増刊号その2 ミレニアムG1観戦記


 今年もG1に行って来ました。早いものでもう10年目、両国での大会は欠かさず観に行っています。それはとにかく第1回目の感動が忘れられないからで、それ以降、あれほどの感動はなく、だんだん期待も薄れてきて、今年でちょうど10回目だし、来年はどうするかなあという感じになっていました。ファンの思いも同じようで、最終日も含めて3日間とも満員とはいえない入りでした。
 それでも3日間を通じてなかなか良かったと思います。こういう試合をしてくれるなら、来年も観に行こうと思います。結局、健介と中西の優勝決定戦となり、健介が優勝しました。G1というのは得点の進行が楽しみの一つであり、応戦している選手が勝つか負けるかで、満足度もかなり違って来ます。私個人としては応援していた結果にならなかったのでつまらなかった部分もありますが、試合内容には満足しています。特に飯塚や西村のファイトには共鳴できました。それから中西は本当に良くなりました。できれば優勝して欲しかったのですが・・・。
 最近の新日本はリング外の話題ばかりで、リングの中の闘いを楽しめる数少ない場がG1だと思っていましたが、最後の砦が守られたという感じです。
 今年のG1の特徴は、まず参加選手が20人と過去最多だったことですが、多過ぎではないかと思います。いくらなんでも鈴木健三はないでしょう。第1回のG1があれほど素晴らしかったのは、当時の闘魂三銃士がトップに立ったという歴史的なドラマがあったこともさることながら、新日のトップ中のトップが総当たりのリーグ戦を行うというところにインパクトがあったのです。規模の拡大もいいですが、少数精鋭にしてもらいたいと思います。
 地方での開催も拡大しました。これは地方の人にとってはいいことなんでしょうね。それからジュニア選手の参加もありましたが、これも良かったと思います。普段はコスチュームに隠れているのがもったいないくらいのライガーの上半身が見れただけでも価値があります。
 全日本の渕が来場したというのも画期的な出来事でした。ただ全日との交流問題、橋本の復帰問題といったリング外の話題をG1に持ち込んで欲しくないと思います。橋本が出るなら自分の枠をゆずるなんて発言をする社長には、はっきり言って出場資格がありませんし、応援する気にはなれません。
 本当はいつでもリングの中の闘いで勝負してもらいたいのですが、今の新日本には愛想もつきて、高望みをする気はないので、せめてG1だけは純粋な個人闘争の場として残してもらいたいと思います。
増刊号その1 ノアの方舟に乗った

 遂にプロレスリング・ノアの旗揚げ戦が行われました。チケットが買いづらいことは予想していましたが、夜中から並んで何とか立ち見席が買えました。当日も朝9時から並んで、何とかいいポジションを取れました。これだけ苦労したのは、会場が後楽園よりも小さいディファ有明だったからです。新しく雰囲気もいい会場ですが、交通の便も悪いし、段差が少なく見にくそうです。事務所があるくらいですからつながりがあるのでしょうし、9月にもディファ有明での開催が決まっているので、これからもここがメイン会場になるのでしょうが、もっと見やすくて、チケットも買いやすいところでやってもらいたいと思います。
 いろいろと新しいこともありました。入りきれなかった人のために場外に大型スクリーンが用意され、試合の模様が中継されました。リングは三沢カラーのグリーン、パンフレットの表紙もグリーンでした。花道もあり、入場式もあり、紙テープが飛び、火が吹く演出もありました。選手のコスチュームと入場テーマもかなり変わりました。大森、高山、浅子のノーフィアーがそろって金髪にし、白のショートタイツでイメージを一新。秋山も白のショートタイツでした。田上は「仁義なき闘い」のテーマ曲でした。
 プロレス団体の中で唯一、開始は遅れず、合間も間延びもせず、まともな進行だった全日と比べても、まあ変わらない進行でした。小橋、秋山、永源のテーマ曲は変わらず、第2試合はラッシャー組対永源組の楽しい試合というのも変わらず、ラッシャーのマイク・パフォーマンスも変わらずでした。三沢の「スパルタンX」も変わらずでした。やっぱり三沢のテーマ曲はこれ意外には考えられません。最後に三沢が入場し、「スパルタンX」が流れたときの盛り上がった雰囲気は、なかなか良かったです。
 試合の方は特に今までと大きく変わったところはありませんでした。もちろん悪くはありません。今まで通りのいい試合でした。旗揚げ戦で全選手がはりきっていたでしょうし、立ち見で疲れていたということもあるでしょうが、メイン以外は少し長すぎたような気がします。
 メインのタッグマッチは、三沢&田上対小橋&秋山になりましたが、開始からわずかで、いきなり秋山が三沢を締め落とし、2本目も秋山が田上をフォールして、小橋&秋山組の勝利はなかなかインパクトのある展開でした。秋山は本当にえげつなかったし、強かったです。試合後は小橋と握手しながら、バックドロップで投げ捨てるという無法ぶりで、これも良かったです。対して、田上がパッとしませんでした。もっと頑張らないと四天王から落ちこぼれてしまいます。
 全体的に満足できるいい興行でした。ただ、ちょっと厳しいかもしれませんが、何故、全日じゃダメなのかというのは残念ながらまだ何も見えませんでした。


