Vol.76 注目の両国&武道館


 1月の武藤、小島、カシンの新日離脱騒動を受けて、2月には新日の両国大会、全日の武道館大会が注目の興行となりました。そして新日の翌日、全日とは1週間の間をおいて、ノアの武道館大会があり、小橋の復帰というこれまた注目の興行がありました。
 最近の新日は本当に駄目で、いくらファンが怒っても、観客動員が落ち込んでも、懲りもせず1.4ドームのような興行を繰り返すので、本当にもうちょっと距離を置こうかと思っていました。そういう意味では武藤らの退団は新日に打撃を与え、気づくきっかけになってくれるのではないかという意味で大歓迎でした。しかし、今さら全日を訴えると言ったり、ノアとの交流を強めたり、コールマンにもミルコにも秋山にまで負けた永田をエース候補にしてみたり、新日の対応にはがっかりさせられました。
 そんな中で、蝶野が「このリングで本当のプロレスを蘇らせる」と宣言し、猪木も蝶野を現場の責任者として認めたことは嬉しい展開でした。新日のエースは蝶野しかいません。2.1札幌のリング上でのマイクパフォーマンス合戦は、完全にエンターテイメントでしたが、別にプロレスのエンターテイメント性すべてを否定するわけではありません。リングの中にしっかりした闘いがあってのことなら、エンターテイメントはプロレスの魅力の一つです。猪木と堂々と渡り合った蝶野は見事でした。それに引き替え永田、中西、健想はお粗末過ぎましたが・・・。
 とはいえ、最近の蝶野はリング内では満足できるような試合をしていません。皮肉なもので昨年の蝶野の試合で納得できるような内容があったのは全日武道館大会での武藤との三冠戦くらいなものでした。2.16両国大会では、蝶野がIWGPヘビー級王座決定トーナメントにノミネートされており、もしかしたら久しぶりに蝶野が納得できる試合をしてくれるのではないかと思い、一番安いチケットで見に行くことにしました。
 というわけで、まずは新日の2.16両国大会です。客入りはまあまあでした。決して満員ではありませんでしたが、もっとガラガラかと思っていましたから予想以上に入っていました。盛り上がりもありました。カードも出し惜しみせず、現時点ではベストだった思います。余分なイベントや不要な休憩時間もなくテンポ良く進行したのも良かったです。
 試合内容も良かったです。柴田の若さあふれる戦いぶりには好感が持てたし、シルバ&シンの大巨人コンビと久しぶりのリック・スタイナーの外人勢もプロレスの素晴らしさを見せてくれました。天山対西村、中西対健介もいい試合でした。
 ただ蝶野が安田に敗れるという結果が不満でした。リングの中の闘いでトップであることを証明して欲しかったのですが、不満の残る結果でした。IWGP王座決定トーナメントは結局、安田が優勝しました。永田ではなく安田が新王者になったのでホッとしました。全体的には合格点の興行だったと思います。
 続いてノアの2.17武道館大会です。こちらは掛け値なしの超満員、盛り上がりも最高でした。注目は何といっても小橋の395日振りの復帰戦です。だいぶスリムになっていましたが、力強さはありました。1年振りの試合ですから、負けたのも仕方のないところです。まだまだこれからです。
 そしてもう1つの注目となった新日ジュニアとの対抗戦ですが、ライガーには声援もあったもののブーイングの方が多く、もの凄くヒートアップしました。対抗戦にはこの緊張感がなくてはいけません。素晴らしい試合でした。ただ新日との交流はとりあえずこの辺に留めておいて欲しいと思います。お互いプロレス界の核となるべき団体ですから安易な交流は避けて欲しいと思います。
 力皇&森嶋がノーフィアーを破ったGHCタッグ選手権もいい試合でした。丸藤対ゲレーラが大技の出し過ぎでちょっと空回りだったような気がしますが、全体的にはいい興行だったと思います。会場の盛り上がりという点では新日の両国を完全に上回っていました。ただノアは全日時代より確実にショーアップはしているものの、レベルアップしているかというとそうでもない気がします。演出よりも試合内容にもっとこだわって欲しいと思います。
 それから今回は座席が最低でした。通路に作られた席で、前の人の頭でリングがまともに見えず、ストレスがたまりました。武道館のスタンド2階のG列は絶対に避けましょう。こんなところに席を作るなよという感じです。
 最後は全日武道館大会です。武藤と川田の三冠戦に加えて、小島対天龍、カシン対宮本も決まり、期待もグンと高まりました。
 客入りはほぼ超満員でした。武藤対川田の三冠戦は素晴らしい試合でした。3つの興行を通じてもベストバウトでした。考えてみれば、武藤が全日に入ってしまうとなると、この試合が三冠を全日に奪回する最後のチャンスということになり、川田にはもう後がありませんでしたから、結果はいたしかたないところです。武藤は負けましたが、負けてはいませんでした。ただ、ここはまた1勝1敗ではなくて、強引にでも武藤に勝ってもらって、不動のエースになって欲しかったという気がしました。
 小島対天龍も良かったですし、カシン対宮本、そして渕とカズ・ハヤシが絡んできた試合後の乱闘も良かったです。こうなると前半の訳の分からない選手はもういらないという感じです。
 この2月の3連戦には満足しています。この後もWWF日本上陸、ZERO−ONE1周年とビッグマッチは続きます。プロレスの灯を消さないようにそれぞれ頑張って欲しいと思います。