Vol.14 96年総括と97年の展望


 東京ドームで武藤vs高田が行われたのが今から丁度1年前、あれから1年しか経っていないとは思えないくらい遠い昔のことに思われます。その後、高田は橋本に敗れ、天龍と2度対戦し、年末にはUインターの解散という衝撃情報が飛び込んで来ました。
 今年前半の話題を独占したのは新日本プロレスとUインターの対抗戦でした。その後新日はインディーとの対決を打ち出しましたが、結局は小鹿社長率いる大日本プロレスと東京ドームで対戦するに留まりました。変わって後半のプロレス界をリードしたのはもう一方のメジャーである全日本プロレスでした。川田がUインターの神宮大会に出場したのを皮切りに、藤原の参戦、馳の入団と「開国政策」が大いに話題を呼びました。
 もう一つの大きな流れとしてはインディーの再編成があります。まさに異常ともいえる団体の乱立状態がいつまでも続くわけはないと思っていましたが、ようやくFFFとWAR派の2極を中心にまとまる気配です。  さて、97年のプロレス界はどうなって行くのでしょう。例年ならば、新日本のドーム大会がプロレス界全体に大きなインパクトを与えて、その後のマット界の流れも決まってくるのですが、今年の新日ドーム大会は、現時点では何ともいえませんが、それ程のインパクトはないような気がします。
 新日ドーム大会のテーマは2つ。1つ目は世代闘争最終章です。橋本vs長州、蝶野天山vs藤波、木村の2大IWGP選手権は昭和世代が最後の一花を咲かせるのか、平成世代が昭和世代にとどめを刺すのか、確かに大きな闘いではあります。しかし、結果はどうなるにせよ時代は既に平成プロレスになっており、昭和時代に逆戻りすることはないと思います。もう1つはメジャーvsインディーですが、こちらも平成維震軍が大 日本と絡んでいくだろうという流れは予想できますが、インディーの再編成に影響を与えるまでには至らないと思います。
 97年のカギを握るのは全日本の「開国」でしょう。年末に解散したUインターの高田らと噂通りに絡んでいくとしたら、同じく噂されている東京ドームでの興行も現実味を帯びてくるでしょう。
 対する新日本も東京、大阪、名古屋、福岡のドームツアーが計画されており何らかの作戦が考えられているでしょう。共に設立25周年を迎える2大メジャー団体の動向はやはり目が離せません。
 一方、インディーは、例え2極にまとまったとしても、苦しい闘いとなるでしょう。12月に行われたFFF、WAR派の両国大会は魅力の乏しい興行でした。インディーのカギを握るのは、復活を果たした大仁田率いるFMWです。大仁田が1度きりの復活であるとは思えません。全日本との対抗戦を実現させるのか、他のインディーと関わっていくのか、注目したいと思います。