増刊号 10.9新日ドーム観戦記


 健介対川田は素晴らしかったです。お互いに新日と全日を背負い、真っ向からぶつかり合い、遺恨もなし、つまらないリング外の話題もなし、リング内で、鍛えあげた肉体だけで最高の試合を見せてくれました。久しぶりに満足出来ました。負けたとはいえ、健介も何も恥じるところはありません。こんな試合なら何度でも見たいし、川田が新日のリングに上がった意義もあったと思います。
 しかし、前半のつまらなさ、盛り上がらなさは何だったのでしょう。カードが悪かったわけでもなし、観客の入りが悪かったわけでもなし、試合内容も特に悪かったというわけではありませんでしたが、何も心に伝わってくるものがありませんでした。
 これまで、話題ばかりで本当の闘いなどない興行ばかりやってきたつけでしょう。健介対川田の頂上対決で外野席に客を入れられないというのは実はかなり寂しい状況ではないでしょうか。
 第1試合の橋本の復帰戦が、橋本歓迎ムード一色だったのも面白くありません。橋本は甘えているし、ファンも橋本を甘やかしています。橋本はちょっと太ったくらいで、他は何も変わっていませんでした。これからもこんなぬるま湯でぬくぬくとやっていくのでは期待は出来ません。
 健介が川田に敗れて、これから新日本が何をしていくのか、何とかプロレスをいい方向に持っていって欲しいものです。
Vol.59 Do Judge!!

 遂に全日と新日の対抗戦がスタートしました。三沢らが大量離脱したのを受けて、川田が「新日本との交流を前向きに考えたい」と発言したことにより、一気に夢の交流戦実現への気運が高まりました。一度は渕と新日フロントが会談を持ったものの喧嘩別れに終わったという報道がなされましたが、その後、渕が「G1に乗り込む」と宣言し、実際に新日両国大会に姿を現してリング上からアピールしました。長州と握手を交わしたことで事実上の交流決定となりました。
 その場で渕と長州をののしった蝶野が全日武道館大会に参戦し、渕に勝利しました。T2000のメンバーでリングを占拠し、全日マットを黒く染めました。この辺のセンスはさすが蝶野という感じでした。私はこの試合を見逃してしまったので、テレビ放映されたことは嬉しかったです。川田が試合後にマイクで「新日と闘う気持ちが固まりました」と宣言した場面も放映されました。画期的なことです。そして新日ドーム大会で健介対川田の頂上対決が決定しました。
 蝶野対渕戦で因縁が生まれた後藤とケアをパートナーに、今度は新日名古屋大会のリングで蝶野組対渕組の第2ラウンドが行われ、渕組が雪辱。全日回帰の姿勢を見せる越中と渕のタッグ結成が決定し、蝶野はパートナーをミスターTにすると宣言しました。また、川田も新日のリングに上がり、健介とにらみ合いました。
 ドームへと続くこの一連の流れはまさに新日的で、確かに新日と全日の対抗戦は長年のファンの夢ですが、今や商業主義の権化である新日に全日が飲み込まれて骨抜きにされてしまうという当初からの不安通りの展開となっています。ですから個人的には全日は新日と交わるべきではないと考えています。
 ただ、渕と蝶野のやり取りにしても、渕がまったく負けていないのは意外でした。両国でのマイクアピールなどは、ラッシャーの誘いをかたくなに拒み続けた渕と同一人物かと疑ってしまうほどでした。川田にしても「名前を出して喧嘩を売れ」といきまく健介に対して「トップの自覚を持て」と切り返した言い分はもっともでした。さすがに全日はそう簡単に新日に取り込まれることはないかという気がすると同時に、全日も方向性がずいぶん変わっているし、これぞ新日の思うつぼなのではという気もします。
 全日の現状を考えれば、新日とやらざるを得ないというのは分かります。始まってしまった以上は、プロレスファンの夢に応える素晴らしい闘いを見せてくれることを願うだけです。
 新日ドーム大会では橋本の復帰も決まっています。ドームという大舞台を用意すること自体が、橋本も新日本も考えが甘いと思います。「負けたら引退」を売りにして、今度は「復帰」を売りにする。まさに悪徳商売です。別に相手は藤波だろうと中西だろうとどうでもいいですが、とってつけたような第1試合など何の意味もありません。
 橋本の引退撤回はやむなしと思っています。しかし、発言を撤回したことを非難されるのも当然のことで、その非難を上回るものを行動で示してもらわなければなりません。そして何より小川に雪辱しなければ、橋本の復帰を認めるわけにはいきません。もちろん3度も負けている相手ですし、いつまでもうじうじしていてすっかり小川の興味を失ってしまったこともあり、もう一度対戦するには険しい道のりです。こんな腑抜けた状態ではあまり期待できません。橋本の本当の意味での奮起を期待します。同じことがカシンにも言えます。あんな醜態をさらして、何事もなかったかのようにプロレスを続けています。心の中では思うこともあるのかもしれませんが、だったら行動に現して欲しい。私の個人的な願いは石澤ではなく、カシンとしてPRIDEのリングに上がり勝利することです。