Vol.123 年末年始格闘技&プロレス


 大晦日は格闘技のテレビ観戦というのがすっかり定着しました。チラッと見た紅白歌合戦でも、気志団のときに格闘技のパロディー演出があり、世間的には完全に認知されていると感じました。対してプロレスは完全に日陰の存在になってしまいました。個人的には大晦日の格闘技は年々クオリティーが落ちていると思いますし、プロレス本来の素晴らしさをもってすれば、格闘技なんかに負けないと思うのですが、その大晦日の格闘技の舞台で、プロレスもやっている人が大失態を演じたてしまったのは非常に悔しく思います。別にプロレスを代表する人でもないのに、彼らを見て、世間はプロレスってあんなものだと思ってしまうのが悔しいです。
 小川は吉田に惨敗しながら、マイクアピールで訳の分からないことを延々と喋っていました。プロレスは勝つだけではなく、プラスアルファが必要というのは事実ですが、勝負事ですから、勝たなければいない試合には勝つことが最低条件です。その上でプラスアルファが必要なのです。こんな人にプロレスを語って欲しくないし、代表を名乗って欲しくないです。発するというムーブメントは認めますが、小川は絶対に認めません。曙も素人のボビーに惨敗しました。こんな人をプロレス界では重宝がっていますが、もういいかげんに辞めて欲しいです。プロレスラーも団体もファンも、レスラーが総合格闘技に出るリスクをしっかりと認識し、結果に対して厳しく評価するべきです。
 大晦日の格闘技で、良かったと思うのは所対ホイスくらいのものでしょうか。結果的には引き分けに終わりましたが、所がラッシュした場面では、思わず行け行けと思いました。あとは素人にきっちり勝ったベネットも評価できます。ヒョードルもさすがの圧勝でした。五味、魔裟斗の勝利もさすがでした。前述のホイス、ハントに判定負けしたミルコ、判定で勝ったもののシウバ、相変わらず判定決着となった武蔵とサップは全然駄目でした。須藤対山本は止めるのが早過ぎました。ヒーリング対中尾では、試合開始前に乱闘になり、ヒーリングの反則失格という馬鹿げたこともありました。こんな調子では格闘技ブームは長続きしないと思います。実際、視聴率も去年より落ちました。プロレスに是非とも頑張ってもらいたいものです。
 さて、そのプロレスといえば、新日の1.4東京ドームですが、こちらもファンの間にはすっかり定着はしたものの、世間まで届くことはなく、最近ではすっかり影が薄くなりました。ドーム撤退という話しもでていますが、これまでドーム興行を連発し過ぎました。やはりプロレスが東京ドームで興行を打つというのは夢のある話しですから、年に何回もやる必要はありません。せっかく恒例となった1.4のドーム大会だけは今後も続けて欲しいと思います。1.4のドームがクライマックスとなるように1年間全力を尽くしてやっていくべきです。
 今回のドームのカードは近年では最もましだと思いました。相変わらずカード決定までのゴタゴタはありましたが、メインがレスナー対中邑に落ち着いたことはかえって良かったと思います。
 第1試合の山本対崔にはすごく期待していました。会社があったのですが、間に合うように速攻で出ました。とにかく山本は絶対に勝たなければいけなかったと思いますが、あっさりと負けました。この時点で今日も駄目かと思ってしまいました。ちなみに客性もガラガラでした。
 2試合目のライガー組対アパッチでも、新日は負け、次のタイガー&稔がようやく高岩&石井に勝ちました。ジュニアなのでそれなりにいい試合でしたが、この2試合で生っ粋の新日の選手はライガーのみ、むしろ相手の高岩の方が新日という気がします。このジュニア2試合で、新日対インディーというテーマも実は意味がないんだなと思ってしまいました。続く長州と曙の試合はまったく興味がありませんでしたので、休憩時間にしました。永田対村上はいい試合だったと思いますが、別に永田を応援する理由もなく、逆に村上に買って欲しいわけでもなく、どうでもいい試合でした。
