Vol.113 ノア武道館、新日両国&HERO’S


 3月5日のノア武道館大会に行ってきました。話題となっていたのは天龍組対秋山組というよりセコンドの北斗対神取でした。鈴木みのると丸藤の合体というのもありました。メインの小橋対力皇のGHC戦は、新日と全日のIWGP&三冠統一もあり、注目度がイマイチでした。
 こうした盛り上げも必要ですが、大事なのは試合内容です。その点、ノアはどこかの団体と違ってファンと信頼関係ができています。この日も満員の入りで盛り上がっていました。
 メインのGHC戦はいい試合でしたが、見ていて小橋が負ける気はまったくしませんでした。まだまだ存在感で力皇は小橋に遠く及びませんでした。なのに力皇が勝ってしまって、まったく説得力がありませんでした。会場は盛り上がっていましたから、多くの人は私とは違う感じを受けたのでしょうが、私は納得がいきませんでした。
 セミの天龍&鈴木対秋山&森嶋は、セコンドの北斗と神取に注目が集まっていましたが、その割には場外乱戦のとき、ちょっと2人が小競り合いをしたら外に連れ出されてしまって、見せ場がほとんどありませんでした。森嶋はジャンボ鶴田のテーマで入場し、バックドロップやオーで見せ場は作りましたが、天龍の牙城は崩せませんでした。やはり天龍は三沢、秋山らとのシングルが見たいです。三沢&鼓太郎対大谷&高岩は、ゼロワンコンビがとりあえず勝ちにこだわったという感じでした。大谷と上位陣の対決も見てみたいです。
 ビッグマッチのなかった全日ですが、川田の退団というビッグニュースがありました。ただ全日離脱ということではなく、フリーとして全日にも参戦し、他団体にも活動の場を広げていくというものでした。武藤政権がいい形になってきた全日の現状からすれば、真っ当な選択だと思います。むしろ健介、天龍、鈴木みのるのように、これまで以上に活躍できるでしょう。団体の価値の崩壊を改めて感じる出来事でした。
 26日には新日の両国大会がありました。トーナメントでIWGPの挑戦者を決めるというのは良いと思いましたが、中西の何処に資格があるのか分かりません。天山も負けたから終わりという訳ではありませんが、あの状況で完敗したのですから、こうも簡単にもう一丁はないでしょう。春のG1トーナメントも意義がかすんでしまいます。5月まで選手権を引っ張るのなら、全日が主張するチャンピオンカーニバル後に全日のリングでという主張の方が正しい気がします。藤波は大好きなレスラーでしたが、社長になってからの橋本騒動を筆頭とする優柔不断振り、引退するのしないののから騒ぎで、今さら復帰といっても興味が薄れてしまいました。永田対高阪には何の興味もありません。そもそも対戦カードは発表一度されていて、また変更しているし、などなどまたも不信な要素が多かったので観に行かないことにしました。
 そうこうしているうちに中邑のアピールにより小島対中邑のIWGP戦が決定してしまいました。中邑の主張には賛同できます。最初からそのように発表すれば何の異論もないのですが、またもカード変更です。新日はまだ自分たちの置かれた状況が分かっていないようです。週プロに、この間の名古屋大会が史上最低の入りだったということで、新日の関係者が「不況のせい」と話していたという記事が載っていました。あきれました。
 最初から小島対中邑のIWGP戦であれば観に行ってもよかったのにとは思いましたが、その日は、前田ファンの知り合いに誘われて「HERO’S」を観に行くことにしてしまいました。新日の両国は結局、どうしても観たいというものではありませんでしたから。
 そして新日両国の結果ですが、小島と中邑のIWGP戦は時間切れ引き分け、次期挑戦者決定トーナメントは天山が優勝でした。これでは観に行かなくて正解でした。天山の価値は下がらず、小島、中邑の価値も上がりませんでした。もちろんIWGPの価値も上がっていません。5月のドームで天山がベルトを奪回し、ずべて丸く収まることが見えてしまいました。興味がなくなりました。
 さて「HERO’S」ですが、上井&前田のビッグマウスにもあまり期待はしていません。ストロングスタイル、総合格闘技で勝てるレスラーという理想には賛同しますが、長州対柴田では、とてもその理想が実現できるとは思えません。前田にしても総合格闘技の発展には大きな実績を残していますが、結局はプロレスを離れていった人間です。
 さいたまスーパーアリーナの旗揚げ戦は、会場を小さくしていたものの、そこそこの入りで、発表から短期間での開催にしては成功だったといえるでしょう。印象に残ったのは宇野薫の試合でした。総合格闘技はこう着して長くなると本当につまらないのですが、この試合は3Rまでいったものの、動きが多彩で観ていて面白かったです。そして優勢に進めていた宇野が終了真際に、ヒザ蹴り一発で大逆転の完全KO負けという結末も衝撃的でした。ただ、やはりこう着した試合やアクシデントによる決着もあり、長過ぎる入場や、ビデオによる選手の紹介など冗長なところもあり、メインを飾るに相応しい目玉となるスター選手もいなかったので、メインに向けて盛り上がっていくという感じがなく、前半の方が盛り上がって、後半はダレたという感じでした。前田はいきなりリング上に登場し、挨拶をしましたが、たどたどしく原稿を読み上げて、気持ちが伝わりませんでした。PRIDEに対抗する売りも今のところ見当たりません。それでも当日のゴールデンタイムにテレビ中継があったあたりは、プロレスと総合格闘技の勢いの差でしょうか。
 女子プロレス界では、全女の解散騒動がありました。結局、いいかげんな経営体質は治らなかったということです。かつての繁栄を知っているだけに、今の女子プロレス界は本当に寂しい状態です。一人でもスター戦主が出てくれば変わるのでしょうが、春になっても、プロレスの花が咲く気配はありませんねぇ。