Vol.182 IGF両国、宇宙大戦争、ノア武道館そして2010年のプロレス界


 12月3日はIGF両国大会を観戦しました。猪木50周年イヤーの締めくくりということで「INOKI BOM−BA−YE」と銘打たれましたが、カード的にはインパクトに欠けました。小川直也がいないことは何とも思いませんでしたが、ジョシュ・バーネットの不在は寂しく感じました。IGFのエースはジョシュなのだと思います。メインにはデビュー2戦目の鈴川が抜擢され、シウバに勝利しましたが、メインをしっかりと締められたかというとそうではありません。澤田は、当然のことながらノアの潮崎に完敗でした。新人の鈴木、定は将来が期待されますが、現状ではまだまだです。もっと試合をする機会を与えたいところです。
 外人はなかなかインパクトがありました。エリック・ハマーはタッグ戦でノアの青木をKOし、またも怪物ぶりを存分に発揮しました。ヒョードルからの刺客アレクサンダー・ティモノフはアレク大塚を掌底で51秒でKOし、あまりにあっけなかったですが、初投票としてはそれなりにインパクトを残しました。キース・ハンソン対プレデターは大型外人同士の魅力あふれる試合となりました。健介と中嶋はさすがのプロレスを見せましたが、対戦相手のハリケーンとラシュリーも良かったと思います。カリート対カシンもらしい試合でした。藤波、初代タイガー、ウルティモ・ドラゴンのレジェンドタッグ戦で最後まで引っ張ったXが紅白仮面だったのはご愛嬌でしょうか。
 それでもやはりIGFの主役は猪木です。蝶野の登場、シンの乱入もあり、猪木劇場はスペシャルな感じでした。50周年イヤーということで今年は猪木信者にとってはいろいろと楽しい1年でした。  5日はノア武道館大会を観戦しました。カードもいいですし、それなりに盛り上がってもいいますが、もはや武道館が満員になることはありませんね。
 メインの杉浦対森嶋のGHCヘビー級選手権はいい試合でした。危険過ぎるほどの激しい攻防だったのが気になります。森嶋は減量に成功して、いい感じになりました。それでも杉浦が勝利してV7を達成。東スポのプロレス大賞MVPを受賞しました。この1年、杉浦は本当に頑張ったと思います。
 復帰した丸藤はいきなりKENTAと熱戦を繰り広げました。4カ月振りで勝てるほど甘くはありませんが、いつものいい試合でした。ヒーロー&カスタニョーリが意外にもいいチームで、高山&佐野とのGHCタッグ戦も良かったです。
 杉浦が「三沢さん、小橋さんのいないノアは物足りないですか」と発言したことが話題となりました。四天王の時代から観ている者にとっては三沢がいないこと、小橋、秋山が欠場していること、スタンドの半分が潰されている武道館は、やはり寂しいです。
 16日はみちのく後楽園大会を観戦しました。宇宙大戦争には期待していたのですが。すっかり年末恒例のイベントとなり、超満員札止めの大盛況だったのですが。
 今回はサスケがロックスターになると言い出しして、リッキー・フジ、Ken45とタッグ&バンドを結成し、宇宙大戦争と関係ないものが入ってしまいました。野橋の宇宙人キャラもミスマッチとなり、リング解体マッチも意味不明でした。適度なグダグダ感が面白いのですが、あまりにグダグダ過ぎでした。余計なものを詰め込み過ぎたのだと思います。正直、期待外れでした。ホントに最終決戦だったのでしょうか。来年に期待します。
 新日は大阪、名古屋でビッグマッチがありました。小島がIWGP王座を防衛し、ベルトが外的に渡ったまま年を越すことになりました。敗れた中邑はいいところのないまま1年を終えました。真壁も王座転落後、首を負傷し、失速したままでした。期待していた2人の結果は残念なものでした。中邑は潮崎との再戦を口にしましたが、これは絶対に負けられない闘いになります。これを切っ掛けに来年は再浮上して欲しいと思います。後藤はノンタイトルながら小島に敗れ、棚橋がその後藤と内藤に連勝し、浮上したというところでしょうか。鈴木みのるが乱入して永田との因縁が復活し、ドームへの流れが見えて来ました。
 全日は伝統の世界最強タッグがあり、VMの乱入もあってKENSO&KONOが優勝というバッドエンドでした。ファン感謝デーでは、チャーシュー力こと浜と長州小力のW長州が、武藤と神奈月のW武藤に勝利してF−1タッグ王座を奪取するなど楽しいプロレスを見せてくれました。真田、征矢ら若手の台頭、諏訪魔も三冠王者として成長するなど明るい話題もありますが、武藤が限定出場になったのは寂しいですね。
 さて、2010年のプロレス界ですが、やはり盛り上がりませんでした。会場に行くとそれなりに熱気は感じるのですが、こじんまりとしてしまった感があります。どの団体も観に行くという人は今はあまりいなくなってしまったのではないでしょうか。新日ファンは新日を、ノアのファンはノアを観て、内輪で盛り上がっているという感じです。外に向かっていくパワーが感じられません。訃報も多かったと思います。ラッシャー木村、山本小鉄、ジョー樋口、星野勘太郎、愚乱浪花、寂しいです。
 女子プロレス界は更に深刻です。一応核になっていた団体であるNEOが21月31日で解散しました。田村らのトップ選手も引退しました。それでも来年旗揚げするSTARDAMは新しい核となる大きな可能性を秘めた団体です。華名、さくらえみといった面白い存在もあります。力を集結させれば、再浮上の可能性はあります。
 格闘技も同様で、K−1GPはアーツの頑張りは良かったのですが、決勝では外敵のオーフレイムが圧勝しました。会場も有明コロシアムということで、もはやかつての勢いはありません。
 年末の格闘技もSRCが30日、Dynamiteが大晦日と2日連続の興行でしたが、以前のように話題になるようなカードはありませんでした。猪木を担ぎ上げるのも苦肉の策という感じです。確かに世間に対するアピールという意味では未だに猪木に敵うものはありません。
 来年こそはプロレス界も格闘技界も盛り上がって欲しいです。もっともっと世間にアピールしていかないといけません。