Vol.1 プロレスって素晴らしい!(貴子のエッセイ集より)


 貴子のWWWAタッグ挑戦表名に対して北斗がいった「別の意味で裸で来い」というのは名言だと思う今日この頃ですが、その貴子がまたやってくれました。別の意味でなく、裸で来てしまったようです。
 第2弾ヌード写真集「ボディ・オイル」の発売で、存在が薄くなってしまった感がありますが、初のエッセイ集である「傷つくもんか!」(ペヨルト工房 ¥1800)も発売中です。その中で、とてもいい話しだと思うエピソードがあったので紹介したいと思います。対抗戦についての話しです。
 1993年、女子プロレス界では団体対抗戦が盛んに行われていました。その最前線で戦っていたのが貴子とJWPの尾崎でした。
 当時の貴子の発言、行動からすると、本気で他団体のことを、そして他団体の選手を憎らしく思っているのだと感じていました。特に尾崎のことは心底大嫌いなのではないかと思いました。ところが、実は貴子と尾崎は全女の練習生時代からの友達だったそうです。(尾崎が全女の練習生だったというのも興味深い話しです。)
 尾崎に対して挑発的な発言をしたのは、もっと対戦したかったからであって、尾崎に「プロレスはこんなに楽しいんだよと言いきかされてるような感じ」だったそうです。
 当時の貴子はアイドルという型にはめられ、思うような試合ができず、引退することまで考えていましたが、尾崎との戦いを通して今のようなズタイルを確立し、プロレスの楽しさを知り、またレスラーとして大きく成長したのです。
 尾崎と貴子が友達だったからといって、引退を考えているということまで話していたわけではありません。それでも二人には何か通じるものがあり、「プライドと心と愛を真っ直ぐぶつけ合った闘いができた」のでしょう。
 プロレスファンでない人はきっとこう言うでしょう。「なんだ本当は仲がいいんじゃないか。やっぱり八百長なんだろう」と。
 わかってないなあ。お互いを認め合うからこそ、思いきりぶつかれるし、いい試合ができるんだよ。プロレスは確かに殺し合いでも、ケンカでもない。だからこそプロレスって素晴らしいんだ。
 いい話しだと思いませんか。