増刊号 PRIDE.17観戦記


 PRIDE.17を観に行って来ました。観客動員、盛り上がり、雰囲気では、新日の東京ドーム大会は負けていました。これはプロレスにとっては大問題です。私はPRIDEは久しぶりの観戦でしたが、エグゼクティブ・プロデューサーとして最近は常に会場に来ている猪木が新日を批判する意味が分かった気がします。
 PRIDEをあまり観に行かない理由は膠着状態になるとどうしようもなくつまらないからです。様子を観ながらカード発表を待っているうちに安い席は売り切れてしまうということが何度かありました。実際、この日も内容的には面白い試合はありませんでした。そして進行が悪く、5時間以上もかかりました。とても集中力が続きません。ただ、プロレスの方が面白いということで満足はしたくありません。プロレスは面白いだけではないはずです。PRIDEを観て、今のプロレスに本当に危機感を持ちました。
 試合結果も、この日の日本人プロレスラーは最悪でした。何も出来なかった小原、かといって石川のように果敢に攻めたからといって、あっさりと敗れ去っては何の意味もありません。この2人はプロレスラーとしてPRIDEに出る資格はありません。
 「何で誰も名乗りを上げないのか」と大口を叩いた高田でしたが、あんな試合をするくらいなら名乗りを上げない方がましです。途中でケガをしたようですが、それは高田が弱いからです。お話になりません。そして最後の頼みの桜庭まで負けてしまいました。桜庭もケガでしたが、レスラーがそんなに簡単にケガをしてはいけないでしょう。
 1番いい試合だったのはノゲイラとヒーリングのヘビー級王座決定戦でしたが、ノゲイラの関節技がなかなか決まらず判定決着だったので今ひとつ満足出来ませんでした。
 興行としてはまだまだ課題のあるPRIDEでしたが、桜庭が敗れたこともあり、もうプロレスは瀬戸際まで押されているという感じです。武藤のようにプロレス内で頑張るのも一つの方法ですが、高田ではありませんが、こんな状態になってしまったのだから、直接名乗りを上げるしかないでしょう。高田のような弱い選手ではなく本当のプロレスラーにこのうっぷんを晴らしてもらいたいです。
Vol.72 WWF日本上陸

 10月1日にテレビ東京でWWFの中継が始まりました。アメリカン・プロレスはビデオや海外のホテルのテレビで何度か見たことがあります。日本のプロレスとはまったく別ものですが、それなりに面白いと思っています。中でもWWFは全米を完全に制圧したメジャーなエンターテイメント集団で、一部のプロレスファンはWWFに完全にハマっているという話しも聞くので放映を楽しみにしていました。ただ番組のプログラムである「LIVE WIRE」は、最近のWWFのニュースをダイジェストで伝えるという形式なためにアメリカン・プロレスの面白さがあまり伝わって来なかったような気がして、期待外れでした。やっぱりPPVの大会の中継を見ないとWWFの面白さは分からないものなんでしょうか。吹き替えの日本語も雰囲気を壊している気がします。一度、生の会場で本場のアメリカン・プロレスを体感したいと思います。
 10月8日の新日ドーム大会が久しぶりにゴールデンタイムで放映されました。ところが裏ではK−1の中継があり、そこに猪木が登場するという異常事態。そこでテレ朝も危機感を持ったのか、なかなか内容のある中継でした。いきなり秋山の入場シーンというインパクトのある映像でスタートし、続いて大巨人コンビに人気の蝶野をからめ、お馴染みとなった乙葉を使って大巨人コンビの大きさを際だたせる演出も気がきいていました。プロレス50周年を全面に押し出し、昔の懐かしい映像を織り交ぜていたのも嬉しい演出でした。猪木は痛烈に批判しているようですが、私は良かったと思います。ただ猪木の「6万人はウソ」発言の方は本当です。予想よりは入っていましたが、空席も結構あり、とても6万人もいませんでした。新日だけでなくプロレス興行では当たり前のことになっていますが、もういいかげんに水増し発表なんてださいことは止めた方がいいと思います。さて、気になるのが視聴率ですが、テレ朝の新日が10.2%、フジのK−1が14.2%でした。プロレスとK−1がダブった19時から19時54分まではプロレスが10.3%、K−1が10.2%とほぼ互角の結果に終わりました。まあ、良かったのかなあ。
