増刊号 WWE 2DAYS


 WWEのさいたまスーパーアリーナ大会に行って来ました。2日目は馬場さんの七回忌興行とバッティングしていたのですが、どちらかというと重なっていた「スマックダウン」の方が好きなことと、せっかくの2日連続興行なので両方見たいということで、馬場さんには申し訳ないと思いましたが、WWEを選んでしまいました。
 これまでのWWEはハウスショーだったので、ちょっとイメージと違うところもあったのですが、今回は初のテレビ収録ということで、期待通りの面白さでした。大スクリーンには前回のハイライトシーンやバックステージでの模様が写し出され、とてもいい感じでした。
 もっと乱入や反則絡みが多いのかと思っていましたが、意外に少なく、乱入で試合が壊れたのは「スマックダウン」でのアングル軍とJBL軍のタッグチーム同士の試合で、馴染みのない互いにヒールの選手で、どちらを応援したものかと困っていたところでしたから、むしろ壊れて良かったという感じで、場内が暗転し、例の鐘の音が鳴り、明るくなったときにはリング内にアンダーテイカーが立っていたという見事な演出でしたから、むしろ壊れて大歓迎でした。
 「ロウ」のメインのワールドヘビー級戦にも乱入がありましたが、それで試合が壊れることはなく、いいスパイスになっていました。バティスタがベルトの挑戦権を獲得したことで、ボスであるトリプルHとの関係がおかしくなり、バティスタがトリプルHの救出に乱入したものの、少しおかしなやりとりがあって、結局、バティスタの加勢によってトリプルHが勝利し、握手を交わすのですが、バティスタが魅入られたようにベルトを見つめ、気づいたトリプルHが慌てて、さてこれからどうなるというのが「ロウ」のメインストーリーでした。なかなか見せてくれます。
 「ロウ」ではTAJIRIがタッグタイトルを獲得するというもう1つのハイライトがありましたが、これなど感動ものでした。
 ショーに徹しているから面白いといわれますが、決してそんなことはありません。レスリングも実にしっかりしています。堕落した日本の団体より、よほどしっかりとした試合をしています。日本では必殺技を安売りし過ぎる気がしますが、スター選手には、これが決まれば勝ちという必殺技があるのも素晴らしいことです。キャラクターがはっきりしていて分かりやすいというのもあります。知らない選手も多かったですが、一目見ればベビーかヒールか分かるので安心して応援できます。日本のプロレスは複雑で分かりにくい気がします。
 「ロウ」「スマックダウン」ともに前番組があって、1時間ほどはその前番組の収録になっているそうです。それから「ロウ」は2時間半、「スマックダウン」は2時間ほどでした。休憩はなし。興行のテンポもよく、ダラダラと長い日本の興行とは違って、無駄を感じませんでした。 どんな試合があるかはほとんど発表されていませんので、その場になってみないと分かりませんが、これが逆に楽しみでもありました。「スマックダウン」ではいきなりエディー・ゲレロが登 場し、場内は一気にヒートアップしました。さらに対戦相手がケンゾーと、期待を裏切りません。アングルとミステリオの試合は素晴らしい内容でしたが、これで終わりかなと思ったら、もう一度、アンダーテイカーが登場と、とにかく楽しませてくれます。
 進行は英語で、通訳なしでしたから、雰囲気でしか分かりませんでしたが、それだけで十分だったと思います。通訳などされてもストレートに伝わるとは思えませんから、なくて正解だったと思います。トリプルHが「アイ・ラブ・ユー」と言えば、それだけでOKでしょう。
 新鮮というのもあるのでしょうが、最近の日本のプロレスを見ても、心から楽しめるということが、ほとんどありませんでしたが、このWWEの2日間は、本当に心からプロレスが楽しめました。WWEには日本のプロレスが忘れてしまったものが残っているという感じです。日本のプロレスももう一度原点を見つめなおして欲しいと思います。
Vol.111 2005年のプロレス界は・・・

 新日ドーム大会が今年のプロレス初観戦でした。昨年の新日のあまりのひどさに、観に行くかどうか、かなり迷いました。これといって観たいカードも1つもなく、一度は観に行かないことに決めましたが、仕事の方も都合がつきそうだし、毎年恒例のことだし、猪木も来るみたいだし、3千円の席もあるしということで、当日買った3千円のチケットで観に行きました。
 初めからまるで期待していなかったのがよかったのか、蝶野が長州と天山に連勝、中邑が棚橋に勝利、永田と中西が惨敗とすべて望んでいた結果になったということもあり、内容的には満足しました。
