増刊号 G1観戦記


 早いものでG1が始まってから11年、世紀もまたぎ、11回目を迎えました。闘魂三銃士と呼ばれた武藤、蝶野、橋本がブレイクした第1回の感動も徐々に薄れ、気がつけば橋本は新日を去り、第三世代の永田、中西、天山、小島が、武藤と蝶野と同格に扱われるようになっていました。これも時代の流れという気もしますが、個人的には永田らはまだまだという気がしますし、近年のG1には内容的に不満もあったので、今まで両国のG1はすべて観てきましたが、今年は優勝戦だけでいいかなという気になっていました。結局、招待券をもらったりして3連チャンで観戦しましたが、武藤と蝶野の踏ん張りに期待していた私にとっては納得のいかない結果に終わってしまいました。
 それでも優勝戦の永田対武藤はいい試合だったと思います。実力的には永田は蝶野と武藤に堂々の勝利でした。武藤と蝶野のコンディションを考えれば当然の勝利といえるでしょう。ただやはり持っている雰囲気というのが武藤と蝶野はずば抜けていて、永田らの世代にはそれがまだまだ足りないという気がします。この結果で即世代交代とは思えません。武藤と蝶野にはまだまだ頑張ってもらって、永田、中西、天山、小島にももっともっと成長してもらいたいと思います。
 今年のG1は9日間で全7戦、大阪、名古屋、仙台、東京と転戦しました。2ブロックで6人づつ12名が参戦。日程もメンバーも適当だったと思います。最近のG1に不満だったことは出場者が多いことでした。何でこんなやつが出られるのというメンバーが数多く参加していましたから。今年の人数はまあ適当だったと思います。両国では優勝戦意外は満員にはなりませんし、地方での興行もいいと思います。休みもあり、1日に無理して2試合することもなく、選手にとっても観る方にとっても良かったのではないでしょうか。
 今回良かった選手は優勝した永田よりも準優勝の武藤です。シャイニング・ウイザードもコーナーポストでのものやレフリーを踏み台にしてのものなど新バリエーションを見せ、あのハッするような動きはやはり天才です。それからかたくなに昭和プロレスをつらぬく西村も実に良かったです。
 駄目だったのは中西で、センスのなさというか頭の悪さというか、いい方に出れば長所である一直線なところがこのところ空回りしている気がします。安田も見かけは大きく変わり、早々とトーナメント進出を決めましたが、両国ではいいところなく、そんなに強くなったという気はしませんでした。異色の村上はまだまだという気がしますが、とても面白いキャラクターだと思います。
 永田はこの優勝で、GHC王者となった秋山と同格になりました。今後、藤田のIWGPに再挑戦という線も見えて来ました。でも、マーク・コールマンに負けているということをなかったことにしないで欲しいと思います。新日のナンバー1を名乗るなら借りは返してからにして欲しいです。
Vol.69 全日武道館、新日札幌ドーム、ノア初武道館、PRIDE15

 7月14日の全日武道館は何と言っても武藤の三冠初防衛戦が目玉でした。あとは天龍と安生がコンビを結成してケアとスミスの世界タッグに挑戦するという異色のカードもありましたが、それ意外は特にこれといった目玉はありませんでした。蝶野の体調が良ければ、蝶野対川田戦もラインナップされたはずで、実現しなかったのは本当に残念です。カード的に弱いかなと思っていたら、客入りも悪く、かなり空席が目立っていました。
 三冠戦は相手がウイリアムスということで武藤の防衛は試合前から見えていました。興味はこのところ好試合を連発している武藤が、全日の武道館のメイン、三冠戦の防衛戦という舞台でどんな試合をみせてくれるかに尽きました。結局、試合の序盤で武藤がヒザを痛めてしまったのがひびいたのか、今ひとつ盛り上がりに欠ける試合になってしまいました。
 セミの世界タッグは、王者のケア&スミス組は防衛はしているものの試合内容はいつもお粗末なものでした。天龍が安生というパートナーを得て、遂に王座が移動しました。試合内容はお粗末でしたが、天龍が防衛戦の相手に橋本&小川組を指名するなど、王者組が変わって、今後の展開に期待が持てるようになりました。
