Vol.178 20年目のG1、ノア10周年、全日両国


 8月といえばG1の季節です。あれからもう20年、あの感動は今も忘れません。武藤、橋本、蝶野の闘魂三銃士が藤波、長州を撃破し、一気にスターダムを駆け上がったのが20年前のG1でした。私は彼らと同世代で、プロレスを会場に観に行くようになったときに若手として前座で試合をしていたときから見続けてきたので思い入れもあり、とにかく感動しました。それから10年以上経っても、両国7連戦なんてこともありましたが、G1はすべて観て来ました。それでも、橋本が去り、武藤が去り、ここ数年は会場に行くことはなくなりました。そして蝶野も新日のリングから去りました。
 G1が何故素晴らしかったかというと、時代の流れがあり、あれだけのインパクトを残したのですが、根本のところは、売り出し中の三銃士、2トップの藤波&長州、外人ビッグ3のベイダー、ビガロ、ノートンという紛れもない新日のトップ8選手が総当たりで当るというところにあったと思います。
 16人というのは多すぎますし、トップとは呼べない選手も多数混ざっています。他団体の選手も刺激にはなりますが、本来はいらないと思います。例えば、第三世代の永田、中西、小島、天山と新世代の中邑、棚橋、真壁、後藤の8人だけでリーグ戦をやったら、もっとインパクトのあるものになるのではないでしょうか。せっかく小島が戻って来ましたが、天山が負傷欠場中なので実現不可能ですが。
 ともかく、今年は開幕戦の後楽園ホール大会を観戦しました。大盛況、大盛り上がりでした。軽いノリで楽しみるという感じではありましたが、後楽園が満員になり、客席が沸くというのはいいことです。波乱の幕開けはいつものことですが、真壁や棚橋などコンデエィションの悪い選手がいることが気になりました。
 決勝戦は15日に両国で行われました。今年はリーグ戦の1位のみが決勝戦に進出で、小島が棚橋に勝利して、外敵として初の優勝となりました。それなりに盛況だったようですが、G1は期待していた選手が結果を残せるかどうかで満足度が大きく変わります。個人的にはまったく期待していない結果となりました。田中将斗が真壁を襲撃してIWGP挑戦をアピールしたり、中邑と潮崎が時間切れ引き分けでノア有明大会での再戦が決まったりといったサイドストーリーも不要と思います。
 ゼロワンの火祭りも今年で10年目を迎えました。決勝で大谷が田中将斗を破り、優勝しました。火祭りといえば大谷です。特に10年目ということで絶対に優勝して欲しいと思っていたので、こちらは期待通りの結果ちおなりました。本当に良かったです。
 22日はノア10周年有明大会を観戦しました。10周年ということで久し振りに有明大会をやっていますが、前回もガラガラ、今回も後ろの席は解放せずでした。丸藤の負傷欠場は残念でしたが、カードはそれを感じさせない豪華版だったと思います。にもかかわらず盛り上がりの方もイマイチでした。
 新日との対抗戦はもっとヒートアップするかと思ったのですが、そうでもありませんでした。GHCジュニアタッグは、金本&タイガーマスクが石森&マルビンに勝利して王座を奪取しましたが、この2人が組んだのですから順当勝ちというところでしょう。潮崎が中邑に勝ったのは意外でしたが、1勝1敗の法則、そしてGHCヘビーの今後を考えると、なるほどなという感じでした。それにしても、最近の中邑は負け過ぎです。残念ながら当分浮上はできないでしょう。
 小島の初参戦もありましたが、相手のヨネがまったく駄目でした。小島のラリアットは知らぬ間に随分と説得力のある技になっていました。
 メインのGHCヘビー級選手権で、秋山の入場時の盛り上がりはなかなかのものでした。皆が秋山の頑張りに期待しているのが感じられました。試合中も秋山への声援は大きかったです。秋山も奮闘しましたが、今の杉浦の充実感は素晴らしいものでした。
 久し振りのWWE日本公演も20日、21日に両国国技館2連戦で行われました。それなりに盛況だったようですが、スーパースターと言っても、今のレスラーたちは昔に比べて小粒になった印象で、ヨシ・タツの凱旋もピンとこなかったので観戦はしませんでした。
 29日は全日の両国大会がありました。新世代軍と超党派軍の世代闘争の集大成、ムタの復帰戦で、VMに新加入したKENSOとの対戦と豪華版でした。
 三冠ヘビー級選手権は、諏訪魔が45分の熱戦を制して、ようやく鈴木みのる越えを果たしました。アジアタッグも真田&征矢の新世代タッグがVMに勝利して王座を奪取しました。カズ・ハヤシは盟友ジミー・ヤンを破り、世界ジュニア最多タイの14度目の防衛に成功と、ここまではハッピーエンドでしたが、ムタがKENSOに敗れました。復帰戦、KENSOの指定したTLCマッチであったこと、VMの介入もあって、仕方のないところでしょうか。
 最後に、またも哀しい知らせがありました。新日本の鬼軍曹、山本小鉄さんが、8月28日午前6時42分に低酸素性脳症により、お亡くなりになりました。68歳でしたが、つい最近まで元気な姿を見せていてくれたので、本当に信じられない思いです。
 星野勘太郎とのヤマハブラザーズなどで、現役時代も活躍しましたが、私にとっては、レフェリーでテレビ解説者、そして鬼軍曹として数々の思い出があります。小鉄のようなコーチがいたから、新日本のレスラーは強いのだと自身を持って言えました。そして鬼でありながら、本当の優しさを持った人でした。 本当に残念です。謹んでご冥福をお祈りします。