Vol.190 新日G1、オールスター戦


 8月は新日G1です。今年で21年目、過去最大の20選手参加で、福岡で開幕、後楽園、愛知、大阪、横浜、代々木、両国で全10戦とスケールアップしました。それはそれでいいのですが、やはりG1は真のトップによる少数精鋭の総当たりでやって欲しいと私は思います。
 3戦目となった5日の後楽園大会を観戦しました。よく入りましたし、大いに盛り上がっていました。やはりG1のブランド力は健在ですし、今の新日はだいぶいい雰囲気になっています。
 セミ前でしたが、中邑対天山がベストバウトだったと思います。個人的に今年こそ中邑という思い入れがあり、結果が期待とおりだったということもあるでしょうが、試合内容も凄く良かったです。バーナード対アーチャーの大型外人対決も良かったです。実績のあるバーナードに、評判の良いアーチャーの対決は興味深かったです。セミの真壁対内藤はどちらも応援していて、どちらにも勝って欲しかったのですが、真壁が完勝し、内藤は大変苦しい状況になってしまいました。メインは後藤対小島でしたが、最後をきっちり締める内容でした。
 そして14日の優勝決定戦も観戦しました。紛れもなく超満員札止めでした。両国駅から長い行列ができるのを久し振りに見ました。その暑い中を歩いていくのがG1の夏です。盛り上がりも凄かったです。G1ブランドの力もあるでしょうが、今の新日は確実に勢いを取り戻しつつあります。
 G1はゲーム的な要素が強く、応援している選手が勝つか負けるかで感じ方がまったく変わりますが、私は今回こそは中邑に勝って欲しかったですし、内藤にも期待していたので、思い通りの結果となって大満足でした。
 最終戦にも公式戦が組まれ、大混戦となりましたが、第1試合でまず永田がサイトーに敗れて脱落。永田と相手がサイトーだけにこれはそんな気がしました。その後も、真壁が高橋に、後藤がストロングマンに敗れる中、内藤が棚橋に、中邑が鈴木に勝利して決勝進出を決めました。
 全11試合で長過ぎるのではないかと思いましたが、テンポよく進みました。IWGPジュニアタッグ選手権までありましたが、デヴィット&田口対飯伏&オメガのクオリティーは保障付きで、もちろんいい試合でした。飯伏にやられ放しなので負けられないところでしたが、欲をいえばオメガではなく、飯伏から一本取って欲しかったところです。ついでに、公式戦の得点経過についてまったく説明がありませんでしたが、これはアナウンスするべきだと思います。全体的にはまったく長さは感じませんでした。
 優勝決定戦の中邑対内藤は20分を超える熱戦で、きっちりと締まりました。中邑には勝利に対する執念が感じられましたし、受けの強さが出てきたと思います。相手の攻撃をしっかり受けきった上で、最後のボマイェには説得力があり、いいと思います。
 全選手が怪我なく最後まで完走したことも良かったと思います。ただ最終戦のテンコジ対決で小島が右眼眼窩底骨折をしてしまったのは残念でした。テンコジのその後、対鈴木みのるなどいろいろ展開があったと思うのですが。
 G1の影に隠れる形にはなりますが、ゼロワンの火祭りも今年で11年目を迎えました。10選手が参加し、曙、澤田は出なくていいという感じでした。逆に大谷の脱落は残念でしたが、決勝は関本対耕平と決勝戦に相応しい対決となりました。そして関本が7度目の出場で初制覇。ゼロワンには外敵の優勝でしたが、関本ならばハッピーエンドでした。
 ノアは6日にディファ有明で潮崎対秋山のGHCヘビー級選手権が開催されました。旗揚げ記念日とはいえディファでGHC戦の開催は賛否両論でしょうが、今の客入りを見たら、致し方ないところだと思います。
 27日はALL TOGETHERを観戦しました。趣旨にはもちろん賛同ですし、すっかりプロレス会場から足が遠のいてしまったかつての仲間たちも珍しく観に行くと言っており、チケットの先行発売は完売という声も聞こえてきたので、一般発売開始と同時に購入しました。
 ところがその後、猪木がINOKI GENOMEを敢えて同日同時刻にぶつけてきて、AT方は発表になったカードが、各団体の思惑があって仕方ないところかと思うのですがイマイチで、これならIGFの方に行きたかったなとも思ったりしました。特に藤波対マスカラスには惹かれました。
