増刊号 ノア東京ドーム観戦記


 初のドームということもあってか、新鮮なカードが並び、とても興味を引かれました。武藤と三沢の夢の初対決を初め、全日との交流、そして新日との交流もあり、そんな中、メインを締めるのは小橋対秋山のノア最高カード、そしてこのカードはプロレス界最高のカードといってもいい価値のあるカードです。それが非常に大きな意味があります。
 試合は前半5試合がノアの通常のカード、第1試合の百田対永源は、いつものやりとりで盛り上がりましたが、他の4試合は少し中だるみになった感じでした。ただ、田上は大きさとダイナミックさで存在感を示していました。ドーム向きなのかもしれません。全10試合で休憩時間もなく、無駄な演出もなく進行して、終了が10時過ぎ、4時間以上で長く感じられましたから、前半は2、3試合で良かったのかもしれません。
 第6試合、丸藤&KENTA対杉浦&カシンのGHCジュニアタッグ戦ですが、カシンのキャラクターはノアのリングでも光っていました。全日を解雇されて自由になったカシンをノアやその他のリングでももっと見てみたいと思います。
 ライガー対金丸のGHCジュニア戦は、激しい応酬の末、金丸がベルトを奪回し、ノアにとってはハッピーエンドとなりました。高山&鈴木対力皇&森嶋のIWGPタッグ選手権は、高山&鈴木の貫禄勝ちでした。
 そして三沢&小川対武藤&ケアのGHCタッグ選手権ですが、やはり武藤と三沢の初対決というのは相当な魅力です。入場シーンから大注目でしたし、試合は小川とケアで始まりましたが、ケアが武藤にタッチし、小川が三沢とタッチする素振りを見せたところで大盛り上がりでした。 ロックアップ、ロープワークのオーソドックスなやりとりの後、三沢がいきなりのタイガードライバー、そして武藤がすかさずシャイニングウイザードと初遭遇は大変魅力的でした。最後は三沢がケアに勝ちましたが、武藤が小川にエネラルドフロージョンを決めると、三沢がすぐにシャイニングウイザードをお返ししたり、二人の絡みは十分に楽しめました。しかし、三沢対武藤はまだまだ見たいです。これから線にしてつなげていって欲しいと思います。
 小橋対秋山のGHCヘビー級選手権は、文句なしに凄い試合でした。ただ、やはり三沢対武藤の初対決のインパクトが強烈過ぎたという印象が残りました。
 外野席は解放していませんでした。空席もありました。このカードでこの入りでは、もはやプロレスでドームを超満員にすることはできないでしょう。それが今のプロレスの現実なのでしょうね。まあ、無理に見にくいドームで試合をする必要もないのですが。とにかく今日の興行は満足できるものでした。
 最後になりますが、ラッシャー木村がビデオでオーロラビジョンに登場し、突然の引退を発表しました。体調不良で長くリングを離れていましたが、久しぶりに見た姿は、ずいぶんと弱々しくなった感じでした。また一人、昭和の名レスラーがリングを去ることになり、とても悲しい思いでした。
Vol.104 IWGP封印、ノア&全日、PRIDE

 K−1「ROMANEX」で藤田、中邑を初めプロレスラーが勝利したことで、少しモヤモヤが晴れてきたのか、プロレス界も少し盛り上がってきた気がします。やはり総合格闘技の試合に出るなら、実力のあるレスラーが十分に準備して出るべきだし、関わらないのなら徹底して関わらずにプロレスの試合でプロレスの凄さを証明するべきなのでしょう。実力もなく準備もなく総合に出て、負けてそのまま帰って来るようなことは絶対にしてはいけません。
 開幕戦がその「ROMANEX」と重なり、あまり話題にならなかった新日ジュニアの祭典、ベスト・オブ・ザ・スーパージュニアですが、後楽園で行われた決勝トーナメントは内容も盛り上がりも素晴らしかったようです。新日ジュニアは非常に素晴らしいものだと思いますから、もっと脚光を浴びて欲しいと思います。
 サップの返上という形になったIWGPヘビー級選手権は、サップを倒した藤田が出てきたことで何とか格好がつきました。もともと棚橋が挑戦者というのには異論はありましたが、試合内容も良かったと思います。藤田が新王者というのも納得です。藤田は現在使われているベルトを置いていき、結局、今後は旧型のベルトが使用されるようになりましたが、これなどは新日が中途半端に総合格闘技と関わってきたことの結果だと思います。IWGPのベルトに価値が落ちましたし、今の新日にベルトを巻くに相応しい選手が見当たりません。新日は「ROMANEX」の勝利くらいでは返せない借りがまだ残っています。すべての借りを返せたとき、IWGPのベルトの価値も戻るでしょう。新日にはまだまだ頑張ってもらいたいと思います。
 プロレス界の話題は今、新日よりもノアでしょう。7.10東京ドームは、初進出ということもありますが、豪華なカードが並びました。メインの小橋対秋山はノア純血のビッグカードですし、三沢対武藤の超ドリームマッチもあります。ノアと全日に接点が生まれた意義はとても大きいと思います。
 全日も武藤色が全面に出て、いい感じになっています。7.18両国進出も決まり、今後の展開が非常に楽しみです。
 さて総合格闘技の方では「PRIDEGP」の準々決勝が行われました。小川がシウバに圧勝し、ベスト4に進出しました。ハッスルの演説も良かったです。しかし、ここまでは勝って当然、本番はこれからです。優勝しなければ、今までの勝利は意味がなくなってしまいます。何としても結果を残して欲しいと思います。ジャクソンがアローナに決めたパワーボムは強烈でした。プロレスラーにこれをやって欲しいいところなんですが。