増刊号 新日ドーム観戦記


 まずは前夜祭の「ULTIMATE FESTIVAL」です。要は猪木ファンのイベントでした。試合は田口対ピノイ・ボーイ、AKIRA&垣原対ロメロ、アメリカン・ドラゴンの2試合とOBバトルロイヤルでした。OBバトルは、当然ながら今が旬の星野総裁が主役で、レフェリーのはずだった山本小鉄が飛び入り参戦して、ヤマハブラザースが復活。2人が勝ち残って優勝という結末でした。懐かしの選手の懐かしい技も飛び出してなかなか面白かったです。星野勘太郎は魔界ルックで登場しましたが、やはりライトブルーのショートタイツにして欲しかったというのはありました。
 イベントの方はスネ相撲大会、パチスロ大会があり、60人のファンによる花束贈呈では気合いビンタになりました。ゲストに元千代の富士の九重親方、電撃ネットワーク、今回のドーム大会の象形文字のようなデザインをした人が登場。ちなみにあのデザインは中国の古い文字で、あれで闘魂と読むそうです。猪木の実兄が歌を披露し、実姉、小学校時代の恩師もリングにあがりました。猪木は仙人のコスチュームで登場しました。
 オーロラビジョンでは、新日旗揚げのゴッチ戦からフライとの引退試合まで、名勝負のダイジェストが流され、これは感動ものでした。イラクの人質解放、中国バイクの旅、北朝鮮平和のイベントなどの模様の流され、改めて猪木のスケールの大きさを感じ、もう2度とこんなレスラーは出ないだろうなどと思いました。
 最後はもちろん「イチ、ニー、サン、ダー!」で締め、よく分からないイベントではありましたが、猪木信者にはハッピーな一時でした。
 続いて本戦の「ULTIMATE CRUSH」です。最近の新日本にはまったく期待していません。惰性で見続けているようなものです。今回も、生まれ変わるなどと大げさなことを言っていましたが、カードを見る限り、まったく期待はできませんでした。そもそもプロレスとバーリトゥードを分けるのが間違いです。確かにルールはまったく違いますが、闘いということでは違いはないはずです。なぜプロレスとバーリトゥードが違うものになってしまったのか。それは今のプロレスに闘いがないからです。猪木や新間が言っていることは非常によく分かります。
 客入りは外野席は解放せず、アリーナ席もだいぶ空間の広い作りにはなっていましたが、満員にはなっていました。盛り上がりもまあまあでした。
 まずプロレスが3試合でしす。棚橋個人には将来性を感じますが、何か作られたスター候補生という感じが嫌です。U−30の優勝もどうかと思います。天山の貫禄勝ちは当然でした。昔は橋本との一騎討ちでドーム興行をやろうとしていたシャムロックが第2試合の飯塚戦で魔界マスクを被って入場というのは不思議な気がしました。試合は意外と白熱し、いい試合でした。IWGPジュニアタッグ戦は、王者の金本&ライガーがタイガーマスク&ヒートに圧勝しました。これだけ強さを見せてくれると痛快です。それにしてもヒートはまったくいいところなく、マスクマンへの変身は完全に失敗だと思います。試合後は、観戦していたノアジュニア、鈴木みのるとも乱闘になり、今後の楽しみも出来ました。
 そして総合ルールの5試合です。LYOTOは猪木の秘蔵っ子ということで期待しましたが、素質が少しは感じられるもののやはりまだまだで、相手の謙吾も全然ダメで、決め手に欠けるつまらない試合になってしまいました。スミヤバサルはモンゴル相撲の投げや、突進力で非凡なものを感じさせましたが、アクシデントで負傷し、高阪にTKO負けでした。もう少し見てみたかった気がします。中邑のノルキヤへの勝利は痛快でした。顔面グリグリでタップさせるなんて、久々にプロレスの強さを見ました。中邑は期待の星になりました。バーネットはアンブリッツに圧勝。さすがに本物という感じでした。中西は藤田にパンチで圧倒され完敗でした。中西の潜在能力とプロレスの奥深さが見られるかと少し期待していましたが、まったくいいところなしでした。あれじゃバカと言われても文句は言えません。バーリトゥードをやった意味はまったくありませんでした。
 エンセン対村上はいい試合でした。村上のキャラクター、スピリットは非常に素晴らしいと思います。結局は敗れましたが、大流血させられながらも立ち向かう姿勢は素晴らしかったです。逆にエンセンというよりセコンドの小原は場外で手出しをし、最低でした。
