Vol.136 2月の両国3連戦とノア後楽園


 2月は久し振りに1週間で4興行を観戦しました。以前は普通にやっていたことですが、最近は観戦回数もかなり減っていました。新日1.4ドーム大会で本当に久し振りにプロレスの素晴らしさを体感したことで、会場に行かなければ、この感じは味わえないのだということを思い出しました。プロレスの最高の素晴らしさは、レスラー、ファン、時代の流れがすべてうまく重なり、一体となったときに作られる空間です。プロレスファンで良かった、この場にいられて良かったと思います。何十回と観に行って、一度あるかないかという瞬間です。そして何十回と観ていなければ味わえない瞬間です。お金を取って観せるレベルにないものを拒否するのはいいとしても、まったく観もしないでただ批判するのはどうなんだろうというようなことを考えました。
 まず12日のLLPW両国大会です。女子にも本当に頑張って欲しいと思いますし、久し振りのビッグマッチです。無謀ともいえますが、ここはそのチャレンジ精神を応援しようと思いました。客席はガラガラでやはり無謀だったという結果にはなってしまいましたが。
 女子最強トーナメントは神取が優勝しましたが、里村が良かったです。正統派のファイトスタイルに、風格もあり、女子プロレスのエースとなれる人材に成長していました。準決勝の神取対ダンプ松本は、神取の反則勝ちという不透明決着になったこともあり、まったくヒートアップしませんでしたが、もう1試合の里村対尾崎は、見事なベビーフェイス対ヒールの試合となり、ヒートアップしました。決勝の神取戦も健闘しました。神取のためのトーナメントという状態でもあり、里村にとっては結果は残念でしたが、仙台女子を盛り上げて、頑張って欲しいと思います。
 神取と同じく20周年のイーグルとハーレーは、それぞれ北原と天龍をパートナーにミックストマッチを行ないました。同性同士というルールを無視して、天龍がイーグルを苛めましたが、天龍の怒りが空回りしている感じで、もやっとした試合になってしまいました。第1試合で行なわれたビジュアル系対決にも注目しましたが、バンビは半分素人のフランソワーズを相手にするにはまだまだという感じで、ドタバタした試合になってしまいました。ダイナマイト関西、ボリショイ・キッドを見るのは本当に久し振りで、テーマ曲が懐かしく思われました。W井上、伊藤薫らも健在で、彼女たちにもまだまだ頑張って欲しいです。
 続いて15日のノア後楽園大会です。会社の人たちと行こうということになって、普段と違うメンバーで、普段は見ないノアの後楽園に行ってみました。率直な感想は、ノアの後楽園ってこんなもんかという感じです。空席が目立ちましたし、内容もお粗末でした。
 白GHCのタッグトーナメントなどの前半戦はまあまあかなという感じでした。一番注目していたのはドラゲー勢、特にB×Bハルクでしたが、ハルクにとっては完璧にアウェー状態でした。入場のダンスにも冷たい反応、このホスト系の男は誰?という感じでした。ノアのファンが閉鎖的なのか、ハルクの知名度もまだまだなのか、その華麗なムーブにおっという声も出ていましたが、あまり魅力が伝わらないまま終わってしまいました。
 後半戦はもうグダグダで、セミの泉田の秋山への反乱もあまりにも唐突で、分かりにくく、メインは三沢組対外人の6人タッグで、首を負傷した三沢の体調はイマイチなようで、精彩を欠いていました。これが最もファンの支持を得ている団体の後楽園大会とは寂しい限りでした。
 17日は全日の両国大会です。カードの出し惜しみがないという印象を受けました。武藤カラーの全日の姿勢、雰囲気にも好感を持っています。それでも空席が目立ったのは寂しい現実でした。
 素晴らしかったのは、近藤対中嶋の世界ジュニア戦です。近藤は憎いほど強くて、悪くて、素晴らしい王者です。すべて受けきった上で勝つのも素晴らしいところです。それを可能にしているのが説得力充分のキングコングラリアットです。中嶋は序盤から近藤の腕を攻め、必殺のラリアットの威力を半減させました。その上での勝利で説得力のある勝ち方でした。中嶋も素晴らしかったです。
 セミの川田&ケア対諏訪魔&ロージーの世界タッグ王座決定戦は、川田が試合後にマイクで言ったように「お客さんも俺たちもこんな勝ち方では納得いかない」試合でした。メインの鈴木対小島の三冠戦はいい試合でした。そして試合後のチャンピオンカーニバルに向けてのマイクアピール合戦が良かったです。セミで崩れかけましたが、最後が締まりました。
 健介オフィスとVMの健闘が目立っていました。三島が健介と組んで、TARU&SUWAと対戦しました。元ドラゲー同士という因縁もあり、いいシチュエーションだったと思います。三島はまだ技術うんぬんのレベルではなく、気迫さえ出せればいいのですが、その気迫がまだまだ足りませんでした。健介オフィスとして旗揚げもし、今後が注目されます。
 不満なのは曙を参戦させたことです。荒谷、ニセ力士を交えての茶番劇はプロレスを貶めているようで不愉快でした。
 18日は新日の両国大会です。今の新日はまだまだ物足りないですが、ドームが良かったので両国クラスも久し振りに見てみようと思いました。ジュニアだけでも全日との対抗戦が見たかったのですが、一転して興行戦争という流れになったので、ならば両方見てみようという思いもありました。観客動員は引き分けというところでしょう。寂しいですね。
 ここ2年ほどドームしか観ていないので、裕次郎、内田、内藤のヤングライオンを観るのはたぶん初めてでしたが、ヤングライオンらしい熱い闘いをしていたので安心しました。何故か今が旬の越中対中西という異色カードが中盤にあったのは見事なマッチメイクでした。盛り上がりました。しかも越中が勝ってしまったのは意外でした。中邑対真壁も注目のカードでしたし、いい試合でした。
 VMは本当にいいヒールですね。ジュニアではCTUと組み、最後は仲間割れしましたが、中途半端なCTUに比べて、存在感が際立っていました。ジュニアはもうタッグはいいです。シングルの闘いが見たいです。TARUは天山と組み、蝶野&ミラノと対戦しました。これも中途半端なGBHなど問題ではありませんでした。蝶野はコンディションが悪いようで精彩を欠きました。もう一花咲かせて欲しいのですが。ミラノは身長はあるし、いい動きもするので、もっと体重が増えればいいレスラーになるかもしれません。
 カート・アングルを招聘したことは評価できます。タッグ戦で外人との対戦というのが物足りなかったですが、随所でいいものを見せてくれました。
 個人的にはヘビー対ジュニアは絶対反対なのですが、メインの棚橋対金本のIWGP戦もそれなりにいい試合でした。まったく力の差とか体格差は感じませんでした。やはり棚橋はもう少し大きければと思ってしまいます。全体的に盛り上がってはいました。内容でも引き分けというところでしょうか。