 前半戦で、完全に冷めました。客席も冷えきっていました。金本対大谷には興味がありましたが、ジュニア対ヘビーということで結果が見えており、金本が新日退団を表明していることから、新日対ゼロワンという構図も薄くなってしまいました。金本が退団するという事実が新日の現状なのでしょう。棚橋対柴田にも期待していました。山本対崔以上に、棚橋が勝たなければいけない試合だったと思いますが、棚橋も負けました。
 中西対バーナードにも少し期待していましたが、はじけるような試合にはなりませんでした。セミのIWGPタッグ戦はそれなりの試合でしたが、やはり大森&越中では役不足ということもあり、冷えきった会場が暖まることはありませんでした。
 メイン前にサイモン社長が挨拶、そして猪木が登場しました。オーナーでなくなったので来ないと思っていたので、個人的には非常に嬉しかったですが、猪木の登場も客席を暖めることはできませんでした。
 それでも最後のIWGP戦には期待していました。中邑は今の新日で唯一期待できる選手です。しかし、レスナーの凄さが際立つわけでもなく、中邑の健闘が光るでもなく、レスナーが勝ちました。冷えきった会場は遂に暖まることはありませんでした。
 少しは期待できると思った今回のドーム大会でしたが、終わってみれば史上最低レベルのできでした。ここまで堕落した新日が簡単によくなるとは思いませんが、希望のかけらすらありませんでした。
 契約更改では中堅選手の退団が続出しています。それだけフリーで活躍できる場が広がっているということでしょう。会社の方針や待遇に不満があるなら辞めるのもいいでしょう。新日本所属という肩書きがなくなって、今まで以上に活躍できるとは限りません。どうなっていくのか、頑張ってみればいいと思います。
 全日は1月8日に大阪でビッグマッチがありました。小島がTARUに勝利し、三冠ヘビー級V6を達成しました。これといった挑戦者も見当たらず、さらに長期政権となりそうな予感です。まだまだ小島では真の王者とは認められないので、どこまで認めさせてくれるかというところです。ジャマール、バーナードの離脱は痛いですが、期待の大型新人のブルート一生がでデビューしました。正月シリーズには来なかった3Dにも活躍が期待されます。諏訪間のVM入りはちょっと安易な感じがします。かなりの逸材だと思うので、正統派として育てて欲しかった気がします。
 もう一方では1月15日に、王道を旗印に掲げるキングスロードが旗揚げしました。天龍対宮本はともかく全体的には、王道とはほど遠い興行だったようです。そう簡単に王道プロレスが再現できるはずがないのは明らかなことですが、かつての全日のようなプロレスを見たいという要望があることも事実です。今後、並み大抵ではない努力が必要でしょう。
 1月22日はノアの武道館に行ってきました。ほぼ満員で盛り上がっていました。KENTA対丸藤のGHCジュニア戦は予想通りのいい試合でした。田上対秋山のGHCヘビー戦は予想通りイマイチの試合で、秋山が新王者となりました。健介と三沢&ムシキングの対戦となった6人タッグは新鮮で面白かったです。小橋にはもっと曙をボロボロに痛めつけて欲しかったのですが、曙はプロレスだとそこそこ頑張ってしまいます。総合格闘技でももう少しやれるだろうにと思うのですが。
 秋山がジュニアが頑張っているのに負けられないと語ったことが印象的でした。確かにメインのGHCヘビー戦はセミのGHCジュニア戦に完全に食われていました。素直に反省し、奮起を誓う心構えはいいと思います。
 ノアの安定感は抜群で、当分揺るぎないでしょう。ただ低迷するプロレス界の現状を打破する何かがあるかというと、ないのです。
 同じ日の後楽園では、ゼロワンMAXがあり、大谷がスティーブ・コリノからAWA世界ヘビー級王座を奪取しました。ニックボック・ウインクルを呼んだのもいいことだと思います。独自路線で頑張って欲しいです。