Vol.133 ハッスル!ハッスル!


 11月15日、後楽園のハッスル・ハウスに行って来ました。こだわりを捨てて、何も考えずにただ楽しむというのが、つまらなくなってしまった今のプロレスを楽しむこつです。
 プロレスは闘いのドラマだと思います。今のプロレスは闘いもドラマも中途半端です。本当は格闘技に負けないような闘いがあるのですが、今のプロレスにはそれがありません。ハッスルにももちろん闘いはありませんが、ドラマという意味では素晴らしいものがあります。闘いは総合格闘技、ドラマはハッスル、既存のプロレスはどちらも中途半端というのが現状です。
 ハッスルマニア直前ということで、ハッスルハウスは予告編のオンパレードでした。鈴木みのるがサプライズ登場し、坂田GMとやり合い、これはある意味夢の顔合わせです。インリンとカイヤの女の闘い前哨戦があり、ハッスル仮面にも仲間割れ、ハッスルマニア後にはハッスル星へ帰らなければならないというストーリーが用意されていました。エスペランサーとHGの大一番には、グランドキャニオンで発見された巻き物、オカリナというアイテムが登場し、頬に傷のある少女、ニューリン様が絡んでくることが暗示されました。高田総統の演説もマニアに向けてのもので、まさに3年間の集大成というのが伝わって来ました。「日本のプロレス界を根こそぎぶち壊し、瓦礫の山と化した野原を希望の道に変える」というのは名言です。すっかり観に行く気にさせられました。
 というわけで23日には横浜アリーナのハッスル・マニアに行って来ました。直前でも余裕でチケットが取れたので予想はしていましたが、空席が目立ちました。1年前のマニアは近年のプロレス会場にはない程の活況振りでしたから翳りが感じられます。それでも今、横浜アリーナを満員にできる団体など他にはないでしょう。
 前振りでは来ないと思わせておいて、本物の「えいこ」が登場したオープニングは見事でした。ハッスル仮面の友情ストーリーも見事にハッピーエンドでした。アイドルの海川ひとみは、ちょっとやり過ぎという気がします。さすがにこんな人をリングに上げてはいけないでしょう。チーム3Dとソドム&ゴモラはプロレスらしい肉弾戦を見せてくれました。鈴木みのると坂田GMの遭遇はRGが絡んでいたので序章という感じでしたが、今後に期待が持てそうです。ニューリン様とカイヤの女の闘いは見事にニューリン様が勝ちました。
 メインのエスペランサー対HGは、エスペランサーが圧倒的な強さを見せつけていました。発したレーザービームはセットの鉄骨を破壊してしまう程の威力でした。ところがニューリン様が登場してオカリナを吹くと、エスペランサーが苦しみ出し、HGが攻勢に出ます。しかし、アンジョーらが乱入した隙に、エスペランサーがレーザービームでニューリン様を倒し、再び形勢を逆転し、圧勝しました。HGとニューリン様はどうなってしまうのか気になります。
 ハッスル軍惨敗に中、キャプテンの小川が1人で締めることになりましたが、人気も実力もない小川ではまったく締まりませんでした。ちょっと残念なエンディングでした。小川のポジションにもっとまともなレスラーがいれば、もっと良くなると思うのですが。
 新日、全日はタッグリーグ戦の季節です。やはり新日はシングルというのがあって、昔から新日のタッグリーグにはあまり興味が持てませんでした。今年も話題性、注目度とも低かったと思います。蝶野と中邑が組んだのだから優勝しないわけにはいかないでしょう。結果も予想通りでした。
 対して全日の最強タッグといえば、1年で最大の看板シリーズでした。近年はだいぶ様変わりしてしまって、今年も最終戦は地方興行という寂しさです。後楽園ホールの大会を観に行けなかったので、観戦ゼロになってしまいました。それでも全日は今の全日カラーを確立し、地道に頑張ってはいます。武藤&川田やテンコジなど現状ではできる限りのメンバーを集めていると思います。
 ノアでもGHCタッグ王座決定トーナメントが開催されています。王者になっても暫定という感じがして、名タッグチームと呼べるチームも出場しておらず、大谷&村上の参戦で少しは話題を集めましたが、あまり興味が持てません。
 明るい話題と言っていいかどうか微妙なところですが、新日の1.4東京ドーム大会の開催が決まりました。今の新日は年に何回もドーム大会を開催できる状況にはありませんが、やはりドームでプロレスというのは一つのステータスですし、1月4日はドームでプロレスというのが定着していましたから、1.4だけはやって欲しいと思っていました。新日は上昇気配などともいわれていますが、昔の新日を知る者にとっては、まったくそんなことはありません。地道な努力がまだまだ必要です。だからといってチャレンジしなければ、何も変わりません。そもそも初めてドームに進出したときは無謀といわれたのですから、ここはチャレンジするべきだと思います。
 全日の全面協力により、全日の選手が挑戦するIWGPヘビー級と新日の選手が挑戦する三冠ヘビー級の2つの選手権試合が発表されました。昔であれば新日と全日が組むなんてことは有り得ませんが、今の全日は昔の全日ではありませんから、手を組むことには反対しません。やはり新日と相容れないのはノアでしょう。以前、ただノアに頼る形で交流が実現しましたが、本当に馬鹿なことをしていたものです。とにかく、このドーム大会がこけたら、また1年、新日だけでなく、プロレス界が上昇することはないという気がします。それほど大事な大会だと思います。本当に頑張って欲しいです。
 そしてこちらは紛れもなく明るいニュースですが、健介が来年1.2の全日後楽園で復帰することが発表されました。小橋も12.10の武道館に来場します。彼等の世代にもう一踏んばりして欲しいと切に願っています。