Vol.164 ジュニアの季節


 まずは大変悲しい出来事から述べなければなりません。6月13日に三沢光晴選手が帰らぬ人となりました。広島大会でのGHCタッグ選手権で、齋藤彰俊のバックドロップを受け、動けなくなりました。リング上で、居合わせた医師が心臓マッサージなどの応急処置を施し、すぐに救急車も到着し、病院に搬送されましたが、22時10分に死亡が確認されました。
 何気なくネットを見ていて、ヤフーのトップ記事で「三沢が試合中に倒れる」というニュースを見つけました。心肺停止状態とあったので尋常ではないと思い、引き続きネットを検索しながら、サムライTVを見ましたが、ニュースはなく、日テレの「スポーツうるぐす」で何かやるかもしれないと思い、4チャンネルにしておくと、いきなり亡くなったというニュースが流れました。
 まさかと思いました。受けの天才であり、トップ中のトップレスラーである三沢が何故という思い。脳の障害なら分かりますが、心肺停止というのはどういうことかという思いもありました。死因は後に頸髄離断と判明し、呼吸運動の神経も通っていて、切れてしまうと呼吸が止まると聞いて、ある程度は納得しましたが、もはやそんなことを知ってもどうにもなりません。
 翌日のスポーツ紙はすべて一面となりました。読売新聞にも載っていました。知人からも何通かメールが来て、反響の大きさ、三沢の偉大さを改めて知ることとなります。
 ノアは三沢の意思を引き継ぎ、残りのシリーズを続けました。正しい判断だったと思います。一番心配されたのが技をかけた齋藤彰俊でしたが、ファンの声援に応え、気丈にファイトをしました。立派だったと思います。秋山が椎間板ヘルニアで欠場というのは気がかりですが、潮崎がGHCヘビー級王座を奪取したのは明るいニュースでした。他の選手も頑張ったと思います。レスラーはプロレスを続け、ファンは応援し続けるしかないのですから。
 そして訃報は続いてしまいました。テッド・タナベレフェリーが15日の午後12時23分、心筋梗塞で亡くなりました。14日に大阪プロレスでメーンの試合を裁いた後、リング下で意識不明となっていました。くしくも三沢と同じ46歳でした。
 さて、6月はジュニアの季節です。新日スーパージュニアは、他団体からノアの菊地と青木、飯伏、YAMATOが参戦し、興味深いものになりました。
 飯伏と青木は準決勝に残り、それでも決勝は新日ジュニアの金本とデヴィットの闘いとなり、金本が7年振り、3度目の優勝を飾りました。大いに盛り上がった大会だったと思います。
 大阪でビッグマッチもありました。IWGPヘビー級選手権は、王者中西と棚橋の再戦で、あっさりと棚橋が王座を奪回しました。ノアとの対抗戦では、岡田が潮崎に敗れました。当初は若手同士の対戦でした。それでも差はあると思っていましたが、今や潮崎はGHC王者です。これは仕方ないところでしょう。後藤が杉浦に負けたのは情けないです。棚橋とIWGP戦という流れですが、そういうストーリーは好きではありません。因縁の真壁対矢野も矢野が勝ちましたが、本間、飯塚、中邑が乱入する展開はまったく納得いかないものでした。タイガーとブラックのマスカラコントラマスカラは、タイガーが勝利し、もう分かりきっていることですが、高岩の正体が暴かれ、因縁が決着しました。高岩であればこんな扱いをされなくても、もっと活かせる方法があっただろうにと思います。結果がまったく納得のいかない大会でした。
 6月10日は恒例の武藤祭りがありました。武藤が素顔のF−1王者、ムタ、黒使無双、社長の1人4役で奮闘しました。やはり武藤の知名度、スター性は、三沢なき今やダントツのナンバーワンでしょう。そしてサプライズな発表もありました。武藤25周年記念興行となる8.30両国大会で、武藤&船木対蝶野&鈴木が決定しました。船木のプロレス復帰には素直に歓迎できない思いがありますが、これはやはり凄いカードです。全日は今GURENTAIの天下ですが、全日本隊がどう巻き返していくのか注目です。
 6月27日はハッスル後楽園大会をサムライTV生中継で観戦しました。メインは川田対マグナムTOKYOで、ハッスルらしくない25分の熱戦でマグナムが勝利しました。モンスターHGはRGと一騎打ちで、RGの相方に対する思いを込めた手紙の朗読で心乱され、敗れた後にHGに戻り、ハッスル軍に復帰しました。小路二等兵が坂田、アンジョー司令長官と3WAY戦を戦い、モンスター軍離脱を宣言し坂田と握手を交わしました。この2人はハッスル軍とも距離を置いています。モンスター軍には最終兵器としてアルマとゲドンの大型マスクマンが登場しました。という具合にいろいろと展開はあったのですが、どうも最近のハッスルはやはりイマイチ盛り上がりません。
 そして高田総統劇場では、ハッスルエイドで高田総統引退をほのめかす発言がありました。7.26両国まで1ヶ月、まずはここに向けていろいろ動いていくのでしょう。久し振りにハッスルらしいエンターテイメントを見せてくれることを期待します。