのですが、世界タッグ王者決定トーナメントや、小橋組対秋山組で、いつもの様に盛り上がったようです。
 ところが、やはり武道館の2日後、とんでもないニュースが飛び込んで来ました。三沢が社長を解任されていたことが明らかになり、小橋、田上、百田らも取締役を辞任。結局、川田と渕以外の全選手が全日本を退団し、新団体の設立を発表するに至りました。
 全日プロは、常連外人選手は参戦して7月のシリーズには予定通り行うことを発表しましたが、日テレの中継は打ち切られ、社員も大量に退社するというピンチに見舞われています。
 三沢の退団の理由は「全日本プロレスが持つ伝統と私がこれからやろうとするプロレスの間にギャップを感じ、このままでは私の理想とするプロレスを貫き通すには。馬場さんが作った全日本プロレスのプロレスらしさを壊してしまうんじゃばいかと思い」というものでした。対して残留を決めた川田は「全日本プロレスという馬場さんが作ってきた名前をちょっと捨て切れないなというのが僕にはあったんで」と語りました。
 いろいろと憶測が飛び交っていますが、詳しい事情は分かりません。三沢が正しくて川田が間違っているわけではないし、三沢が間違っていて、川田が正しいわけでもありません。馬場元子夫人が悪いわけでもありません。
 感覚的には三沢の主張は分かる気がします。離脱も仕方なしという気がします。ほとんどのファンはレスラーでないフロントの人間よりもレスラーに同調する傾向にあります。三沢にほとんどの選手が同調したのは本当に良かったと思いますし、応援しようと思います。きっと三沢の目指す理想のプロレスを見せてくれると思います。逆に川田と渕しか残らなかった全日本の前途は暗いと言わざるを得ませんが、こちらも全日本プロレスをしっかりと守って欲しいと思います。
 本当に信じられない出来事が起こってしまいました。こうなると逆に7月23日の全日武道館大会は見逃せないと思っています。三沢派の旗揚げ戦も見逃せません。とにかくリング外のドロ試合は避けて、リングの中で答えを見せて欲しいものです。ファンもリング外のゴタゴタにばかり目を向けず、しっかりとリング内の闘いを見るべきだと思います。