Vol.105 やっぱG1より小川でしょう


 7月はビッグマッチが相次ぎました。まずは7.10ノアの東京ドームです。小橋対秋山は文句無しに凄い試合でしたし、タッグながら三沢と武藤の夢の初対決は魅力に溢れていました。新日勢も参戦しましたが、やはり禁断の全日とノアの交流が実現した意義は大きいと思います。早速、三沢の4年振りの全日参戦、小島との対戦も決定しました。
 その7.18全日両国大会ですが、聖地であった武道館を撤退して以降、初の1万人規模の会場ということで魅力あるカードが並びました。客入りもまあまあといったところでした。
 注目の三沢は、セミで小島と対戦。大歓声で迎えられました。ノアのドームでの武藤と同様で、やはり、この2人は絶対的なベビーフェースです。試合は小島が大健闘し、エメラルドフロージョンで決まったかと思いました。決まっていれば、ただ小島は健闘したなで終わっていましたが、カウント2で返し、ラリアートであわやと思える場面まで作り、最後は三沢にタイガードライバー91まで出させましから立派な闘いでした。
 メインの川田対大森の三冠戦は、完全にセミに食われた形になりました。大森には随分と野次が飛んでいましたが、確かにまだまだの内容でした。川田も足を痛めたようで、精彩を欠き、イマイチの試合でした。
 武藤対西村は予想通りのオーソドックスな試合でした。西村の倒立、コブラツイスト、スピニングトーホールド、逆さ押さえ込み、すべてが出ました。足四の字で、両者がヨガポーズを取り、固まってしまうというのが見せ場でした。要所でシャイニングウイザードを出した武藤が、最後もシャイニングウイザードで決めました。こういう試合は結構好きです。ただ、最後の3カウントがちょっと不明瞭で締まりませんでしたが、レフェリーが不明瞭裁定常習犯のタイガー服部。何故こんなヘタクソな人にレフェリーをやらせるのか不思議です。
 天龍の存在感も光っていました。あの迫力は他の人には出せません。年齢を考えれば、本当に恐ろしいレスラーです。
 ビッグマッチはまだあります。7.16WWEの日本公演です。なかなかチケットが買えなかったWWEですが、前回のRAWでようやく初観戦できましたが、今回は初のSMACKDOWNということで、テレビで馴染みもあり、非常に楽しみでした。武道館なので近くで観れるというのも嬉しいです。チケットは意外と楽に取れました。
 前回のRAWは期待外れという感じでしたが、今回は大満足、感動するほど面白かったです。武道館という会場も良かったし、テレビで知っている選手が多かったのも良かったかもしれません。
 それでも知らない選手もいましたが、とにかく分かりやすくて、キャラクターがはっきりしていたので知らない選手の試合も十分に楽しめました。嫌みな感じのナルシスト系マッチョマンが出てくればヒールだとすぐに分かりますし、闘い方もヒールはヒールらしく、ベビーフェースは格好良く、単純明快でした。それぞれが出れば必ず決まる必殺技を持っているのもいいです。予定時間ピッタリに始まり、無駄な演出で間延びすることなく試合は進行し、休憩時間も10分とアナウンスした通り長くなく、全部で2時間半。丁度いい長さでした。日本の団体もこの進行の良さを見習って欲しいものです。
 今回の主役はツアータイトルにもなっているアンダーテイカーでしたが、何故か第5試合に登場。ダッドリーズとハンディキャップマッチを行いました。とにかくアンダーテイカーの存在感はもの凄かったです。入場シーンだけでワクワクしました。
 第1試合には凱旋帰国のフナキが登場して、つかみはバッチリという感じでした。ミステリオとRVDのタッグも最高でした。決め技の619は最高の盛り上がりでした。セコンドで登場したアングルGMは期待と通りに悪のアシストをし、ジョン・シーナもいい味を出していました。DIVAマッチは何とセミファイナルで、トーリーとダン・マリーが戦いました。試合自体は何てことはなかったですが、DIVAが見れただけで満足という感じです。出場する予定だったはずのセイブルが現れなかったのが残念でした。
 メインは新王者JBLとエディ・ゲレロの世界戦でした。エディはお馴染みのスタイルで、JBLはスタン・ハンセンのような大型ながら、リック・フレアーのようなずる賢い王者という感じでした。最後は足を負傷していたはずのアングルGMが乱入、実は足の負傷など治っており、元気一杯。JBLの反則負けとなりました。反則決着も大歓迎。とても面白かったです。しかし、これだけでは終わりません。エディの救出にアンダーテイカーが登場、悪党軍団をなぎ倒し、しっかりと締めてくれました。テーマ曲に乗り、アンダーテイカーが退場し、会場が明るくなると拍手が起こりました。本当に素晴らしい興行でした。
 さて、この後、8月といえば、新日のG1です。もう10年以上前になりますが、第1回のG1の感動は忘れられません。凝縮された最強メンバーによる総当たり戦の実現に驚き、藤波、長州の敗退に対する寂しい思い、蝶野、武藤、橋本たちの勝利に対する喜び、そして時代が変わった歴史的瞬間を見たという思い。本当に素晴らしい大会でした。
 以降、真夏の祭典としてG1は定着し、観続けてきました。5連戦だろうと、7連戦だろうと、すべて観てきましたが、徐々に第1回の輝きは失われ、ここ数年の新日の体たらくぶりもあり、最近は惰性で決勝戦ふだけを観に行っていました。何かきっかけがあれば、行かなかったかもしれません。今までは特に別の用事が入ることもありませんでしたし、他の観たい興行と重なることもありませんでした。
 ところが今年はPRIDEGPとぶつかりました。意図的なものなのか偶然なのかは分かりませんが、ある意味、事件だと思います。私にとってもG1を考え直す機会となりました。結論はG1ではなく、PRIDEGPを選択することにしました。
 新日は新闘魂三銃士として中邑、棚橋、柴田の3人を売り出そうとしています。確かに彼らは大きな可能性を秘めています。ただ私にとっては、以前の三銃士のときのような実績も、思い入れも、まだありません。外様の天龍、高山、出戻りの鈴木、健介には多少、興味があります。ただ、とにかく新日本体にまったく魅力がありません。
 総合格闘技の攻勢に対して、交わらずに、独自にプロレスの凄さ、強さを見せていくといのも一つの方法です。交わってしまったのはUWFでしたが、交わって負けてしまった以上、その借りを返すべきだったのは、これまでの歴史を考えれば、新日本でした。ところが、台頭する総合格闘技を放ったらかし、やっと交わったかと思えば、中途半端。準備不足で負けっ放しという有り様でした。
 となれば、やはりPRIDEに参戦し、勝っている小川の方に期待するのは当たり前です。初めの頃の小川にはプロレスラーの代表いうイメージはありませんでした。総合格闘技から離れ、逃げていると陰口を叩かれながら、プロレスラーとして大きく成長した上での、突然のPRIDEGP参戦。それもハッスルの宣伝のためという理由です。そしてベスト4に残りました。実に痛快な出来事でした。今やプロレス最後の砦とまでいえるようになった小川を応援しに行くことにしました。期待に応えてくれることを切に願います。
 ところが、G1のチケットは即完売してしまい、買い損なってしまいました。もうこの時点でPRIDEの勝ちですけど、仕方ないのでG1を観に行くかもしれません。