Vol.138 頑張っている人、頑張って欲しい人


 新日のNJCは永田が優勝しました。4年振りにIWGPに挑戦し、王座を奪取しました。永田は総合格闘技で惨敗しているので4年間挑戦する機会がなかったのは当然だと私は思います。4年経ったからいいというものでもないと思います。総合とプロレスが別のものというなら戦ってはいけないし、戦って負けておいて別ものというのはまったく通用しないと思います。確かに永田は4年間、新日本でプロレスを頑張ってきたのでしょう。選手権もいい試合でした。むしろ棚橋が今までの防衛戦よりも良かったと思いますが、それを引き出したのは永田ともいえるでしょう。だからといって総合での敗戦が消えるとは私には思えません。永田歓迎ムードなのが私には納得できません。最近の新日本は「満員にはならなかったが、熱は戻ってきた」と評価されていますが、つまりビッグマッチが満員にならないというのが現実なのです。今の新日を支えようという暖かいファンもいるのでしょう。でも、それ以上に離れていったファンも多いのです。もう一度、私を含め、そうしたファンを振り向かせるようなことをして欲しいのです。こんな状況に満足していてはいけないと思います。
 私はNJC準優勝の真壁が面白い存在になったと思います。GBHはヒール軍団といいながら、悪役としては中途半端で魅力がありませんが、真壁だけはヒールに徹しています。WEW王者として強さの存分に見せ付けています。IWGP挑戦という雰囲気にもなってきています。王者にふさわしいかというと疑問符がつきますが、可能性という意味では面白いと思います。
 もう一人、お笑いタレントにモノマネされたことをきっかけに人気大爆発している選手がいます。越中です。11年振りのIWGP挑戦が決定してしまいました。後楽園でのIWGP戦というのも今の新日には必要なのかも知れません。この勢いで満員札止めにして欲しいものです。それで満足してもらっては困りますが。
 全日のチャンピオンカーニバルは武藤が決勝で川田に勝って優勝という私にとっては大満足の結果でした。「作りあげてきた作品が違う」という武藤の言葉はまったくその通りだと思います。同世代に対する思い入れがあるのは事実ですが、客観的にみても三銃士世代がやってきたことと、小島、永田、天山、中西がやってきたことを比べたらスケールの違いは明らかです。どうしても物足りなさを感じてしまいます。
 優勝した武藤以上に目だったのがTAJIRIでした。2月の両国での「本当に世界を知ってるの?」に始まり、リーグ戦でもリングアウト勝ちで、三冠王者の鈴木を挑発し、挑戦権を獲得しました。これまた王者に相応しいかというと疑問符がつきますが、興味を引かれますし、魅力を感る一戦ではあります。優勝した武藤も当然、三冠挑戦という話しになるでしょう。ノアでは三沢がGHC王者として君臨しています。まだまだ三銃士、四天王世代に頑張って欲しいと思い ます。新日の蝶野が完全に一歩引いてしまっている感じなのが物足りません。
 全日でというより、プロレス界を股にかけて頑張っているのがヴードゥーマーダーズです。ヒールらしいヒールがいない中、彼らの徹底したヒール振りは素晴らしいと思います。YASSHIが中嶋のジュニア王座に挑戦しますが、興味深い一戦です。
 サムライTVを見るようになって、インディーの状況も分かるようになりました。男色ディーノというのは面白い存在です。マッスル板井もなかなかのものです。色物ばかりでなく、正統派でも大日本の関本などはいいものを持っています。
 インディー、メジャーに関わらず、頑張っているレスラーはいるのです。ただ何かプロレス村の中で小さくまとまってしまう流れになっているのが物足りません。となるとやはり猪木が出てきてIGFということになるのでしょうが、これもどうなるものやら、まったくの未知数です。私は猪木信者ですから、猪木は絶対に間違っていないと確信しています。ただ猪木がやろうとしていることをできるレスラーは、全盛期の猪木以外にいないというのが問題なのです。