Vol.93 全日vsZERO−ONEクライマックス


 橋本&小川対武藤&川田は久しぶりにワクワクするカードでした。橋本と武藤の絡みは新日時代から見慣れていますが、橋本と川田、そして小川と川田、小川と武藤の絡みは新鮮で、武藤と川田のタッグ結成も新鮮でした。
 橋本が右ヒザを負傷してしまい、心配されました。実際、状態はかなり悪いようでした。川田も右足の怪我から復帰したばかりで万全の状態ではなく、武藤も前哨戦で小川に右ヒジを負傷させられて、誰もがまさに満身創痍という状態でした。そのせいで決してスマートないい試合ではありませんでしたが、骨と骨がぶつかり合う闘いという感じで、素晴らしい試合でした。
 結果は、川田の右ハイキックを橋本がケサ斬りチョップで返し、そのまま右足を攻めたて、セコンドの渕がタオルを投入して、橋本が川田からTKO勝ちとなりました。しっかりと一つになっていたOH砲と急造だった武藤&川田組のコンビネーションの差が出ました。負けられないという気持ちでもOH砲が上回っていたと思います。それでも、このカードで両国が満員にならないというのは少し寂しい気がしました。
 勝った橋本もダメージは大きく、右足の負傷が悪化した上に右肩も脱臼してしまいました。OH祭りのタッグリーグ戦、三冠防衛戦とビッグマッチが続きますが、とても試合のできる状態とは思えませんでした。結局、橋本はその後、欠場を続け、OH祭は代役の藤井とUFOタッグを結成した小川が優勝しました。決勝戦後には小島が乱入して、小川にラリアートを見舞いました。
 一方、全日は、武藤と川田が三冠挑戦者決定戦を行い、川田が勝利しました。やはりここは川田が出て行かないと格好がつかないでしょう。
 そして迎えた全日武道館大会ですが、メインは川田&小島対小川&藤井となりました。橋本対川田の三冠戦が流れたなら、小川対川田のシングルをやって欲しかったので、タッグ対決に落ち着き、藤井がやられるのは目に見えてましたから、がっかりでした。
 試合の方は、小川と川田の絡みはそれなりに見るものはありましたが、2度目ということで新鮮みは薄れており、予想と降り藤井がやられ、しかもフォールではなくリングアウトということで消化不良となりました。試合後は全日のリングながら、乱闘、マイク合戦とZERO−ONEのノリでした。川田もマイクアピールしていました。5.2後楽園での乱入、マイクはかなりインパクトがありましたが、あまり度重なると、どうかなあと思います。もう前哨戦はいいので、早く一騎討ちをやってくれというのが正直な気持ちです。
 こうして全日とZERO−ONEの対抗戦はひとまずの区切りが着いたわけですが、三冠王座は空位となり、川田と橋本、小川の決着は着いておらず、今後の展開に期待します。
 対するノア&新日連合軍は、ノアの大阪府立大会でビッグマッチがありました。新日の真壁が小橋を徹底的に挑発し、高山とのコンビで小橋&本田に挑んだGHCタッグ戦、丸藤&KENTAとライガー&村浜の決勝戦となったGHCジュニアタッグ王座決定戦、そして秋山対永田の1年半振りのシングル。これらはテレビ観戦でした。今のノアは最も安心できるプロレスの試合を提供してくれますが、どれもまあいい試合ではありました。ただ結果はすべて予想通り。大きなインパクトはありませんでした。
 新日は札幌でビッグマッチがありましたが、高山と蝶野のIWGP戦は両者リングアウト、バーネットとノートンがなぜか格闘技戦、短期間海外に行っただけで復活したヒートがライガーに勝利、鈴木ものるが予定通り金本に勝利、棚橋が柴田相手にU−30王座を防衛と、どれもピンとこない試合ばかりでした。
 そんな中で最大の話題はWWEの日本上陸だったのではないでしょうか。本物のエンターテイメントプロレスWWEが大人気というのが今のプロレス界を象徴しているような気がします。