Vol.92 負け組と勝ち組


 5月の新日ドーム大会で敗れた永田と中西が再始動しました。永田は高山に敗れて、IWGP王座から転落しました。それ以前にミルコに負けていますから、ようやく負けてくれたかという思いでしたが、永田にしてみれば最多防衛記録を作ったこともあり、何かしなければと思ったのでしょう。ここでミルコにリベンジとでも思ってくれれば応援する気にもなるのですが、永田の選択はノア参戦でした。永田がリベンジしなければならないもう一人の相手はノアの秋山ですから、そのステップとして、新日の総帥である蝶野が敗れたGHC王者の小橋へ挑戦するためと考えればまあ納得もいきますが、ノア側にしてみれば特にメリットはないのではないかという気がします。
 6.6武道館は観に行きましたが、永田は田上に勝利したものの、これといった印象は残りませんでした。セミファイナルでしたが、特に期待もありませんでした。観客動員にもつながらなかったようで、カードがイマイチだったこともあり、満員にはなりませんでした。話しはそれますが、この日のメインは秋山&斎藤対小橋&本田のGHCタッグ戦でした。あまり期待していなかったのですが、これは素晴らしい試合でした。本田の頑張りがあってこそでしたが、新日ドームで勝利した小橋がノア初の二冠獲得という結果になりました。
 無冠となり、身軽になった秋山は、新日のG1参戦が決定しました。年々スケールが小さくなるG1ですが、これで今年は大きな目玉が出来ました。しかし、またしてもノア頼みというのが情けないです。
 さて、一方、藤田に敗れた中西は、総合格闘技の練習を続け、K−1に出場しました。総合のPRIDEならまだしも、立ち技のK−1というのはあまりに無謀な選択ですが、出た以上は負けは許されません。しかも相手はKー1トップファイターではなくTOAという訳の分からない選手でした。しかし、中西はお粗末なガードで、あっさりとKO負けを喫しました。この馬鹿な男は今後どこに進んでいくのでしょう。もうどうでもいいのですが、負けたまま当然のようにプロレスに戻っていくのだけはやめて欲しいです。
 中西に勝った藤田は、もともとミルコに負けており、実は負け組ですが、ヒョードルにも敗れました。勝ち続けるミルコとヒョードルは最強の座を賭けて一騎討ちというムードになっています。そこに藤田が入り込む余地はもうありません。藤田ははっきり言ってこれでも終わりです。それなのに藤田本人は試合内容に満足しているようで、その甘さが敗因だということに気付いていません。周囲も挑戦した勇気と試合内容を賞賛ムードですが、私が見た限りでは、ラッキーパンチが一発当たったもののヒョードルの圧勝でした。プロレスは確かに敗者に寛大なところがあって、それがプロレスのいいところであり、欠点でもあります。ただ、プロレスは、単にどちらがカウント3を取るかという勝負ではなく、試合結果とは関係なく、男と男の生きざまを賭けて闘う真剣勝負です。最近のプロレスラーはそこが分かっていない。そういう勝負をしていない。だから他流試合で負けてしまうのだと思います。
 6.13新日武道館大会ですが、客入りはノアの足下にも及ばず。内容はそこそこでした。何で新日はこうなってしまったのか。最強の格闘集団だった新日が、いつの間にやら負け組の集団になってしまったからです。強さを取り戻す。口だけではなく、実行して欲しいものです。
 吉江&棚橋がIWGPタッグチャンピオンだなんて笑ってしまいます。船木がヒクソンに敗れて存在意義をなくしたパンクラスの鈴木も登場しました。負け組同士の戦いです。パンクラスはますます存在意義がなくなりました。
 高山相手に健闘した中邑は本当に素晴らしいです。強い新日本を取り戻すための希望の存在です。この日は永田相手にしょっぱいリングアウト勝ちをした柴田ですが、この男にも注目したいと思います。彼ら新しい世代が強いプロレスラーに育ってくれることを期待します。