Vol.143 秋のプロレス界


 9月に入り、プロレス界ではいろいろと新しい動きが出ています。まずは8.26全日両国大会で鈴木みのるを破り三冠王座を奪取した健介が、健介オフィスの自主興行ディファ有明大会でパワー・ウォリアーを復活させ、アニマルとのヘル・ウォリアーズを結成しました。世界ジュニア王者の中嶋は森嶋に敗れましたが、逸材の山口竜志がデビューし、団体としての飛躍も期待されます。
 全日でも健介と中嶋の王者2人が中心となって、新しい展開があるでしょう。35周年記念興行では健介対川田の三冠戦が決定しました。35周年にふさわしいカードだと思います。非常に楽しみな一戦です。王座転落した鈴木みのるの動向も注目されます。
 みちのくが4年に1度のビックイベント「ふく面ワールドリーグ戦」を開催しました。8.31後楽園での開幕戦は空前の大盛況でした。ライガー、ウルティモ、サスケ、デルフィンといった日本のビッグネームに前回優勝者でメキシコのビッグネームのアトランティス、菊タロー、メカマミーの異色マスクマンなど超豪華なメンバーが集結し、ウルティモとの対戦で議員を辞めたサスケがレスラーとして本格復帰を宣言、義経がライガーに感動の勝利、タイガーマスクとタイガースマスクの因縁の名勝負が実現するなど、とてもいい大会だったと思います。楽しかった頃のみちのくが戻って来たような感じです。
 蝶野が幕張メッセで「蝶野王国」を開催しました。1枚のチケットで2団体が観れる、イベントブースの設置、証券化などの新しい試みはいいことだと思いますが、個人的には蝶野にはプロデューサーとしてではなく、まだまだ1人のレスラーとして頑張って欲しいので、今の状況は不満です。リング上では長州、ライガーらとレジェンド軍を結成しましたが、これも参謀的な立場です。
 邪道&外道のGBH入りや、稔、ミラノ、中邑らがイケメン軍団を結成するなどCTUの解散で、新日にも新しい動きが出ていますが、向かっているのは10.8両国の永田対棚橋のIWGP戦、曙も参戦の気配で、中邑も欠場と、今の新日には興味が持てません。メキシコから帰国した後藤、闘龍門から移籍した岡田ら新しい力に期待したいところです。
 9日はノアの武道館大会を観戦しました。今回は三沢と藤波のタッグ対決という久しぶりに興味の持てるカードがありました。それでもプロレスファンには響かなかったようで、客入りは悪かったです。6〜7割の入りで、ノアの武道館としては一番悪かったのではないでしょうか。次期GHCヘビー級挑戦者決定リーグ戦は、ただでさえ新鮮味に欠けるメンバーでしたが、力皇の欠場により更に面白みが欠けました。結局、丸藤と森嶋の優勝戦になりましたが、2人とも2試合を戦うことになりました。解せないのは試合順で、丸藤対齋藤のAブロック決勝進出者決定戦、森嶋と秋山のリーグ戦最終戦、そして決勝戦が最後の3試合でした。森嶋はまったく休みなく連戦になり、明らかに不利でした。前回のジュニアタッグリーグ戦でも試合順がブーイングの原因だったと思います。不可思議です。
 大阪プロレスの新しい常設会場は素晴らしいと思います。大阪の新名所になる可能性もあると思います。独自の世界感で人気のマッスルも初の3連戦を行い、盛況でした。
 いろいろと動きはあるのですが、それが世間に伝わるような大きなムーブにはなりません。そうなるとやはり猪木に期待してしまいます。猪木は確かに扱いにくいでしょうが、プロレス界の宝であることも間違いなく、もっとうまく関わっていくべきだと思います。IGFの第2弾、名古屋大会がありました。メインはバーネットがフライに勝利し、ゼミでは小川がプレデターに勝利しました。まず成功だったようですが、やはりアングル対レスナー級のカードがなかったのでまずまずというところでしょう。今後に期待です。
 HERO’S横浜アリーナ大会の桜庭対柴田は興味あるカードでした。桜庭が圧勝しました。柴田はやはりそれほど強くないんだということが分かって、何かほっとしました。ヒクソンも来場していて、桜庭との対戦というムードも出てきて、いい流れになりました。夢のカードは夢のまま終わった方がいいという考え方も、今更という思いもありますが、やはりこのカードはやって欲しいと思います。
 ミノワマンも良かったです。山本KIDの試合などレフェリングに不手際があったのは残念です。PRIDE再開の目処が立たない今、日本の総合格闘技はHERO’Sに頑張ってもらうしかありません。
 そして対世間という意味では、やはりハッスルです。地上波の放映がスタートし、一大イベントのハッスルマニアに向かって次々とダイナミックな展開があります。一大イベントのハッスルマニアに向かって、様々なことが仕掛けられています。お笑いの要素が強く、手放しで歓迎するわけにはいきませんが、この勢いは認めざるを得ません。