
Vol.66 春のビッグマッチ
4月9日の新日大阪ドーム大会はテレビ観戦でしたが、まさに猪木ワールドで、猪木信者の私には満足のいく内容でした。猪木が仕掛けた橋本対健介、藤田対ノートンの2試合は、内容的にはどちらもイマイチでした。ノールールもあいまいでした。ただ、藤田がIWGPのベルトを巻いた、橋本が健介に完勝したという結果に納得しています。
殺伐とした雰囲気、5.5福岡ドームへと続いていきそうな連続ドラマ感覚が、昔の新日を思い出させました。ライガー対村上の反則決着はほめられたことではありませんが、そこから長州と小川の大乱闘へと発展し、直接対決ムードが一気に高まりました。長州対川田という見所がすっかりかすんでしまったことと合わせ、猪木の思惑通りの展開でした。
マスコミも新日の危機という報道をしています。そんなことはファンはとっくに気づいています。試合結果だけでなく、2万7千人という寂しい観客動員数がそれを証明しています。気づいていないのは新日のフロント連中だけです。武藤のBATT、蝶野のT2000は独自の路線で存在をアピールしました。中西、永田も着実に力をつけています。確かに新日の人材はメジャー級です。今の新日はそれがまったく活かされていません。単にマッチ・メークの問題ではありません。選手の意識の問題です。猪木軍団との闘いを通じて、強くて面白い新日本に戻ってくれることを願います。
5.5福岡ドームのカードも発表されました。なぜ小川と長州のシングルを組まないのか。橋本と中西のシングルを組まないのか。納得のいかないカードでした。とはいえカードなど実はどうでもいいことなので、本当に新日本の怒りを見せて欲しいと思います。
14日の全日武道館大会では突然、武藤対川田が実現しました。この大会は例年であればチャンピオン・カーニバルの優勝戦が行われていましたが、今年は武道館前の地方興行で優勝戦が行われ、最終戦の武道館は特別興行となりました。メンバーを見ても寂しい感があり、こうした変化はいたしかたないところでしょう。
メイン以外は昔の全日と比べると何とも寂しい内容でしたが、武藤と川田のメインは素晴らしかったです。健介はもともとジャパン・プロレスでデビューし、全日にも出場していたという経緯もありますし、川田とは同タイプで、試合自体は全日の試合という雰囲気でした。武藤と川田の対戦は真の新日対全日という感じがしました。
川田の体調を考えると、武藤の勝利は予想できましたが、試合内容、会場の雰囲気とも素晴らしかったです。川田はケガを押してチャンピオン・カーニバルに出場し、合間を縫って新日の大阪ドームにも出場、そして武藤戦ですからスケジュールが厳しすぎたと思います。そうまでして出た新日での扱いは本当に失礼でした。
全日が新日絡むのは最初から反対でしたが、もう新日には出場しない方がいいと思います。しかし、やはり新日の選手に出場してもらわないと興行的に厳しいのは事実です。全日の次の武道館は全日対新日3大タイトルマッチと銘打たれました。これからは、そういう形でT2000やBATTの選手に全日に出場してもらうという形でやっていけばいいと思います。
15日には有明コロシアムでノアのGHC王座トーナメントの決勝戦が行われました。旗揚げからこれまでの集大成ともいえるビック・イベントにあえて純血でのぞみ、橋本の横ヤリも相手にせずトーナメントに専念した姿勢は正しいと思います。三沢と高山という以外な決勝戦となりましたが、三沢が勝利して、レスラーとして存在を示しました。興行的にも大成功し、本当に良かったと思います。
逆に橋本の言動にはまったく説得力がありません。三沢批判は的外れだと思います。三沢がトーナメントに専念したいという気持ちはもっともだし、ZERO−ONEはノアに出場してもらわなければ興行が成り立たないのに対し、ノアは特に橋本を必要としていない。さらにレスラーとしての橋本は三沢にタッグで2連敗という状態で何を偉そうに言っているかという感じです。
結局18日のZERO−ONE武道館大会は、三沢が出場し、小川と歴史的なタッグ初対決となりました。残念ながら空席もありました。旗揚げは紛れもない超満員でしたが、第2弾は旗揚げ戦のようにはいきませんでした。この辺はファンも厳しいものです。ただ会場の盛り上がりは最高潮でした。ファンが橋本や小川と三沢らの対決を望んでいるのは事実だし、たとえゴリ押しでも、それを実現させた橋本の手腕は評価できると思います。しかし、レスラーとしての橋本は引退撤回してから何も納得できることをしていません。この日も安田と組んでノアの本田&井上と対戦しました。井上が右肩を脱臼するという結果は「壊してやる」と発言した通りになりましたが、これはあくまでもアクシデントであり、内容的には圧倒的な強さを見せつけるというものではありませんでした。
三沢&力皇対小川&村上の試合は、小川と三沢の絡みはさわり程度で、三沢があっさりと村上をフォールしてしまい、内容的にはイマイチでしたが、最初としてはこんなものでしょう。三沢の愛想のないファイトを責めることは出来ません。小川と村上がタッグマッチが下手過ぎました。ともかく今回はこの対決が実現したというだけで良しとしなければならないでしょう。
この春はプロレス界も活発に動いたようです。夢のある闘いもありました。ちゃんと夢の続きを見せてくれることを期待します。