 会場の盛り上がりは当然イマイチでした。ただでさえプロレスには広すぎるドームがあれだけガラガラでは、どんなにいい試合をしても盛り上がらないでしょう。カードにしてもとてもドームにふさわしいとはとはいえませんでしたから、試合前の盛り上がりもありませんでした。
 メインの中邑対棚橋はいい試合だったと思います。十分に満足しました。U−30などというくだらないベルトが封印される結果になったことも良かったと思います。中邑は総合格闘技でもプロレスの強さを証明し、プロレスの試合でも結果を出しています。才能もスター性もあると思います。今後、新日本は中邑一人を全面的に押し出していくべきです。皆に平等にチャンスを与えてチャンピオンを持ち回りでやっていくような今までのやり方は止めて、中邑を真のスーパパースターに育てていくことが今後のプロレス界のためだと思います。
 長州はまったく認めていません。長州が出場することが観に行くのを止めようかと思った理由の1つでもありました。急きょ巴戦に変更された経緯も気に入りませんでしたし、最近の蝶野の試合振りではとても期待できないとも思っていました。丁度、夕食時になったことだし、セミの試合は弁当を食べながら、適当に観ていましたが、意外といい試合でした。当たり前のことですが、他社の介入や反則といった不透明なことはありませんでしたし、蝶野は新技を開発し、意欲的でした。長州にかなりの声援があることが本当に信じられない思いですが、もう長州はいらないでしょう。今回限りで長州を出すのは止めにして欲しいと思います。
 目玉の1つだったアルティメットロワイヤルですが、出場メンバーも試合形式も直前まで未定ということで、まったく目玉にはなっていなかったと思います。いざふたを開けてみれば、このメンバーで格闘技戦をやって何の意味があるのというメンバーでした。おまけに格闘技のバトルロイヤルってどんなふうになるのだろうというわずかな興味も、試合前に抽選で対戦相手を決めたことで、ただのトーナメントになってしまいました。すべての試合が早々と終わり、中西、永田の負け組が負けてくれたことで良かったと思っただけでした。出場メンバーと試合形式を改善すれば、もう少しましなものになったと思います。
 この日の試合内容は合格点だったと思います。しかし、年末にすっかり定着した感のある格闘技の大会に比べて、新年の新日ドーム大会は歴史も古いのですが、今では、完全に負けています。新日がすべきことは、ただビッグマッチを連発するのではなく、小さな会場で、いいカードを提供し、いい試合をし、ファンの信頼を回復することだと思います。
 さて、その後の新日本ですが、1月恒例の契約更改は意外とすんなりいったようでしたが、柴田が退団しました。武蔵に勝ってからほざけという感じです。別に辞めたいなら辞めればいいし、特に興味はありません。2.20両国では史上初となるIWGPと三冠の統一戦が決定しました。両ベルトとも以前ほどの価値はなくなったとはいえ、いい試みだと思います。ただ王者が天山で、しかも負傷しているというところが気がかりです。長州が出ることもあり、両国は行くか行かないか今のところ保留です。
 ノアの武道館大会にも行って来ました。こちらの方は超満員でした。満員のプロレス会場を久しぶりに見たという感じです。盛り上がっていました。天龍の入場時の盛り上がりなど、これがプロレス会場だよという雰囲気でした。やはり今、一番まともにプロレスをやり、ファンと信頼関係を築いているのがノアということなのでしょう。
 メインの小橋対鈴木は、噛み合ないのが面白いという試合。これが全日対新日とか、猪木対馬場の代理戦争みたいに言われると、スケールが小さすぎるという気がしますが、今、新日らしさを一番感じられる選手が鈴木みのるであることは間違いありません。
 セミの三沢&力皇対天龍&越中は、飾り気なしのぶつかり合いで、いい試合でした。天龍にはいつものことながら驚かされますが、力皇の頑張りにも目を見張るものがありました。
 金丸対高岩のGHCジュニア戦は、凄い試合でした。途中があまりに凄過ぎて、フィニッシュがあっけなかった気がします。応援していた高岩が負けてしまったこともあり、拍子抜けでした。
 森嶋が復帰しましたが、また大きくなっていました。まだまだ荒削りながら、とにかくあの大きさは魅力です。
 さて、2月はWWEの両ブランドが2日連続で日本初のテレビ収録ということで、両方ともチケットが取れました。2日目は馬場さんの7周忌興行と重なっており、かなり迷いましたが、やはりせっかくだから2日とも観たいということでWWEを選びました。とても楽しみです。