Vol.112 IWGP&三冠統一


 2月の観戦はWWEのロウ&スマックダウン、そしてハッスルハウスとエンターテイメント路線に走っていました。WWEは先月の増刊号に書いた通り、本当に素晴らしかったです。ハッスルはまったく認めておらず、観に行くつもりもなかったのですが、ちょっと機会があって、9日の後楽園のインリン様ナイトを観ました。さすがにWWEには遠く及びませんでしたが、意外と面白かったというのが素直な感想です。その後、ハッスル7では小川がインリンに敗れるという究極のエンターテイメント路線を走り、怒った川田と乱闘、ハッスル8で小川対川田が決まりました。前回の対戦はいい試合になりましたが、こんな状況での対戦はどんなものになるのか、大きな疑問符がつくので、ちょっと観に行こうという気にはなれません。
 新日の両国大会でIWGPと三冠の統一戦が行われました。1.4東京ドームはまあ満足できる内容でしたが、信頼を取り戻すまでにはまだまだほど遠いです。IWGPも三冠もずいぶんと価値が下がってしまったと思いますし、天山も小島も王者にふさわしいとは思えません。他にもドームでは今年は一人のレスラーとして頑張ってくれるのかと思わせる試合をした蝶野が、その後は中西をリーダーに指名したり、鈴木みのるを引き入れ、藤波にまで働きかけるなど、またリング外での動きを活発させる中、ボロボロの新日本体との団体戦ということで魅力を感じません。懲りもせず長州も出ます。猪木が誕生日で来場するというのが唯一観に行こうかなというところですが、その猪木が全日との提携路線を否定しているということで、おかしなことをやりかねません。ということで信用できない匂いがプンプンしましたので、観に行きませんでした。
 結果は小島が59分49秒で天山にKO勝ちという壮絶で劇的な試合となり、王座が統一されました。素晴らしい試合だったと思います。決着が着いたことが何より素晴らしいです。私は始めから引き分けではないかという気がしていました。残り時間が少なくなるにつれ、ほとんどの人がそう思ったはずです。残り11秒で、KOという形で決着がついたことは、いい意味で裏切られました。このいい裏切りが驚きを呼び、感動を呼びます。プロレスの最大の魅力です。観客動員も超満員札止めということで、統一戦をやった価値はあったと思います。
 では、これを見逃して悔しいかというとそうでもないんです。この試合をもってしても、まだまだ新日の信頼回復には時間がかかるということです。もっともっとこうした満足できる試合を続けて、観に行かなかったことを後悔させてくれるような状況にして欲しいと思います。
 それには今後の闘いが重要です。勝負にこだわれば、今回の天山の敗北は、新日にとって歴史的な敗北です。永田や棚橋など、地に落ちた状況の新日を代表する資格のない選手や、完敗した天山が次期挑戦者に名前があがっているのが気になりますが、いかにIWGPを取り戻すのか、少し興味が持てるようになりました。返してもらったではなくて、誰もが納得できる形で奪回しなければなりません。そうすれば信頼回復が進むと思います。
 小島のことはあまり認めていませんが、IWGPのベルトを投げ捨てたのは、なかなかやるなと思ったのですが、すぐに謝罪したり、IWGPと三冠を別に戦っていくようなはつげんをしたのには賛成できません。四冠王者として、新日の刺客、武藤らを退け、最強を示すような闘いを続けて、見直させて欲しいです。
 この王座統一がいい切っ掛けとなってプロレス界が盛り上がって欲しいと思います。これがプロレス復権のラストチャンスという気がします。