Vol.27 98年マット界の新風景


 さて、98年も早くも1ヶ月が経過しました。マット界にもいろいろな新しい動きが出始めでいます。今回は1月の興行を通じて感じたことをレポートします。
 今年のスタートは、もはや恒例となっている全日の後楽園でした。昨年は開国政策で他団体の選手が多数、全日のマットに上がりました。今年もその流れは同じですが、もう一つ、大きな流があります。5.1東京ドームへの初進出です。だいぶ以前から噂はありましたが、ようやく馬場さんが重い腰を上げたという感じです。全日の王道プロレスがドームという大きな舞台で、どんな風に見えるのか、とても興味があります。
 新日本は、これも恒例の東京ドームでスタートしました。正直言ってドームの割にはというカードでしたが、超満員の大盛況でした。この日の目玉は長州力です。休憩前に若手との試合を引退試合にしたのも長州らしくて良かったと思います。引退セレモニーもとても良かったです。ドームの長い花道を引き上げていく姿はとても感動的でした。会場では見たことのない長州の笑顔も印象的でした。いい形で送り出してあげられたの ではないかと思います。
 長州引退の日、もう一つ引退のニュースがありました。猪木の引退表明です。4.4東京ドームが決定し、全日と興行合戦の様相を帯びてきました。また、既に第一線を離れているとはいえ、長い間、新日の柱だった猪木と長州が完全にリングからいなくなるわけです。猪木・長州のいない新日マットで主導権を握るのは、今や大ブームのnWoか、現IWGPチャンピオンの健介か、異種格闘技路線で行き詰まっている橋本はどう するのか。天山、小島、中西に加え、西村、永田らの新しい世代も確実に成長しています。主役争いが見ものです。
 FMWの開幕戦、ZENの旗揚げ戦が続けて行われました。大仁田の復帰はやはりどうしても許せないので、ZENの興行には行きませんでした。だから伝え聞いただけですが、大盛況だったようです。大仁田も人気があったそうです。今だに大仁田を支持する人たちが集まって、以前と変わらぬ大仁田がいたという感じでしょう。FMW初期の雰囲気だったのではないかと思います。
 対してFMWの開幕戦には空席が目立ちました。ハヤブサのマイクアピールも負けた後で、説得力が感じられませんでした。ただ大仁田の引退後、間もない頃の新生FMWを取り戻そうと必死になっていることは感じられました。メインの田中対雁之助は大仁田の邪道プロレスともメジャーとも違ったいい試合でした。
 それから悪評留まるところを知らない金村ですが、好き嫌いは別にして、あそこまで憎まれ役に徹したファイトは見事でした。見るからに本当に憎たらしいし、会場のボルテージも最高潮でした。ヒールとはこうあるべきという感じでした。
 みちのくプロレスの休業前ラスト興行は、デルフィンがテイオーからスーパーウエルター級のベルトを奪回するというハッピーな結末で幕を閉じました。デルフィンはサスケ抜きでもみちプロを存続させると宣言しました。ただサスケは海援隊に負傷している右ヒザを集中攻撃されて、もう本当にこれ以上は無理という感じです。その海援隊は「みちプロにやり残したことはない」と離脱もほのめかしています。まだまだ前途多難の のようですが、とにかくサスケは早く怪我を治して、もう一度、楽しいみちプロが見れることを願います。
 女子では、全女が例年通り、後楽園の正月2連戦を行いました。渡辺がパワーの扮装で北斗とタッグを組んだり、豊田が赤い水着に替えたりと、必死に頑張っているのが感じられます。謎の怪復面が出現したりもしています。反対の人もいるでしょうが、私は結構、この手のことは好きなんです。
 JWPの開幕戦にはイーグルらGUREN隊が乱入。LLPWとの抗争が再燃かと言われています。JWPでは尾崎が正式にJWPを離れ、OZアカデミーとしてやって行くという新しい動きもありました。
 京子率いるネオレディースも旗揚げしました。超満員の観客が集まりました。女子の興行で、空席のない後楽園ホールを見たのは久し振りでした。スタイルは全女時代と変わりません。それでいいと思います。逆にアルシオンの方が、何やらいろいろなビジョンをあげていますが、本当に面白くなるのか心配です。
 FMW女子はシャーク土屋の契約破棄通告で、存続の危機が伝えられましたが、何と前泊が中山に共闘をアピールするという新たな展開を見せました。土屋はLLPWに登場しました。
 そんな感じで、女子はますます混沌としてきました。すべてが横一戦。しかも複雑に混じり合って、これからどうなって行くのか予想もつきません。
 話しは変わりますが、蝶野を中心に新日の契約更改の話題が紙面を賑わせています。プロ野球などでもそうですが、スポーツ選手がお金のことをどうこういう所はあまり表に出して欲しくないと思いますが、プロレスの場合は、リングの中での純粋な戦いにこだわるという考え方と、リング外の因縁だとかそういうものも含めた闘いという考え方があります。私の場合は後者なので、蝶野にはどんどんやりたい放題にやって欲しいと 思います。それにレスラーの契約更改が、プロ野球のように新聞で報道されるというのは、何か嬉しい様な気もします。