Vol.145 ハッスル・マニアそして大晦日


 11月25日、ハッスル・マニア2007横浜アリーナに行って来ました。今年はボノ、サップといった大物が参戦し、プレミアムのエスペランサーも登場しましたが、真新しいところではケロロ軍曹くらいのもので、ちょっとインパクトが弱いかなと思っていました。客入りもどうかなと思っていましたが、2階席は開放していなかったものの1階席は満員の入りで、盛況でした。
 ふたを開けてみれば、とにかく面白かったです。何といっても徹底しているのが素晴らしいです。あそこまで徹し切れば、もう脱帽です。そして予想外の出来事の連続でした。すべて予想内に収まってしまう今のプロレスでは味わえない感覚を味わえました。
 まさか坂田と妖精さんがあそこまでやり、最強のエスペランサーが敗れるとは思いもしませんでした。参戦が噂されていたマーク・ハントがあんな形で出てきたというのにも驚かされました。ケロロ軍曹が負けてしまったのも、川田が本当に試合をせずにオープニングしか出なかったのも、ある意味意外でした。
 グラビアアイドルの海川ひとみも島田二等兵にセクハラを受けて、リングに上がるハードルを上げられたことで、素直に応援できるようになりましたし、勝利が痛快に思えました。HGもサップの良さを引き出したと思いますし、ボノ&インリン様と天龍&TAJIRI&RGも一連のストーリーの完結編に相応しい内容はありました。
 エスペランサーが出ると主役である高田総統が登場しないという欠点があります。昨年はエスペランサーがHGに圧勝し、小川キャプテンが負けたけどハッスルポーズというまったく締まらないエンディングになってしまいました。今年は、瀕死の重傷を負ったと思わせた高田総統が「うそだよーん!」から、いつもの総統劇場という、これまた意外なエンディングでした。ハッスルはやはり高田総統が柱なのだと思います。堂々たる一本柱で、これもヒーローが持ち回りの今のプロレスにはないものです。
 見事に今年1年の集大成になっていましたし、大晦日のハッスル祭りに向けて新たな展開もありました。素晴らしい興行だったと思います。過去のマニアに比べても完成度は高くなりました。新しいエンターテイメントとして完成の域に達したと思います。
 大晦日に格闘技ではなく、プロレスとしてテレビ中継を獲得したことも、はっきり言って快挙です。ハッスルに対していろいろと意見もあるでしょうが、今の既存のプロレスはハッスルに完全に負けています。レスラーはガタガタ言わず、ハッスル祭りに出るべきです。大晦日のプロレス中継を是非、盛り上げて欲しいと思います。
 昔、UWFが登場すると、その対極である大仁田が登場しました。大仁田がUWFを観に行ったら、神社長にチケットを買ってくれと言われたというエピソードも残っています。UWFが衰退していくのに合わせて、大仁田の人気が上昇していきました。今、総合格闘技がブームとなったときに、ハッスルが登場しました。PRIDEが消滅し、総合格闘技に陰りがみえるにつれて、ハッスルの存在感が大きくなっていきました。PRIDEとハッスルはもともと同じDSEが主催していました。
 ある方向に突出していくと、その対極が出てくるというのが時代の流れなのではないでしょうか。両極にぶれることはあっても、要は本道がしっかりしていればいいのです。そう思うと、いささか頼りないのが現状ですが、その本道の方はというと。
 新日のG1タッグリーグは盛り上がりませんでした。新日にタッグは昔から馴染みませんが、今年も魅力溢れるタッグチームはなく、どんぐりの背比べで、例によって大混戦でした。
 11日には両国大会がありました。棚橋対後藤のIWGP戦は素晴らしい試合だったようです。中邑の復帰も嬉しいニュースです。メイン後に中邑が棚橋への挑戦を表明し、真壁が割って入るというシーンもいい感じです。キリングスのドタキャンという不手際はいただけませんが、TNAとの対抗戦も興味が持てます。ジュニアでもTAKA&東郷対邪道&外道のIWGPジュニアタッグは興味深い対戦でしたし、井上亘も帰って来ました。新しい力が育ってきたという感じです。それでも観衆6500人というのは寂しい現実です。結局、私も観には行かなかったわけですが、そこまで新日は信用をなくしてしまったということです。取り戻すのは簡単ではありません。もっともっと頑張ってもらいたいです。1.4のドームは観に行くつもりです。2階スタンドの発売がないというのも寂しい現実ですが、とにかくもっと頑張って欲しいです。
 全日は最強タッグです。新日と違って全日といえばチャンピオン・カーニバルよりも最強タッグです。西村は武藤と組むのだと思っていましたが、渕とのゴッチ門下生タッグになり、健介&川田の豪華タッグが実現、VMがシャッフルされ、小島&諏訪魔となり、鈴木みのるとブッチャーの異色タッグも参戦と、それなりに面白い顔ぶれとなりました。東京の大会場がないのが残念です。
 ノアは、三沢のROH初参戦、KENTAとGHC防衛戦を行うという話題がありました。その後、シリーズが開幕し、GHCタッグ、ジュニア、ジュニアタッグの選手権、パンパーズ対決の白GHC戦などもありましたが、何といっても注目の小橋の復帰戦が迫っています。久しぶりに超満員で盛り上がる武道館になることは確実です。少しでもプロレス熱の復活につながってくれればと思います。
 ゼロワンMAXでは、大谷、高岩、大森、神風の15周年記念興行があり、大谷と永田が同期タッグを結成しました。健介オフィスが闘龍門と業務提携し、来年2月11日には1周年記念興行で後楽園ホールに進出することが発表されました。細分化し過ぎたことがプロレス低迷の一因だと思うので、こうした結集の動きは大歓迎です。
 格闘技では、大晦日にPRIDEのスタッフが再集結し、ヒョードルのM−1グローバルのサポートを受けて、イベントが開催されることが決まりました。Dynamaite、ハッスルと今年の大晦日は面白くなりそうです。