Vol.26 女子プロ多団体時代、nWo、ZEN


 昨年は、プラム麻里子選手の事故死、全女の倒産と女子プロにとっては暗い1年でした。今年は、アジャのアルシオン、京子の新日本女子が旗揚げされ、女子も多団体時代に突入します。前記の新団体に、全女、JWP、LLPW、GAEA、Jdと純粋な女子が7団体で、男子とともに女子部がある団体は、FMW、IWA、SPWF、大日本真FMW、新東京と6団体です。
 全女が女子の核となる力を失くしたこと、どの団体も選手層が薄くなっていることから、交流ムードが生まれています。アルシオンが「引き抜きは悪ではない」と公言し、実際に大向、二上を引き抜いたことで、その他の団体が危機感を持って、結束が強まったというのも影響しているでしょう。
 私は対抗戦の乱発には反対です。全女の観客動員の低下は、以前の対抗戦ブームの反動が大きな原因だったと思います。しかし、節度を持ってやれば、新鮮な対戦が見れるわけで、ファンにとっても嬉しいことですし、対抗戦後の反動もないと思います。
 絶対に交わることがないといわれたJWPとLLPWの対抗戦が実現し、やはりこれは見応えがありました。(観客動員に結び着かなかったのが気になりますが・・・)今回限りで終わってしまうというのは残念です。WOWOWの中継で、ヤマモと風間の記者会見の様子を観ましたが、まるで子供の喧嘩でした。いろいろ事情もあるでしょうが、今の厳しい状況を考えて、少しは大人になってもらいたいです。
 尾崎率いるOZアカデミーや北斗のように、フリーとして複数の団体に出場するケースも増えてくるでしょう。団体の枠を越えて、益々入り乱れた状況になっていくでしょう。
 しかし、どの団体も観客動員は好調とはいえません。後楽園ホールにはいつも空席が見られます。そんな状態で、ここまで分裂してしまって、この先どうなっていくのか、非常に不安です。いくらファンといっても、全ての団体を観に行くことはまず不可能でしょう。当然、選択され、淘汰されるという流れになるでしょう。どの団体にも頑張って欲しいとは思いますが、今年も昨年以上に厳しい1年になるのではないでしょうか。
 男子のほうでは、昨年はnWoが話題を独占しました。会場ではもちろん大人気で、nWoTシャツは街にもあふれました。これまでになかった新しいタイプのプロレスです。一方で古くからの新日ファンの間では、ストロングスタイルを忘れて、アメリカンプロレスに走っているといった批判の声も聞かれます。
 私は古くからの新日ファンですが、nWoには賛成派です。とにかく格好いいですから。それに決してストロングスタイルを忘れているわけではありません。むしろ健介や橋本のパワーファイトよりも、武藤がときおり見せるグランドの方がストロングスタイルを感じられます。ここ一番では反則も封印しているし、基礎はしっかりしている上で蝶野、武藤なりのアレンジを加えているという感じです。
 ただ気になるのは、nWoに対して本隊にあまり魅力が感じられないことです。武藤の加入でnWoの魅力は倍増しましたが、逆に本隊に大きな穴が空いてしまいました。nWo武藤に対抗できる武藤クラスのレスラーが今の本隊には見当たりません。だから今の新日本はnWo一色になっているのだと思います。このままでは今年もnWo旋風は引き続くことでしょう。
 さて、もう一つ、大仁田とZENにも触れておきます。大仁田の復帰は絶対に許せまとせん。「嘘つきで何が悪い。お前は嘘をついたことがないのか」と開き直られても、確かに、嘘をついたことのない人なんていないでしょう。それでも自分の言動に対する責任はあるはずです。私は嘘をついたことはありますが、1年間全国を回って引退ツアーをしたことも、何万人も集めて引退試合をしたこともありません。あの感動を返せと いう気持ちです。
 その大仁田が団体を賭けて闘ったはずの金村らと手を組んで、明らかにnWoのパクリとしか思えないZENなる軍団を作ったところで、誰が加わって、誰が抜けたといっても、私は正直言って何の興味も持てません。勝手にやればという感じです。
 何はともあれ、私は今年もプロレスに明け暮れる1年になりそうです。今年の終わりには、1年間プロレスを観てきて良かったと思える年であって欲しいと思います。