Vol.232 5年目のスターダム、柴雷姉妹対決、猪木72歳のIGF


 2月の観戦もまずは1日のスターダム新木場大会からでした。4周年記念日は世IV虎が奈苗に勝利して赤いベルトを防衛。惡斗が大江戸隊の介入で白いベルトを強奪と、個人的にはバッドエンドでしたが、5年目最初の新木場大会は超満員札止めの大盛況でした。
 久し振りのキッズファイトにパッションセブンが登場の後、愛星ゆうな10カ月振りの復帰戦でした。長かったのでずいぶん辛い思いもしたと思います。それでも会場には姿を見せて、セコンドや売店をやっていて、すっかり顔なじみになったので、思い入れが強くなりました。そういう人が多くて観客動員につながったのなら良かったと思います。相手が新人の渡辺桃ということで勝てると思ったのですが、負けてしまいました。それでも今日は無事に試合ができたことでホッとしました。スターダムの選手は成長が早いので10カ月のブランクは大きかったのでしょう。でもこれからです。あせらずに追いかけていって欲しいと思います。
 頭部へのダメージで欠場していた宝ちゃんも1カ月振りに復帰しました。コグマと組んで米日の出との対戦と楽な立場でしたが、彼女も同期の惡斗が欠場している間に大きく成長したものの、この欠場で代役の惡斗が白いベルトを奪取して、また立場が逆転してしまいました。悔しい思いをしているはずで、巻き返して欲しいと思います。
 イオは珍しくはづきとタッグを組み、ヘイディ・ラブラス&ドラゴニータの外人組と対戦。安定の実力をみせて勝利しました。奈苗は今年も情熱注入マッチの第1弾をクリス・ウルフと行い、元気なファイトを見せてくれました。
 メインは平成軍と大江戸隊の6人タッグマッチで、大江戸隊がまたも悪のインサイドワークで岩谷に勝利しました。特に木村響子はやっぱりうまいなと思います。この結果を受けて、22日の後楽園のカードも見えて来ました。昭和軍、平成軍、大江戸隊の3軍団対抗は分かりやすくてよいと思います。そして後楽園では、昭和軍、平成軍が大江戸隊にリベンジして欲しいと思います。
 そして年明けからすっと続いたスターダムは、地方興行と1週の興行なしで、しばしのお休みです。その間には、まず天龍引退発表ニュースが入ってきました。いつまでも頑強な体で変わらぬプロレスを見せてくれていましたが、もう65歳。さすがにここ最近はコンディションの悪さが見受けられました。とても残念ですが、引退は本人が決めることなので、本人がそう決意したのなら最後まで応援するしかありません。ラストマッチはデビュー日の11月13日前後とのことなので最後はパーッと盛り上がってもらいたいです。
 新日も地方でビッグマッチでした。11日は大阪で、AJが棚橋からIWGPヘビーを奪取。アンダーソン&ギャローズが後藤&柴田からIWGPタッグを奪取。マット&ニック・ジャクソンもIWGPジュニアタッグを奪取し、オメガが田口とのリマッチを制してIWGPジュニアを防衛と、バレットクラブが4つのベルトを手にしました。AJも昨年は棚橋に連敗していたので負けられないところでした。後藤&柴田はやっと結果を出したのに一度も防衛出来ないというのは残念です。田口もオメガに連敗で、ドラダが挑戦を表明しましたが、正規軍のジュニアは層が薄くなってしまっています。東京ドームとは一転してバッドエンドでしたが、今後の展開が面白くなったと思います。
 14日は仙台で、中邑がIC王座を防衛。ミスターIWGPと呼ばれた永田の挑戦は意味のある事だったと思います。NEVER王座は真壁がインフルエンザのアクシデントで王座を返上、石井が新王者となりましたが、2人の戦いはまだまだ見たいです。
 ノアは鈴木軍と抗争中ですが、アーチャー&スミスJrがTMDKを破り、GHCタッグ王座を奪取しました。こちらもこの方が今後の展開が面白くなりそうです。
