Vol.253 18年振りのPURE HEART、スターダムの時限爆弾


 11月に入り、リング外で大きなニュースが2つ入ってきました。まずはWWEがスターダムのイオとほーちゃんにオファーしたというもの。どうするのかは分かりませんが、イオはとりあえず来年3月9日に後楽園で10周年記念自主興行の開催を発表しています。
 2人の意思に任せるしかありませんが、WWEに行くことがメジャーになることでも世界進出でもないと思います。WWE女子の試合よりスターダムの試合の方がクオリティーが高いですし、スターダムのプロレスをもっとメジャーに、世界に発信していくことが本当のメジャー化、世界進出だと思います。
 以前は新木場のような小さな会場でプロレスをやることに抵抗がありました。だからゆずポンの現役時代も観るようになったのは後半の1年くらいなのです。それが今では新木場はすっかりホームリング感覚です。売店やイベントで選手と触れ合えたり、名前を覚えてもらえたり、そんな親しみやすさが心地よいので、メジャーになるのは嬉しい反面、寂しい思いもあり、だからファンの勝手な意見としてはアメリカになんて行って欲しくないというのが正直な気持ちです。
 もう一つはノアの身売りです。ITシステム開発会社「エストビー」に事業が譲渡され、会長に元全日本プロレス社長だった内田雅之氏が就任しました。時代がら仕方ないことのなでしょうかね。新日もブシロード配下になってむしろ良くなりましたし、とりあえずリング上はこれまでと変わりがないようですし、いい方向に向かってくれればよいなと思います。
 話しをリング上に戻します。3日はJWP後楽園大会を観戦しました。たぶんキューティー鈴木の引退試合以来なので18年振りです。当然ですが、すっかり様変わりしていました。観に行ったのはなつぽいが初参戦したからです。しかも初のベルト挑戦で木村花戦という好カードになりました。
 第1試合で行われたJWP認定ジュニア&POP選手権。なつぽいは健闘しましたが、ベルト奪取はなりませんでした。ポテンシャルもキャリアも負けてはいなかったと思うのですが、対格差は歴然でした。やはりプロレスで体の大きさは大きなポイントですね。そしてアウェーの空気感はどうしようもなかったです。花もJWP所属ではありませんが、継続して参戦していて、母親から繋がるものもあり、ホームという感じでした。なつぽいはやはりポッと出て来た選手で、それでも充分に爪痕は残しましたし、そもそも初参戦でベルトに挑戦できるというのが凄いことなわけで、本人はまた挑戦したいと言っているので、続ければチャンスはあると思います。
 この日はサオリんがスターダム高岡大会に参戦。エイミーとたむちゃんがファイヤープロレスの横浜大会に参戦と3箇所にアクトレスガールズが参戦しました。これも素晴らしいことです。アクトレスガールズは何処に出しても恥ずかしくないレベルにあります。観戦するのも大変ですが、嬉しい悲鳴です。
 メインは木村響子対中島安里紗でした。JWPでデビューした木村が引退間際に古巣で初めて王座を奪取し、現エースである中島との再戦。木村が要求したワイルドアップドレスファイトを飲まざるを得なかったという大一番でした。
 29分34秒の熱戦ではありましたが、もっと凄い試合になるシチュエーションだったと思います。凶器を使用する木村も、使用しない中島も中途半端でした。試合後、中島から年内でJWPを退団すると発表されました。それでは消化不良の試合も当然です。この18年間のJWPは知らないので、中島の思いも分かりませんが、手放しで賛同できる決断ではありません。
 早速、中森華子が噛み付きました。彼女は最近アクトレスガールズにも参戦していて観ているのですが、いい選手だと思います。まずは辞めて行く中島を倒すことですが、次のエースとなるのでしょう。昔観ていたときにいた選手はボリショイのみになっていましたが、久し振りに観たJWPの今後が気になります。
 10日から3連戦でした。木金と平日夜2日間は仕事があって厳しいのですが、まず後楽園のドラゲーは遅れてセミとメインしか観れませんでした。対戦カードは当日発表でしたが、盛況でした。新人の紹介とデビュー戦があり盛り上がったようでした。メインはベルセルクを追放された土井がYAMATO、キッドそしてKotokaと組み、鷹木&T−Hawk&サイバー&リンダマンとの8人タッグでした。ユニットの入れ替わりが激しくてなかなか付いていけないところがありますが、これがマンネリ化しなくてよいのでしょうね。たまに会社のあまりプロレスを知らない人と観に行くのですが、そんな人たちにはドラゲーはちょうど良いみたいで、楽しんくれたようです。
 11日はスターダム新宿FACE大会でした。こちらがどうしても最初から観たかったので、前日は仕事を優先しました。タッグリーグの公式戦最終戦と優勝決定戦。イオの時限爆弾発言もあり、何かが起こりそうな予感でした。
 7期生最後の一人ルアカのデビューがハプニング的に決定しましたが(決まっていることは知っていましたが)、公式戦は波乱なく、サンダーロックとBY宝の決勝戦となりました。