Vol.57 全日とノア

 まさかの全日分裂騒動から1ケ月が経ちました。全日本は1シリーズを無事に乗り切りました。三沢派は新団体名がノアに正式決定し、ディファ有明に事務所、道場を開き、旗揚げ戦も決まり、着々と体制を整えています。この1ケ月の両者の動きを振り返ってみたいと思います。
 まず、全日本はシリーズを無事に終えたわけですが、一部の興行には三沢らが参戦しましたから、本格的な新生全日本の発進は次期シリーズからということになるでしょう。結局、残った日本人選手は川田と渕だけという寂しい状況でしたが、エースがフロントとしてWCW入りした以外は、ハンセン、ウイリアムスら常連外人が残留したのは幸いでした。さらに10年ぶりに天龍が復帰するという副産物もありました。
 私は最終戦の7.23武道館大会を観に行きました。ほぼ満員の観客でした。ファンも暖かく見守っているという感じでした。しかし、試合内容は、あれだけ大量に選手が抜けてしまえば当然のことですが、数段クオリティーは落ちています。特別参加した選手もインディーの寄せ集めという感は否めませんでした。特にSHINOBI対SHIIBAなど、とてもプロと呼べるレベルにありません。無理に選手をかき集めて試合数を増やす必要はありません。一定のレベル以下の選手を出すのは辞めて欲しいと思います。
 本当は天龍の参戦もどうかと思います。馬場さんのプロレスを守っていくというのが全日本なのに、馬場さんがいたら一度出ていった選手をもう一度呼ぶことはなかったと思います。しかし、今の状況を考えれば、いたしかたないかなという感じはします。ただ、大仁田まで上げてしまったら、それは本当に全日ではなくなってしまいます。川田が反対しているのは心強いです。絶対に上げないで欲しいと思います。新日との交流にも反対です。天龍が言うように新日と絡んだら、全日本は骨抜きにされてしまいます。確かに新日の選手と川田の闘いは見てみたいですが、今の新日本ではとても純粋な闘いは望めません。話しはそれてしまいますが、永島なんて人物がしゃしゃり出てくるのが気に入りません。橋本引退騒動に長州の復帰と、今の新日本は納得のいかないことばかりです。会社はでかくなったかもしれませんが、中身はからっぽで、本当に嫌な大企業になってしまいました。そんなところと関わるべきではありません。
 武道館大会を見た感じでは、渕の存在感が際立っていました。マイクアピールまでするなんて昔では考えられないことです。それが分裂の効果というところでしょうか。他に優秀な外人選手もいるのだから、無理に選手を集めず、少なくても質の高い試合を提供して欲しいと思います。
 対してノアの方は、旗揚げ戦のチケットが発売されましたが、久々の即完売という景気のいい話題となりました。私も発売日にはチケットが買えず、2日目のディファ有明での発売に前日の夜中から並んで、やっと立ち見券が買えました。でも、売り切れというのは興行としてみれば、決してすごいことではありません。チ ケットを買いたい人が買えないのですから興行のプロとしては失格です。もっと大きなところでやるべきだったのではないでしょうか。またディファ有明は非常に見にくい会場だと聞きます。事務所を置くらいなので何か密接なつながりがあるのかもしれませんが、ファンの見やすさを第一に考えて欲しいです。トリプレマニアへの参戦、冬木との接触、ムタのラブコールといった話題もありますが、ノアについては旗揚げ戦を観てみないことには何とも言えません。観た後で、また考えを述べさせてもらいたいと思います。
 いずれにしても、こうして動き出してしまった以上は両者ともいい方向に進んでもらいたいと思います。