増刊号 ZERO−ONE旗揚げ戦観戦記


 ZERO−ONEの旗揚げ戦に行って来ました。橋本は引退撤回を納得させるようなことをまだ何もしていませんから見に行くべきか、様子を見るべきか迷ったのですが、とにかく旗揚げという行動を起こしたのだから見なければ分からないと思い、チケットを買いました。結果的には、最近の興行の中では、かなり満足度の高い興行でした。会場は文句なしの超満員で、雰囲気も盛り上がっていました。旗揚げ戦ということもあるのでしょうが、興行としては大成功でしょう。試合開始時間と休憩時間を予定通りに進行したのも好感が持てました。
 第1試合の丸藤対星川がものすごく良かったです。久しぶりに名勝負数え唄になるのではと期待させるような内容でした。第2試合では久しぶりに斎藤彰俊を見ましたが、すいぶん体が大きくなっていました。相手が夢ファクの藤崎ということもありましたが、貫禄勝ちでした。
 シュート・ボクシングの試合はいらなかったと思います。打投極すべてがOKとはいえ、逆にすべてが中途半端な印象を受けました。2Rにフロント・ネックロックで決着が着いたので良かったですが、これを何ラウウンドも見せられたら堪らないとうんざりしていました。会場の雰囲気も引いてました。
 谷津対ゲーリー・スティールは不思議な試合でした。スティールはNWAの選手ですが、おそろしく無骨な選手で強いのか弱いのかよく分かりませんでした。試合も懐かしいプロレスのようで最近の総合格闘技系のようでもあり、本当に不思議な試合でした。個人的には結構好きな試合でしたが。
 休憩、猪木のメッセージがあり、大谷対村上です。村上の道場乱入、大谷襲撃という事件を受けてのもので殺気にあふれていました。大谷を応援していたので村上が勝ってしまって、ちょっとすっきりしませんでしたが、あの雰囲気はなかなか良かったです。
 セミはノーフィアー対高岩&大塚です。ノーフィアーのでかさの魅力を改めて感じました。やはりレスラーは人並み外れてでかくて、強くあるべきです。体力差歴然の高岩と大塚も思い切りぶつかっていきましたし、ノーフィアーがそれを踏みつぶすといういい試合でした。
 そしてメインは橋本&永田対三沢&秋山です。新日所属の永田がZERO−ONEのメインに登場するのはどうかとも思いましたが、やはりこの顔触れが同じリングに立つというのはワクワクします。攻防も見応えがありました。30分1本勝負だったので、実は引き分けかなと思っていました。結果は、橋本が秋山に気を取られている隙をついてでしたが、三沢が橋本からフォールを取りました。
 そして試合後、小川が乱入。橋本と三沢を挑発しました。三沢が小川にエルボーを打ち、入って来た藤田と秋山も揉み合いました。ZERO−ONE、ノア、UFOが入り乱れての乱闘騒ぎになりましたが、ひさしぶりに面白い乱闘を見たという感じでした。乱入とか乱闘とかはプロレスの魅力の一つだと思います。最近は内容もなく、話題集めばかりの空騒ぎで、うんざりという気がしていましたが、一流のメンバーが、それなりの舞台で乱闘をすれば、やはり面白いのだなと思いました。藤田の前田日明を思わせる「誰が一番強いのか、ここではっきりさせればいい」というマイク。三沢の「お前らの思うようにはさせねえぞ」というマイクも良かったです。
 橋本はフォールを取られてしまったし、ブーイングも浴びていました。むしろノア勢への声援が目立ったほどでした。自分の興行だからこそ敢えて貧乏クジを引いてしまったのかもしれませんが、橋本個人に対しては不満も残りました。テレビ解説に来ていた武藤は何も絡んでこなかったし、来場が噂されていた蝶野は来ませんでした。闘魂三銃士の集結を期待していたので、それも不満でした。
 しかし、やはりノアのレスラーと猪木系のレスラーが一堂に会したというのは凄いことです。それを実現させた橋本の手腕は評価できます。橋本のやりたかったことがおぼろげながら見えました。そして今回の興行は連続ドラマの第1回だったという気がします。このドラマ性もプロレスの魅力の一つだと思います。昔の新日本にあって、今の新日本には失われてしまった空気が、ZERO−ONEの旗揚げ戦にありました。4.18武道館の第2回興行に期待します。
Vol.64 新日両国大会、そしてZERO−ONE旗揚げ戦へ

