Vol.186 オールスター戦開催、GENOME15


 3月はとても長く感じられました。4月になって1カ月が経ち、気温も上がり、東京ではだいぶ落ち着きを取り戻してきましたが、依然として被災地では避難生活が続いています。余震が収まらず、原発問題、電力不足も解決しませんが、それでも前に進んでいかないと、日本全体がダメになってしまいます。節約することはする。楽しむことは楽しむ。プロレスも同様です。ビジョンだの煽りVTRだの不要です。しっかりとした試合を見せてくれればそれでいいと思います。この際、興行も無駄を省いて、テンポ良くしてもらった方がかえっていいと思います。
 4月3日の新日後楽園大会は大盛況でした。IWGP戦が行われたので満員にならなければ困りますが、棚橋と永田が35分の熱闘を見せて、内容も良かったと思います。
 同じ日、米ジョージアドームで行われたレッスルマニアも大盛況でした。後楽園とは規模がケタ違いです。アンダーテイカーとトリプルHの熱闘、エッジ対デルリオ、ミズ対シーナの2大選手権に、ロック様、ストーンコールドも登場しました、完全にブランドとして定着しています。日本ももう一度東京ドームを満員にできるように頑張って欲しいものです。
 8日の全日チャンカン開幕戦を観戦しました。残念ながら満員にはなりませんでしたが、熱気は感じられました。諏訪魔対船木の異質な対決、秋山対ケアの30分の熱闘は見応えがありました。
 今年のチャンカンは後楽園ホール5連戦で行われました。ノアから秋山、新日から永田が参戦し、いいメンバーが揃ったと思います。永田は諏訪魔も破って決勝に進出、秋山は鈴木みのるに敗れ、鈴木は真田に敗れ、決勝はまさかの永田対真田となり、永田が優勝しました。真田の健闘は立派でしたが、永田対鈴木も、永田対秋山も実現しなかったのは残念でした。6月の両国で諏訪魔対永田の三冠戦も決定し、展開としては面白くなりました。
 ノアではグローバル・タッグリーグ戦が開催されました。秋山&斎藤が、GHC王者の高山&佐野、意外に健闘した杉浦&ヨネらを押さえて優勝しました。全日の伝統を継承してか、優勝決定戦がないのは最後の盛り上がりに欠ける気がします。
 17日はディファ有明で井上京子の新団体ディアナが旗揚げしました。京子は団体にこだわりを持っていて、私もその考えに賛成です。今はフリーで活躍する女子選手が目立ちますが、女子プロレスが駄目になったのは、絶対的な中心的存在であった全女がなくなってからです。女子プロレスが復活するためには、もう一度、全女のような団体が登場して欲しいと思います。
 18日にビックなニュースが飛び込んできました。新日、全日、ノアのメジャー3団体が参加して震災復興支援のオールスター戦開催が決まりました。8月27日、日本武道館です。32年前の8.26夢のオールスター戦の明日、同じ日本武道館、主催も同じく東京スポーツ新聞社です。
 まだどんなカードになるのかまったく分かりませんが、こんな状況だからこそ、こんな夢のあるイベントが実現して、本当に良かったです。久し振りに明るい気分になりました。是非、素晴らしい大会にして欲しい、プロレスファンとして盛り上げようじゃないかと思います。
 28日はGENOME15を観戦しました。会場はお馴染みとなったJCBホール改め東京ドームシティホールです。震災復興支援のチャリティー興行となり、藤原、藤波、蝶野、サスケらによる募金活動、チャリティーTシャツの販売が行われたので参加しました。猪木が言うように自粛自粛ばかりではなく、こうして好きなプロレス観戦をして支援が出来るというのは嬉しいことです。
 豪華なカードが揃ったと思います。紛れもなく超満員でした。第1試合では鈴木&定の新人コンビが澤&クノウと対戦、鈴木が澤に勝利しました。タッグマッチは初めてのことと思いますが、2人はいい素材だと思うので、もっともっといろいろな試合をさせてあげたいところです。
 第2試合にはサスケが登場し、初代タイガー&ウルティモと対戦。えっという感じでサスケがウルティモを丸め込みましたが、東北を象徴する人ですから、いいんじゃないでしょうか。第3試合は藤波40周年記念試合のベイダー戦でした。10分間だったので引き分けでしたが、長く良きライバルだった2人の再会で良かったと思います。第4試合には橋本大地が登場し、これも感慨深いものがありました。大谷と組んで、藤原&稔と対戦しましたが、藤原のワキ固めに完敗でした。今時点では貫禄が違い過ぎます。
 休憩開け恒例の猪木劇場は、駄洒落とお馬鹿なパフォーマンスに終始していました。「猪木が笑えば世界が笑う」の精神だったのでしょう。何であれ、元気な猪木の姿を見れるのがIGFですから。
 サップと澤田は本当に駄目です。サップはこの状況でも日本に来てチャリティー活動を行っていたので少し見直していたのですが、キックルールでもまったく駄目でした。澤田もせっかくゼロワンの崔と遺恨マッチとなったのに両者反則のノーコンテストで本当に何がやりたいのか分かりません。
 セミのラシュリー対ハンソンはややあっさりと決まってしまいました。ラシュリーはいい選手です。ハンソンは面白い面もあるのですが、微妙です。
 メインは鈴川対バンナでした。試合前に和田レフェリーからルール説明がありましたが、まったく要領を得ず、よく分かりませんでした。こういう最低限のことはしっかりしてもらいたいです。結局、45分1本勝負でバンナはグローブ着用、鈴川は素手での戦いとなりましたが、結果はバンナのKO勝ちでした。パンチで何度もダウンを奪い、最後も一発で完全ノックアウトでした。よし、やったと思いました。ビンタでキックボクシングの一流選手に勝てる訳がないです。プロレスラーがK−1に負けたなら悔しいのでしょうが、パッと出の訳の分からない格闘家が一流の格闘家に負けた当然の結果という感覚でした。ただ、倒れても何度も立ち上がって行った姿勢は立派でした。負けっぷりも見事でした。負けて逆に少し評価が上がった気がします。