Vol.15 25周年イヤーと全女の公休制


 新日と全日、2つのメジャー団体がともに25周年を迎え、それぞれの姿勢を打ち出しました。
 全日は例年通り、1月2日の後楽園大会で幕を開けました。いつもと違ったのは馳が出場したことです。2日の後楽園は大変な客入りで、通路に人があふれる程でした。馳は新日時代と変わらぬファイトを展開し、全日の選手もまったく変わらぬ、明るく楽しく激しいプロレスを見せてくれました。
 全日の25周年のキーワードは「開国」です。馳の他にも藤原が全日マットに登場しさらにUインター、FMW、WARらとの交流戦も噂されています。
 全日のプロレスは本当に高いレベルで完成されているし、ファンに対しても最も誠実な団体といえるでしょう。例え開国しても、全日本の基本姿勢は崩さないで欲しいものです。そうすれば、質の高い全日本のプロレスに新鮮さまで加わって、25周年に相応しい大きなことができるでしょう。「石橋を叩いても渡らない」といわれる馬場さんですが、今年は何かやってくれそうな気がします。
 対する新日本も例年通り、1月4日の東京ドームからのスタートでした。カード的に苦戦が予想されていましたが、結局、今年も超満員の観衆でドームが埋まりました。この分なら予定されているドームツアーも成功することでしょう。こんなどでかいことができるのは新日本だけです。どんどんやって欲しいものです。
 しかし、4日のドーム興行は、メインの橋本vs長州は確かに素晴らしい試合でしたが、全体的に見て満足のいく興行とはいえませんでした。ドームはプロレス興行には広過ぎるというのもあると思います。話題性で大勢の人に訴えるという面で、新日は素晴らしいものがあります。でも、真のプロレスファンに伝えるべきものがおろそかになっている。そんな気がします。
 全女は新日、全日と並ぶメジャー団体です。その層の厚さから、確かに全選手が出場しなくても興行が可能です。
 全女では今年から公休制が取り入れられました。主力選手が交代で試合を休む制度です。これにより年間300試合に及ぶ興行が可能になりました。しかし、ファンとしてはあまり歓迎できる制度ではありません。東京に住んでいて、全選手が出場する興行を観に行ける私などはまだいいですが、年に何回かしか行かない地方興行でお目当ての選手が出場しなかったら・・・ファンの気持ちを考えた制度とはいえないと思います。
 大きなことをやって世間の話題を集めるというのも大事なことです。でも決して足元をおろそかにしてはいけないと思います。