 テレビの話しのついでに一言、PS2のゲークソフト「オールスター・プロレスリング2」のCMは凄いインパクトです。武藤対三沢の究極のドリーム・マッチが見れるなんて。
 話しはがらりと変わって「真撃」です。前回がパッとせず、今回は様子を見ていましたが、橋本対ゴルドー、ケアー対ディック・フライ、大谷対高山と興味深いカードが並び、小川も出場、そして何より大仁田が出ないということで観に行きました。
 高山がインタビューに答えた「真撃のスタイルは大キライだ。グローブを着けたりはずしたり中途半端。橋本に思いしらせてやりたいけど、陰に隠れて出て来ない。落ちぶれて引退した人だから仕方ないけど」という コメントが流れました。見事に今の橋本と真撃を言い表しています。VTRを見た観客も拍手喝采でした。誰もが納得せざるを得ないコメントでした。とはいえ、皆も橋本にこのまま終わって欲しくないと思っているのも事実でしょう。今回のゴルドーという相手は、橋本の凄さを見せるには絶好の相手だと思われました。しかし、結果は全然駄目でした。何とか勝ったものの、緊張感はまるでなし、強さのかけらもありませんでした。
 橋本以外には見所はありました。まず、やはり小川は良かったです。出てきただけで雰囲気がガラリと変わりました。得体の知れないボクサーとの対戦で相手には恵まれませんでしたが、そんな中でいい試合をしたと思います。純プロレス・スタイルとなった大谷対高山もいい試合でした。このところ貧乏クジばかり引いている感じの大谷ですが、確実に成長しています。高山もいい雰囲気を持ったレスラーになりました。マーク・ケアーは霊長類最強と言われた頃の強さを見せました。ディック・フライとの試合は緊迫感がありました。佐藤耕平も大変な逸材です。本当に将来が楽しみな選手です。第1試合に出たミッキー・ヘンダーソンは思いがけずいい選手でした。星川との試合は通常のプロレスルールだったらもっと面白かったと思います。
 とはいえ、やっぱり橋本あってのZERO−ONEでしょう。橋本はこのままでは終われないでしょう。本当にもっともっと頑張って欲しいです。
 さて最後の話題は全日の武道館大会です。まさかメインが武藤対蝶野の三冠戦になろうとは、2年前なら考えられなかったことが実現してしまいました。
 他に全日対WARの5対5戦で実現した川田対冬木というカードも驚きでした。もう1試合、ハヤブサの出場にも期待していたのですが、そのハヤブサは22日のFMW後楽園大会の試合中にムーンサルトを失敗して頭部を強打、頸椎損傷の重傷を負うという大事故がありました。残念です。全日欠場どころか選手生命の危機すらあります。最近FMWは観ていませんでしたが、ハヤブサはいいレスラーです。何とか不死鳥の名のように復帰してもらいたいと思います。
 メインの三冠戦、武藤対蝶野はいい試合でした。蝶野が本当に久しぶりにリング内の闘いに集中していたのが良かったです。勝利まであと一歩というところまで行きましたが、踏みとどまった武藤も立派でした。全日ファンがどう受け止めるか心配もありましたが、完全に全日のメインにはまっていました。その前の全日軍対WAR軍の5対5戦がひどかったこともあり、武藤対蝶野がこの日の興行を救ったという感じです。
 その全日対WARですが、天龍対ケアはそこそこいい試合だったものの、天龍の凄さは充分に伝わりましたが、ケアはまだまだという感じでした。白使は完全に失敗でした。人生で出た方がまだ良かったのでは。ブッチャー対安生は問題外。川田にもあまり覇気が感じられませんでした。
 もう一つの楽しみである最強タッグの出場チームの発表も実に寂しい限りでした。武藤の出場は嬉しいですが、これが最強タッグ?というような顔ぶれでした。もう昔の全日を望んでも無理なんでしょうねえ。