 スターダムはお休みでも、柴雷イオは禁断の姉妹対決という大一番がありました。結果は妹イオの勝利でした。観に行こうか考えているうちにチケットが完売してしまいましたが、大きな話題になったことはとても良かったと思います。そして戦い終えたイオが、これから始まりと言っていることも良かったです。今後もっと大きな動きになっていくかもしれないと思った矢先に、姉の美央が9.20後楽園での引退を電撃発表しました。姉妹対決は終わりの始まり、今後再び交わることは考えていないとのこと。イオは予兆みたいなものは見えていた気がする、引退が決まったからといって急に接近するのは不自然かもしれないと言っています。もう一度くらい姉妹タッグ再結成の機運が高まってくれればいいなあと思います。
 2月20日、猪木72歳の誕生日にTDCホールでIGFのGENOME32を観戦しました。先日ウィリエム・ルスカが亡くなり、かつて闘ったライバルたちが旅立って行く年齢になってしまいましたが、まだまだ元気で頑張ってもらいたいです。
 試合の方はメインが小川&ワンビン対ミノワマン&澤田ではまったく期待できません。ミルコに勝ち逃げされたのは致命的でした。藤田がミルコから王座を奪回して欲しかった。
 セミでは青木がカシンとプロレスルールで対戦しました。カシンがプロレスのうまさで3カウントを取ってそれなりに面白かったですが、青木も手放しで応援できる選手ではありません。橋本大地も第2試合に登場しましたが、IGFでよかったのでしょうか。
 そして3週間振りだとすごく久し振りに感じてしまいました。22日はスターダム後楽園大会を観戦しました。メインの赤いベルト戦で、世IV虎が惡斗に顔面パンチを連打し、病院送りにするという事件が起ってしまいました。
 惡斗が白いベルトを奪取した試合内容が不満でしたし、まだ赤いベルトに挑戦できる実績も実力もないと思っていたので、世IV虎が公言していた通り秒殺して欲しいと思っていました。またセコンドの介入、凶器攻撃などでうだうだあって、世IV虎が負けることはないでしょうが、やっと勝ったとか、反則勝ちなんてことはしてくれるなと思っていました。闘いが見たいのであって、茶番劇が見たいわけではありません。いい試合ではなくて凄い試合が見たいのです。
 ただ相手をケガさせてはいけません。理性を失って骨折するほど顔面を殴ってしまった世IV虎は精神的に未熟でした。そして例えば締め落とすとか、相手を傷つけないで倒すという格闘技の技術も未熟でした。惡斗もパンチを防御する技術が未熟でした。そして2人の間には信頼関係がまったくありませんでした。
 このタイミングでこのカードを組んではいけなかったのです。だから選手の育成、管理、マッチメイクといった面で、スターダムの団体としての責任は大きいです。
 せっかく信頼を築いてきたスターダムでしたが、この一試合で、マスコミがセンセーショナルに書き立て、ネットでは会場に観に来てもいないのに好き勝手に批判する輩が湧き出る事態を招き、プロレスのイメージを大きくダウンさせてしまったことは非常に残念です。
 幸い惡斗のケガは、頬骨と鼻骨、左眼窩底の骨折、両目の網膜信浸盪症と重傷ですが、網膜剥離という最悪の事態は免れました。世IV虎は無期限出場停止と王座剥奪、小川社長、風香GM、選手まとめ役の高橋奈苗は30%減給3カ月の処分となりました。ルールの厳格化、リングドクターを置くこと、定期的に選手会を開き意見交換を行うという改善策も発表されました。
 そして惡斗は復帰を望んでいます。世IV虎が惡斗の入院している病院を訪ね、お互いに謝罪をして、握手をしました。惡斗は世IV虎に「諦めないでください、自分は必ずリングに戻りますから。リングで会いたいんです」と言ったとのことです。
 だったらもう何も言う事はありません。2人がもう一度リングで合えるようにスターダムはまた前に向かって進んでいけばいい。それを応援していきます。