Vol.127 PRIDEとHERO’S


 5月のプロレス観戦はゼロでした。ちょっとどうしようかなあと思った興行はありましたが、結局、いいやと思ってしまいました。プロレス氷河期というのはまさにその通り、完全に冷えきっています。
 一方、総合格闘技は元気でした。PRIDE無差別級GPはテレビ観戦でしたが、久しぶりに感動的な素晴らしい内容でした。何といっても高阪です。ひた向きで無器用で、一所懸命な彼の生きざまがストレートに試合に出ていました。まさに人間ドラマでした。これを見せられたら、ハッスルなんて薄っぺらなものに思えてしまいます。
 藤田の試合も良かったです。ボコボコに殴られながらも、あきらめず、大逆転の勝利でした。勝ったときの雄叫びと表情は文句なしに格好良かったです。藤田はもっとプロレスラーというものを前面に押し出してくれるともっと応援できるのですが、プロレスの敵なのか味方なのかよく分からないところが残念です。
 プロレスラーの最後の砦ともいえるバーネットもヒョードルの弟に勝利し、打倒ヒョードルへの期待を抱かせました。これまでブヨブヨの体で結果も伴いませんでしたが、今回はようやく体調が万全になったようです。新日は彼をもっとバックアップする姿勢を見せるべきでした。もったいないです。
 こうした本当の闘いと人生のドラマが、今のプロレスにないものです。こういう試合がPRIDEという舞台だったのが悔しいです。プロレスのリングでこれを見せて欲しいのです。
 PRIDEの対抗勢力となったHERO’Sに桜庭が電撃移籍するという大事件もありました。相当なインパクトがある出来事です。確かに今は総合格闘技がプロレスを圧倒しています。しかし、長い歴史を考えれば、総合格闘技などまだほんのかけ出しです。これからが1つのジャンルとして定着するかどうかの正念場でしょう。
 プロレス低迷の元凶である新日は相変わらずのようです。WRESTLELANDとLOCKUPという2つの新ブランドを立ち上げました。落ちるところまで落ちているので、いろいろやってみるのは悪いことではないのでしょうが、そもそもしっかりした信念がなく、やっていることが何もかも中途半端なのが新日凋落の大きな要因だと思うのですが、今回の動きも中途半端に拍車がかかっただけのように思えます。