 2月18日、新日の両国大会がありました。それなりのカードが出揃い、1.4ドーム以来のビッグマッチです。とはいえ、正月のドームがあまりにひどかったので新日は当分観に行くのは辞めようと思いましたからチケットは買いませんでした。直前になって猪木が来るという情報が入り、それなら行きたいと思いつつ、正月のドームへの抗議の意味も込めて行ってはいけないと思いつつしているうちに、たまたま招待券が手に入ったので、それならばと行って来ました。
 猪木信者の私としては、猪木が登場しただけで満足です。やっぱり猪木がいなければ新日じゃない。今回は「人生のホームレスになってしまいました」のパフォーマンス。そしてマイク・タイソン戦実現の爆弾発言と楽しませてくれました。
 試合の方は、もともとまともな試合になりそうなのはメインのIWGP戦くらいと思っていました。そのメインにしても、大谷が健闘して、最後は健介が勝つというのが100%見えていました。そして実際その通りの試合でした。
 武藤対村上は名勝負を期待するのが初めから無理な顔合わせでした。興味は武藤の「企てていることがある」発言でした。まずフライと太陽ケアがセコンドに付き、謎の白覆面も登場。試合後にマスクを脱ぐと新崎人生だったというストーリーでした。それはそれなりに興味深い展開であり、今日に限っては試合よりもサイド・ストーリーで良しとしようという感じです。そして武藤は同日興行となった全日後楽園大会に直行し、緊急参戦。こちらの方も観れなかったのは残念でしたが、新日&全日を股に掛けた新勢力の結集が武藤の「企み」だったようです。武藤の目は外に向いているようです。団体の壁というのが希薄になっているという時代の流れもあります。武藤は縛られずに自由きままにやるのがあっています。もっと面白い大きな流れにしていってもらいたいと思います。
 蝶野対フライは、蝶野のケガが試合をできるような状態ではなかったと思います。蝶野は好きなレスラーなので、これからの欠場期間で体をオーバーホールして、もうひと頑張りして欲しいと思います。
 以外に良かったのは永田&飯塚対垣原&長井です。それから第1試合のシルバー・キング&ワグナーJr&サムライ対金本&田中&高岩の6人タッグがこの日のベストマッチだったような気がします。
 猪木が登場したのは嬉しいですが、新聞、雑誌で展開している新日批判の具体的な行動はありませんでした。日頃の猪木の発言にはまったく同感なので、具体的に新日つぶしの行動を見せて欲しかっただけに不満が残りました。出戻りの長州に対する声援が多かったのも納得いきません。チャンピオン・チームである天山&小島が勝ったのは当たり前ですが、だいぶもたついたところがあり、内容に不満が残りました。もっと完璧に長州をつぶして欲しかったと思います。
 何よりもドームであれだけの失態を演じたにも関わらず、ほぼ満員の入り。ファンも新日も何も変わっていませんでした。個人的には、無料だったし、猪木も見れたからいいものの、お金を払ってまで観るものではなかったというのが素直な感想です。
 新日がこんな状態ですと、橋本に「新日なんかぶっつぶしてくれ」と期待したいところですが、その橋本にしても、ノア勢との対戦を実現させたことは評価できますが、まだ引退撤回を納得させるほどの実績は残せていません。ドームでの長州戦にしても、悪いのは新日だけでなく、橋本も悪いのです。
 3月2日のZERO−ONE旗揚げ戦が迫っています。大谷と高岩が正式に新日を退団し、ZERO−ONE入りしたことは評価できます。それによって何とかZERO−ONEの体制も整いました。メインは橋本&永田対三沢&秋山に決定しました。新日所属である永田というのが納得いきません。新日の選手がメインに出るのでは新団体旗揚げの意味がないのではないでしょうか。
 確かに大谷対マッコリーなどより、大谷対村上の方が面白そうですが、相変わらずのテロだの白覆面はいかがなものでしょうか。そうやってサイドストーリーで盛り上げるなら、それに負けないくらい、肝心のリングでの闘いをしっかりとして欲しいと思います。
 観に行くべきか、もっと様子を見るべきか、迷いましたが、結局、旗揚げ戦のチケットは買いました。橋本の進む方向と、それが正しいのだということをしっかりと見せてくれることを期待します。