Vol.65  プロレスに春は来るのか


 3.2両国のZERO−ONE旗揚戦は本当に面白い興行でした。ひさしぶりにプロレス会場特有の熱気を感じました。やはりファンの望むカードが組まれたというのがその原因でしょう。第1試合の丸藤対星川が素晴らしく、会場にいい雰囲気が作られたというのも大きな要因でしょう。やはりプロレス興行では第1試合は重要です。もちろん旗揚戦に対する期待というのもあるでしょう。
 そう考えると次の4.18武道館大会に向けて課題も残されています。まず、橋本、大谷、高岩のZERO−ONE勢は全敗でした。旗揚戦でエースが敗れるというのは実はありがちなことで、自分のところだから勝つのではなくて、逆に来てくれた相手に遠慮してしまうという心理があるのかもしれません。どれもいい試合だったとはいえ、負けっぱなしでは良くありません。今度はいい試合をした上で、勝って欲しいと思います。そして、今は新鮮なノアとの対抗戦ですが、何度も続ければ新鮮味が薄れてきます。それでも色褪せないのが名勝負ですから、そこまで高めていって欲しいと思います。
 新日はもう選手は貸し出さないと言い出しましたが、それでいいのではないでしょうか。橋本は新日に対して期待しているところが感じられますが、そんな期待はするべきではありません。本当に新日をつぶすくらいのつもりでやって欲しいと思います。チケットの料金が高いというのも気になります。何とかならないものでしょうか。
 旗揚戦は連続ドラマの第1回という感じでした。見てすぐに4.18も行こうと思いました。というより、あんな終わり方をされたら観に行かないわけにはいかないという感じでした。そしてそれは、うまく乗せられてしまったという嫌なものではなくて、ワクワク感が伴う心地よい感じでした。それだけに次の興行が重要です。せっかくプロレスの魅力を見直したところなのに、また裏切られてはもともこもありませんから。
 3.3横文の全日も観に行きました。三冠戦の天龍対ケアはそこそこいい試合でした。しかし、ノア勢が離脱する前の全日を知っているだけに、三冠戦にしても、その他の試合にしても、どうしても物足りない気がしてしまいます。
 4月は最強タッグと並ぶ全日の看板シリーズであるチャンピオン・カーニバルが行われていますが、参加選手の顔ぶれは寂しい限りです。優勝戦が武道館ではないというのも、顔ぶれを考えれば頷けます。逆に4.14武道館では川田対武藤が決定し、チケットを買っている私としては嬉しいのですが、川田が負傷していることを考えると武藤が優位。となれば勝って天龍の三冠に挑戦し、2大メジャータイトルの制覇と夢 は広がります。
 3.9後楽園の新日も観に行きました。ずいぶん久しぶりの新日後楽園観戦でした。やはり新日は選手層が厚く、個々のレベルが高いというのを改めて感じました。それなりに質が高く、面白い興行でした。しかし、新日がそれなりでいいのかという思いがあります。前座のヤングライオン対決からあまりひたむきさが伝わってこなかったこと。長州が当然のように主役の座に座っていること。その長州が最も声援を集めていたことなどが、私には面白くありませんでした。
 新日の4月は大阪ドームというビッグマッチが控えています。これも正直言ってあまり魅力を感じるカードはありません。武藤&蝶野は6人タッグで片づけられているし、今さら長州対川田でもないでしょう。
 そう思っていたら、猪木が橋本、藤田、安田を連れて新日のリングを占拠し、強引にカード変更を決めてしまいました。どんな理由であれ、一度発表したカードを変更するのは反対です。1月の東京ドームもそうでしたし、カードを小出しにして様子を見ている証拠でしょう。ただ、これによって猪木派対新日本というテーマができ、カードも良くなったのも事実です。今の新日はダメだという猪木の意見には賛成なので、橋本と藤田が勝利し、大会が成功することを願います。
 ノアはGHCトーナメントが開催されています。旗揚からこれまでの集大成ともいえる重要なシリーズです。敢えて純潔で勝負していますが、そのこだわりはいいと思います。団体の壁が低くなり、ノア自体も対抗戦を行なっていますが、無節操に対抗戦ばかりに走っては良くないと思います。こだわるべきときにはこだわりを持って欲しいと思います。
 そのノアが4月から日テレで中継されることになりました。ノアにとってはいいことでしょうが、要するに全日からノアに乗り換えただけの話しでしょうから素直に喜べません。逆にテレビに縛られて自由に対抗戦ができなくなるようなことがないか心配です。
 その他の話題として、猪木がタイソン対小川戦をぶちあげました。周囲からは本当にやるのという声が上がっています。でも、プロレスファンなら夢を感じるべきだし、実現を信じるべき話題だと思います。
 それぞれの団体、それぞれの選手がプロレスを盛り上げるために努力して欲しいと思います。もうすぐ春です。プロレス界にも春が来ることを願います。