 ノア勢の大量離脱後も全日の武道館はいい興行を続けて来ただけに、今回のテンションの低さは残念でした。メンバーを考えると今後も苦しい展開だとは思いますが、奮起を期待します。
 新日は20日に札幌ドームでビックマッチを行いました。新日のビックマッチにしては久しぶりに興味を引かれるカードが並びました。さすがに札幌まで遠征しようという気にはなりませんでしたが、テレビで生中継されたので生で観戦しました。
 邪外道と成瀬の参戦は、大谷と高岩の離脱、負傷による金本の長期欠場、PRIDE参戦のためカシンが欠場と層の薄くなった新日ジュニア戦線に刺激を与えました。それでも王座移動まではないだろうと思っていたのですが、シングルは成瀬が田中に勝利し、タッグは邪道&外道がライガー&サムライに勝利して、ジュニアの2本のベルトが移動してしまいました。邪道&外道には今後も新日ジュニアをかき回して欲しいと思います。成瀬は今回はたまたま田中という手の合う選手と対戦できたので良かったと思いますが、今後、王者としてどんな戦いを見せてくれるのか不安と期待が入り混じっています。
 新日対PRIDEは、永田対コールマン、中西対グッドリッジの2試合が行われました。予想としては中西は勝つだろうと思っていたのですが、結果は永田、中西ともに敗れ、新日の2連敗でした。どちらも見せ場はあったのですが、詰めが甘いという相変わらずの結果でした。特に中西は不用意過ぎます。藤田がPRIDEで勝ち続け、IWGP王者に君臨しているので余裕を持っていられますが、本当は非常に嘆かわしい結果だと思います。
 IWGPタッグ戦は、T2000対BATTという構図はあったものの、テンコジがタッグチームとして完成されているのに対して、ケアと人生は急造タッグという感じがします。ケアが世界タッグ王座から転落したばかりというのも興味を半減させました。テンコジの勝利は当然という気がします。
 武藤対蝶野は、本当ならば7.14武道館で蝶野が川田に勝利して三冠戦という流れでやって欲しかったのですが、蝶野の体調不良で三冠戦とはなりませんでした。武藤のヒザの具合も良くなく、せっかくの対戦に両者ともベストコンディションではないということが残念です。それでもさすがに二人の入場シーンは、さすが千両役者という感じで絵になりました。試合が始まったところで生放送は終了。そりゃないだろうという感じです。
 さて試合の方は、武藤が蝶野の不調といわれている腹部への攻撃を中心に攻めて、蝶野が何とか耐えて逆転の変形STFで勝利しました。蝶野がシャイニングウイザードを寸前のところでかわしたり、それなりに味のある試合でしたが、最後がいささか唐突だったのと両者がやはりコンディション万全でなかったのが残念でした。
 メインのIWGP戦は藤田とフライというバリトゥーダーがプロレスルールで闘うという中途半端なものでした。今さら藤田はフライに勝ってもしょうがないと思います。それよりもPRIDEやそしてK−1のリングでプロレスの外敵に立ち向かい、撃破していって欲しいと思います。
 続く27日にはノアの1周年記念興行武道館大会がありました。地道に1年かけて武道館に進出し、他団体に頼らず、外人ルートに独自に開拓して、三沢対秋山の一本で勝負した姿勢は評価できます。試合内容、観客動員ともに大成功だったと思います。
 ZERO−ONEとの対抗戦は、あれだけの予告編を見せてしまったのだから是非完結させて欲しいと思います。でもそれは橋本に全責任があります。三沢は今のところ静観でいいのではないでしょうか。橋本が三沢を振りかえらすだけのものを示すべきです。
 そして29日には「PRIDE15」がありました。今回の注目は何といっても石沢のハイアンへのリベンジ戦でした。見事な勝利で雪辱を晴らしてくれました。今回負けたら終わりでしたから、そういう闘いに挑んだことは素晴らしかったし、勝って本当に良かったです。