Vol.135 新日ドームで2007年がスタート


 大晦日の格闘技は盛り上がりませんでした。PRIDEは地上波放送がなくなり、唯一放送されたK−1ダイナマイトは話題性もイマイチで、内容も低レベルでした。おまけに秋山がクリームを塗っていたことが発覚し、失格になるというお粗末な結末までついていました。
 さて、そんなtきだからこそプロレスです。新日1.4ドーム大会が今年初の観戦でした。武藤と蝶野が8年振りにタッグを組んだので、橋本の追悼的なことを期待しました。でも、試合前に武藤の「橋本の力は借りたくない。もういないのだから」というコメントがオーロラビジョンに写し出され、本人達にしてみれば無理のないことかと思っていましたが、終盤に揃って、袈裟切りチョップ、DDTを見せ、きっちりとテンコジに勝利しました。試合後は白い鉢巻きを巻き、爆笑宣言が流れ、ハシモトコールが起こりました。三銃士に思い入れのある私には、もうこれだけで充分でした。新日を観戦したのは1年振りですが、ここ数年でこんなに満ち足りた気分で会場を後にしたことはありません。久し振りにプロレスファンで良かったという幸せな気分になれました。終わり良ければすべて良しという言葉を改めて痛感しました。興行は本当に最後が全てです。IWGP選手権がメインでないことに疑問を感じていましたが、武藤&蝶野がメインで大正解でした。
 しかしながら、今、プロレスは低迷しています。それはつまり新日が低迷しているということとイコールです。このドーム大会は今年の新日を、プロレス界を占う凄く大事な興行でした。そういう意味では、観客動員が過去最低の2万8千人というのは寂しい限りです。新日と全日が35周年で全面交流したというのに話題性も乏しかったです。試合内容もまあ良かったという程度で、名勝負の連続とまではいきませんでした。残念ながら、とても復活の起爆剤になったといえるものではありませんでした。
 棚橋は受けはいいものがありますが、反撃に転じてフィニッシュに至るまでに説得力が感じられません。体が小さいことが私にはどうしても物足りなく写ります。鈴木みのるはMVPに相応しい存在感を見せています。20年来の因縁というのはかなりいいシチュエーションでした。新日ファンとして永田を応援できれば、三冠戦は最高に熱い試合になっただろうと思いますが、残念ながら私には永田を応援する要素が何一つとしてありません。中邑と川田はいい試合でした。闘いがありました。大きくなった中邑の体はやはり魅力的で、川田を押していたと思います。勝てるかと思った場面もありましたが、結局は川田の牙城を崩せませんでした。新日には絶対的なエースが必要で、その候補は中邑しかいないと思いますが、棚橋、川田に連敗したことで大分後退してしまいました。結果を出せなかったことが残念です。
 カード編成にも物足りなさを感じました。ジュニアのトップ同士のシングルは見たかったです。サイモン社長の、初めから2万8千人で満員と設定していたという発言は情けない限りですし、年内にもう一度やるかもしれないというのは思い上がりも甚だしいです。今の全日は昔の全日ではありませんから交流することににまったく違和感は感じません。それでもやはり交流戦にばかり頼るのは良くないと思います。まだまだしっかりと足下を固めなければならない状態に変わりはありません。このドーム大会はかすかな希望は感じられましたから、すぐにまた対抗戦とか、ドームとか安易なことをせずに、地道に努力を続け、来年は5万人を集めることを目標にするとかしてもらいたいところです。社長ではなく、選手たちがそういう気持ちでもっともっと頑張って欲しいと思います。
 1月21日はノアの武道館大会に行きました。メインはGHCヘビー級戦でした。最近ジュニアが脚光を浴びる中、森嶋の体格は魅力ですが、まだまだすべてが足りませんでした。それでも三沢が試合後に立ち上がれないほどのダメージを負ってしまったのは森嶋の巨体ゆえのことでしょう。それもあってか、最後は呆気なかったですし、内容もイマイチでした。
 セミはSUWAのノアラストマッチということで、最後にフォールにいった味方の鈴木をSUWAが凶器で殴りつけ、結局、敵味方全員からやられたSUWAが敗れるという、らしい試合でしたが、ノアでのSUWAにさほどの思い入れがあるわけでもなく、ただなるほどというだけの試合でした。
 良かったのはGHCジュニアタッグ戦です。ブリスコ兄弟という外人が王座を奪取したことは知っていましたが、彼らのことはまったく知らず、まぐれで取ったくらいにしか思っていませんでしたが、予想外に素晴らしい選手でした。鼓太郎&マルビンも素晴らしくて、この日のベストマッチでした。
 秋山対潮崎、佐野対杉浦のチャレンジマッチ的な2試合も良かったです。チャレンジする側が頑張り、される側がきっちりと叩き潰すという明快な試合でした。
 ただ、空席もありましたし、前半戦のグダグダ振りはお粗末としかいいようのないもので、今、ファンから最も支持されているノアでもこの程度というのは、今年のマット界もやはり悲観せざるを得ないという気がしました。