 小橋対蝶野は確かにいい試合でした。しかし、力を出し切っていい試合をしたから満足という姿勢が気に入りません。ノア頼りでドーム興行を行い、結果も負けでは全然駄目でしょう。次に小橋に挑む選手も見当たらないというのも悲しい新日本の現状です。
 高山対永田のIWGP&NWF統一戦は、ようやく永田が負けてくれたかという感じです。もともと借りも返せないでいる永田などチャンピオンとは思えませんし、かといって他に誰かいるかというと誰もいないという、これも新日本の悲しい現状で、高山に取られたというのは当然の結果でした。
 全体的には、まあまあの興行でしたが、生まれ変わったとはいえないでしょうね。それと5時間超というのは長過ぎでした。ビデオでの選手紹介など不要なので、もっとスピードアップして欲しいと思います。
Vol.90 全日武道館、ノア有明、そして新日ドームへ

 12日の全日武道館に行って来ました。チャンピオン・カーニバルといえば、最強タッグと並ぶ看板シリーズでしたが、今年のチャンカンは何とも寂しい限りでした。ジュニア版のチャンカンも併催されるという新しい試みもありましたが、ヘビー級があのメンバーでは、チャンピオンのカーニバルとは呼べないでしょう。小島が優勝したといっても、あまり価値が見いだせませんでした。シリーズ最終戦の武道館は、最近は優勝戦ではなく、スペシャルマッチになっていますが、今年もそうでした。
 まず川田の復帰戦、川田&渕対武藤&小島ですが、これはさすがに盛り上がりました。試合も 素晴らしかったです。久しぶりに全日らしい試合を見たという気がしました。
 そして橋本対嵐の三冠戦ですが、とにかく嵐が不甲斐なかったです。攻めきれていないし、受けに回ってももろさが出て、イマイチの試合になってしまいました。
 カシンの世界ジュニア戦は、JCCで優勝したカール・コンティニーの挑戦となりましたが、この選手がイマイチで、カシンのよさもあまり出ず、凡戦でした。
 全体的には空席も目立ち、盛り上がりもイマイチでした。何だかZERO−ONEとの対抗戦も盛り上がりがイマイチという気がします。試合後のマイク合戦で次の三冠挑戦者は小島になりそうですが、やはり川田が出て来て、橋本と対戦してもらわないと本当の対抗戦とはいえません。それからジュニアの方でLowkiが注目です。カシンと戦えば、きっといい試合になるでしょう。
 翌日のノア有明にも行きました。もともとカードがイマイチで、あまり期待はしていませんでしたが、まあそれなりの興行でした。さすがに満員にはなりませんでした。
 GHCヘビー級選手権は、本田の頑張りでいい試合でした。蝶野が観戦に訪れ、試合後に小橋がGHCの次期挑戦者に指名するというおまけつきでした。蝶野はノアでも歓迎ムードでした。
 NWFヘビー級戦は、これも力皇の頑張りでいい試合でした。高山も相変わらず乗っており、実にチャンピオンらしい闘いぶりでした。エベレストジャーマンも説得力十分でした。
 ZERO−ONEの外人も参戦しました。ベイダーも出ておらず、ノアの外人にはこれといった選手がいませんから、こうした交流はいいことだと思います。秋山&斎藤がコリノ&ハワードを一蹴しましたが、コリノはともかく、ハワードはノアの日本人トップ選手と闘ってもいい勝負になるのではないかと思います。
 ノアの興行は比較的満足できることが多いのですが、気に入らない点は、入場シーンが長いことです。確かに入場シーンはレスラーの見せ場ではありますが、前座の6人タッグからいちいち一人づつ入場する必要はないでしょう。かえって試合に対する興味がそがれてしまいます。
 そして次なる注目は新日ドーム大会となるわけですが、まず5月1日に猪木の還暦イベントがあります。猪木がどんなことをやるのか、これは純粋に楽しみにしています。
 翌日2日の興行が本番です。新日はこの大会で生まれ変わるとのことですが、バリトゥード戦を行うものの、出場する新日のトップ選手といえば中西のみ。しかも相手が身内の藤田では何の意味もありません。プロレスの方も、永田対高山の頂上決戦では客が呼べるわけもなく、ノアの小橋頼りです。蝶野の左足の負傷も気になるところです。何とも中途半端で期待薄です。予想を裏切るような結果になればいいのですが、まあ、あまり期待しないで見てみます。
 むしろ注目は同日の後楽園ホールのZERO−ONEです。橋本&小川対武藤&小島は、とても魅力的なカードです。全日との対抗戦に小川と川田が入ってくれば何とも楽しみな展開になっていきます。テレビ東京での放映も決まり、今、注目は橋本のZERO−ONEでしょう。