 猪木はかつてのオールスター戦で、タッグを組んだ馬場に暗黙の了解を破って「今度は対戦を」とリング上でアピールしました。だから馬場には信用できないと言われてしまうのですが、ただのお祭りに終わらせないという思いからの言動です。今回敢えて興行戦争を仕掛けたのも競い合ってより盛り上げるという目的があります。猪木らしいし、それなりに分からなくもないのですが、同じ日にしなければ両方観れるのにとも思います。そしてIGFの方もチャンピオンシップ決勝でバンナとの対戦が決まっていたバーネットが二重契約でドタキャンという大失態をしてしまいました。バーネットには大きな期待を持っていたので本当に残念です。藤田和之の緊急参戦が決まりましたが、今更という気がしました。
 さてATですが、震災復興支援のために新日、全日、ノアの3団体が手を組み、多くのプロレスファンが集まったということだけで良かったのだと思います。こんなに入って活気のある武道館は本当に久し振りでした
 シングルが1試合もなかったのが物足りませんでした。今回は仕方ないとしても次の闘いにつなげる展開があっても良かったのではないかと思います。中邑がバックステージで言っていた「こんなもんじゃない」という言葉がすべてを現していると思います。
 目を引いた選手が2人、まず第1試合にIWGPジュニア王者としてインディーから唯一参戦した飯伏です。3団体のジュニアの精鋭の中でしっかりと目立っていたのはさすがでした。もう1人は佐々木健介です。まさかの復活で注目を集めたノーフィアーを相手にしっかりと強さを見せつけました。ノアとの関係で健介オフィスの選手は参戦していましたが、良かったのはメジャー3団体以外の選手でした。
 武藤と小橋のタッグはさすがに別格の存在感でした。最後に見せたムーンサルトの競演は見事でした。相手としては役不足と思った飯塚&矢野は、結果的には良かったように思います。
 メインは3大王者がトリオを結成しましたが、それよりもKENSOの特異なキャラが際立ってしまいました。やはり単純にタッグ結成ではなくて対戦もありだったのではないかと思います。
 締めが歌というのもどうかと思います。感動的だったなどとも言われてますが、実際、会場はシーンとしてました。来年に仙台で第2弾と開催が発表されましたが、被災地でやることはすごく意義があると思います。
 IGFは、サムライTVのニュース映像でチラッと見ただけですが、それなりに入っていたようです。ただ内容の方は微妙だったように思います。予想はしていましたが、藤田がバンナに負けるという結果も不満ですし、終わり方も微妙な感じでした。反則決着や両者リングアウトもあり、闘いはこちらの方がありましたが、あまりすっきりしなかったのではないかと思います。
 とにかくどちらも多くのファンが集まって、結果的には興行戦争も良かったのかなと思います。ただ世間にはあまり届いていないようで残念です。
 28日はWAVEの後楽園大会を観戦しました。今やナンバー1アイドルの栗原と、ビジュアルは申し分ないものの言動からはとてもアイドルとは呼べませんが、話題性ナンバー1の華名のシングルマッチが決まったので、これは観ておこうと思いました。観衆の実数発表がありましたが、1204人ということでまずまずの入りだと思います。
 華名対栗原は女子らしくえげつなく激しい攻防で期待通りのいい試合でした。栗原の頭突きが勝敗のポイントと思っていました。終盤にクリーンヒットしましたが、華名が耐え切ってしまったところで勝負ありました。
 植松&輝vs柴雷姉妹vsアパッチェ姉妹の3WAY戦は皆できるチームなので、とても見応えがありました。コミカルWAVEには広田さくらが登場し、さくらを見るのは本当に久し振りで、こんなになっちゃったんだと思いましたが、正直とても面白かったです。
 セミは桜花の10周年記念試合で、ブラックダリアで打倒を目指すアジャと6人タッグ対決し、丸め込みで勝利しましたが、内容はイマイチでした。メインは渋谷の復帰戦で、AKINOに敗れました。復帰戦なので仕方ないとしてもメインとしてはイマイチでした。
 華名対栗原が頂点で、前半戦の方が良く、後半は尻つぼみでした。この辺は団体としては大きな課題です。次のタッグトーナメントに向けて、いろいろと新展開があったのは良かったですが、試合以外の部分がちょっと冗長でした。