Vol.119 ノア、新日、全日の今


 ノアは今のプロレス界で一番活気があり、まともなプロレスを見せる団体でしょう。ただインパクトのないカードだと武道館にも空席があるというのが現状です。18日の武道館大会がそうでした。
 メインは力皇対三沢のGHCヘビー級選手権でしたが、力皇は小橋から王座を奪取した試合も、過去2度の防衛戦も、すべて納得のいく内容ではありませんでした。この日も内容的には王者失格の試合で、結果としては三沢が負けてしまうということで不満が残ってしまいました。メインがこれでは、興行としてはすべて駄目ということになります。セミまでは盛り上がっていたのですが。
 セミの小橋&田上対天龍&秋山はいい試合でした。天龍と小橋のチョップ合戦は素晴らしかったです。何故かたまに爆発する田上も健闘し、秋山からフォールを奪いました。KENTA対SUWAのGHCジュニア戦は、一度はすぐにSUWAの反則負けとなりましたが、ジョー樋口の裁定で再試合となり、KENTAが勝ちましたが、GHCの権威というならば、反則負けで終わりで良かったと思います。結局、試合を成立させたSUWAのヒール振りは中途半端でした。それでもこの試合も盛り上がっていました。
 ノアの盛り上がりは、何か内輪の盛り上がりという気がします。プロレスの外側にまで訴えるものがありません。ノアはずっとそういうスタンスでやっているので、それはそれでいいのでしょうが。
 プロレスの外側まで訴える力を持っていたのは新日でした。今やそんなパワーはなく、それがプロレスの低迷の原因なのですが。その新日のドームのカードが発表されました。心引かれるカードは一つもありませんでした。レスナーはそれほど魅力のあるレスラーとは思えませんが、迎え撃つ新日の選手にも魅力がありません。結局、藤田と蝶野との3WAY戦というIWGPの権威を落とすような試合になりました。他のWWEリストラ組も、迎え撃つTJの面々も魅力に乏しいです。唐突に始まった感のあるゼロワンMAXとの全面抗争も、かつてのまだましだった頃の新日の再現ですから、それなりの試合はするでしょうが、ゼロワンMAXは結局、新日に戻って来てしまうのであれば、出て行った意味がないと思います。再建を期してのドーム大会ということですが、悲惨な結果になると思います。
 全日は曙がシリーズ全戦に参加し、盛り上がっているようです。曙については、K−1や総合で結果を出せなかったのに、プロレスで成功なんてしてもらっては、またプロレスの権威が落ちるということで、最初から拒絶意識がありますが、WWEとW−1で見た限りではプロレスの才能もないと思いました。今の曙は見ていないので、報道で良く伝えられていることが信じられない想いです。ノア同様、小島がチャンピオンというのも、まだ納得がいきません。
 結局のところ、BMLの前田が言うように、総合でも通用するプロレスラーの登場がプロレス再興の決め手だと思うのです。柴田や村上では役不足ですが。そんなレスラーを育成するのはやはり新日の役目だと思います。