 そして決勝戦で時限爆弾が大爆発しました。予想できませんでした。インパクトは絶大でした。イオが麻優を攻撃して試合放棄、当然BY宝が勝利して優勝しました。イオは最近の麻優が伸び悩んでいるとしてサンダーロックを解散、マスクとマント姿の新しいパートナーを呼び込みました。正体は明らかでしたが、この時点では明かされませんでした。
 試合内容でいつも満足できるスターダムでメインのリーグ戦決勝がぶち壊されてしまったこと、そして麻優が本当に知らされていなかったようで号泣している姿があまりにも不憫で、この日は後味の悪い感じがしました。安定は後退と言われたりもしますが、スターダムの安定の試合内容、そしてファミリー的な暖かさが心地よくて好きなので、どうなってしまうのかという不安もありました。
 ただ落ち着いて考えてみると、三本柱から美闘が復帰して四天王と呼ばれるようになりましたが、対立軸がなかったのは事実です。麻優が一時のブレイクは素晴らしかったものの、このところ元気がなく見えたのも事実です。ほーちゃんと美闘を中心に全力女子が復活、イオと麻優を中心にPLANETが復活したらいいのにと思ったりもしていました。イオが反体制となり、麻優と決別するとはまったく思いもしませんでしたし、だからこそ面白いともいえます。いづれにしてもこれからです。これからイオが何をしていくのか、スターダムがどうなっていくのか、見守りたいと思います。
 11日はアクトレスガールズACT12新木場大会でした。土曜の夜興行は入りが悪いと言われていますが、土日休みの私としては休日で翌日も休みなのでありがたいです。入りはあまりよくなかったのですが。
 アクトレスガールズも四天王と言ってもいいと思うのですが、なつぽい、サオリん、エイミー、たむの4人は素晴らしいです。彼女たちはリングを下りれば仲が良いのですが、リング上ではバチバチでやり合います。上を目指す気持ちの強さ、負けん気の強さ、感情むき出しで頑張るところがよいのです。旗揚げから1年ちょっと、たむはまだデビュー4カ月くらいですが、本当に成長が目覚ましく、最近はいろいろな団体から呼ばれるようになりましたが、何処に出しても恥ずかしくないレベルです。
 ただ他の選手が続きません。ACTシリーズでは前半戦の試合がしょぼ過ぎるという欠点がありました。この日はメインはなつぽい&Sareee対サオリん&中森華子、セミはエイミー対美邑宏海、第1試合はたむ対あきば栞で、良い試合でした。第2試合はお笑いでしたが、以前のようなふざけ過ぎで不愉快になるようなものではなく、まあ1試合くらいこれもいいかという感じでした。
 問題は第3試合の宮間梨佳対堀田でした。案の定ボディースラム一発で瞬殺されましたが、堀田の激から再試合となり、ここで初めて宮間梨佳が感情を爆発させて堀田に食らいついていき、リングサイドにはアクトレスガールズが集まって応援し、何とも感動的な試合となりました。宮間梨佳は自分がダメで辞めたいと言っていたと明かされました。確かにこれまではダメダメでした。でもこの試合で生まれ変われるかも知れません。今後についてはもう一度じっくり考えるとのことですが、どうするにせよ悔いのないように頑張って欲しいです。
 19日はREINAベースメントモンスター王子大会を観戦しました。なつぽいが参戦したので、家から結構近いですし。地下のライブハウスのような小さな会場で、すごく間近で観られました。裏側な感じだったのが残念でしたが。
 なつぽいは花澄と組んで、チェスカ&藤ヶ崎矢子と対戦しました。花澄はド新人なので負けてしまいましたが、なかなかいいタッグでした。ビジュアルハンターの矢子との対戦も面白かったです。メインにはチェリー&中森華子&希月あおいという他団体の知っている選手が登場して、真琴&レイナ・イシス&茉莉のREINA軍と対戦。やはり外敵の方が力は上でした。
 そして20日は新展開となったスターダム新木場大会を観戦しました。注目度が高く札止めの大盛況となりました。スターダム所属と外人選手のみの興行でした。スターダムとしては理想形なのでしょうが、アクトレスガールズがいないのは寂しく思ってしまいました。
 メインはイオ&HZK対麻優&桃でしたが、またも驚きの展開となりました。桃が麻優を裏切ってイオたちに合流しました。これまた予想外の展開でしたが、それでもなるほどと納得でした。これで対決の軸が出来ました。美闘が復帰して四天王と言われましたが、実はそれよりも全力女子とPLANETを復活させてユニット対決をしたらと思っていたのですが、サンダーロックが割れるというのは思いもよらなかったですし、確かにその方が面白いです。今後が楽しみになりました。
 ノアはシングルのグローバルリーグ戦が行われ、鈴木みのるが優勝しました。マサ北宮が準優勝、中島がGHCヘビーの王者になったり、新しい動きもありましたが、1年間鈴木軍との戦いが続きました。これからどうなっていくのでしょうか?
 新日はタッグリーグ開催中ですが、どうもタッグは盛り上がりません。次は来年1.4ドームが待たれるところです。
 全日は両国大会がありました。秋山体制になってだいぶよくなったと思います。こちらも宮原という新しい顔を三冠王座を守りました。次は最強タッグ盛り上げてもらいたいです。
 最後に訃報です。永源遥が急死しました。70歳でした。まだそんな年ではなかったのに、とても残念です。ご冥福をお祈りします。