Vol.8 上半期を振り返る


 今年最初の大きな話題は、新日の1.4東京ドーム大会でした。武藤が高田に敗れたことなど、遠い昔のように思えます。私はこの興行で最も印象に残っているのは武藤でも高田でもなく、猪木vsベイダー戦です。こんな試合ができるやつは、やっぱり他にはいない。
 3月に行われたみちプロの大田区大会は、今年上期のベスト興行です。みちプロはプロレスに対する情熱、ファンに対する誠意がストレートに感じられ、とても素晴らしく思います。メインの6人タッグは本当に良かったし、キッドや人生の登場など演出も気が効いていました。ただひとつ残念だったのは、獅龍の欽ちゃんジャンプが見たい!
 そしてGWは新日ドームvsFMWの川崎球場。新日のドーム大会では橋本が高田からIWGP王座を奪回し、Uインターとの対抗戦に一つの区切りをつけました。その後の展開としては、WARの天龍がからみ、新たな大きな流れを作っています。ジュニアもIWGPジュニアを奪取したサスケとライガーを中心に大きな流が生まれています。
 この新日を中心とした大きな流れとは別に、全日は独自路線ながら、田上が三冠王者三沢、秋山組が世界タッグ王者となり、新たな流れが生まれつつあります。そして近頃、川田の様子がおかしい・・・。
 Fの川崎大会も成功したものの、新生Fのカラーはまったくなく、大仁田一色の大会でした。メインで敗れたハヤブサはどこへ行ってしまうのでしょう。この間のFの後楽園大会には姿を見せましたが、何のアクションもなく、寂しく消えていきました。とにかく頑張って欲しい。
 女子のジュニアオールスターもいい企画でした。何分、若手なのであまり期待はしていませんでしたが、好試合の連続で、特に全女の底力を見たという感じです。
 上期の注目No1レスラーといえば、安生洋二でしょう。あれ程、心底憎たらしいというブーイングを浴びていた男が、今ではすっかり人気者です。確かにおもしろいもんなあ。
 そして上期の最後を締めくくるビッグイベントが力道山メモリアル大会です。力道山を偲んで、16団体が集結して、プロレスをする。実に意義のある、そして夢のある大会になるはずでした。ところが、今時2試合続けて両者リングアウトなんて論外です。ファンとレスラー、主催者の気持ちがまったくスイングしない、後味の悪い興行になってしまいました。この文章をこんな形で終わることがとても残念です。