増刊号 クエンティン選手がやって来た!


 このホームページを見て、海外のプロレスファンからもメールをいただきます。TWCの海外拠点も、オーストリア、アメリカ、スペインが設立されました。そうして知り合ったアメリカのプロレスファンが日本にやって来てしまうという事件がありました。そのため、私もとても貴重な体験をしたので、みなさんにも紹介します。
 1通のメールが来たのは今年の初めでした。「自分はレスラーになりたい。日本には優れたトレーニングジムがあると聞いている。アニマル浜口ジムの連絡先を教えて欲しい」という内容でした。送り主はTWC  U.S.A.のクエンティン選手でした。彼にはマンデーナイトロのビデオを送ってもらったり、WCWの試合をレポートしてもらったりしていたので、とりあえず協力しようと思い、浜口ジムの住所と電話を調べてメールしました。
 3ケ月後、日本にトレーニングに行くことが決まったというメールが来ました。そのときは、おいおい本当かよという感じでしたが、その後、何回かメールが来て、話は徐々に具体的になっていきました。5月頃、「6月2日の飛行機で行く。空港まで迎えに来てもらえるだろうか?まだ住む所が決まらないので不動産屋を紹介してくれ」というメールが来て、こいつはいよいよ本気だなと思いました。
 浜口ジムは浅草なので、浅草の知人に不動産屋を調べてもらって、連絡先をメールしました。間に入って手続きなどすると仲介料を立て替えたりしなければならないかと思い、メールでしか知らない人とお金の貸し借りはしたくないと思ったので、それに、敷金だの礼金だのなんて難しいことを英語で伝える自信がなかったので、連絡先を教えるだけにしておきました。
 彼からは「ありがとう。当たってみる」という返事が来ましたし、浅草の知人が不動産屋と交渉してくれて、借りられそうな物件が見つかりました。それでひとまず安心していたのですが・・・。
 いよいよ彼が来日するという3日ほど前、不動産屋から、やはり外人にはちょっと貸せないという知らせが入りました。そんなこと言ったって、彼はもう来てしまうんだよという感じで、あわてて別の物件を捜してもらい、すったもんだのあげく、日本人が間に入ってくれて、家賃を払ってくれるのなら貸しましょうというのが見つかりました。もう乗りかかった船なので、プロレスファンに悪いやつはいないという信念に基づいて、契約することにしました。敷金、礼金、仲介料、先払いの家賃など何十万円も立て替えるハメになってしまいました。(結局、お金は全て返却してもらい、金銭トラブルは起きませんでした。やはり、プロレスファンに悪いやつはいない!)
 しかし、たかが外人一人でこうもすったもんだするようじゃ、日本という国はだめだなと、彼のアパート探しでつくずく感じました。
 さて、彼と空港で会うために、特徴とか目印はないか?と尋ねたところ、アイ・アム・アフリカン・アメリカンという返事が来ていたので、どんなごっつい野郎が現れるかと思っていましたが、遂に姿を現したクエンティン選手は、身長170センチくらい、想像していたようなごっつい男ではなく、眼鏡などかけて、知的な風貌さえ漂うナイスガイでした。アメリカ人にしては小柄な部類に入るだろうし、黒人にしてはきゃしゃな部類に入ると思います。
 彼いわく、日本にはライガーやサスケなど、自分のように小さくても素晴らしいレスラーがいるので、日本でトレーニングすれば、レスラーになれると思ったそうです。それにしても、私がバタバタと走り回らなければ、住む所さえ見つからなかったはずなのに、観光ビザでは3ケ月しかいられないのに、日本語はまったく離せないのに通訳のバイトをしようと考えていたなど、かなり無茶をする人です。
 私もプロレスファンでは生活していけるはずもなく、仕方なくサラリーマンもやっていますから、かなり負荷は高かったですが、出来る限りは彼のマンションを訪問して、辞書を片手に片言の英語でアドバイスしたり、彼をサポートすることで、いろいろと貴重な体験をしました。
 浜口ジムにも行きました。狭い会談を上がって行くと、そこにいきなりアニマル浜口と京子ちゃん親子がいました。アニマル浜口とは少し会話もしてしまいました。明日の大谷、小島を夢見る、若い練習生も何人かいました。
 彼は井上京子のファンだったので、一緒にネオレディースも観にいきました。隅田川の花火大会を見たことや、カラオケに行ったことも楽しい思いでとなりました。
 9月2日、ノースウエスト航空のストライキで一騒動あったものの、クエンティン選手は無事アメリカに帰国しました。3ケ月前よりだいぶ体もたくましくなった気がします。寂しい気持ちと、ホッとした気持ちが半々というのが正直なところです。もっと英語が話せればと思いました。
 彼はアメリカでトレーニングを続け、体を作って、来年の夏、もう一度来日する予定です。一人でちゃんと トレーニングを続けられるのか、少し心配です。タッパがないことと、27歳と若くはないことで、レスラー への道は厳しいとは思います。でも見知らぬ日本に単身乗り込んで来る根性の持ち主ですから、きっと頑張ってくれると思います。来年の夏にまた会いたいと思います。
 彼のサポートに協力して下さったみなさん、ありがとうございました。それから、そんな彼に励ましのメールを出してあげて下さい。(全選手紹介のページからメールできます)
Vol.34 誰がリングに上がるのか

 FMWの荒井社長、Fの旗揚げ当時から知る者にとっては、リングアナウンサーとしての方が馴染みが深い でしょう。旗揚げ間もなく、給料ももらえないのにFを支えてきた人です。プロレスラーではないけれど、Fのファンにとっては、とても重要な人物です。だからといって、プロレスの試合をしてしまって、いいものでしょうか?
 私は疑問に感じますが、この日の後楽園ホールは超満員札止め。観客のお目当ては、大仁田軍に荒井社長が 加わったチームと冬木軍に伊藤豪マネが加わったチームの8人タッグマッチであることは間違いありません。 荒井社長に対するコール、試合中の盛り上がり、私はその場にいなかったのですが、この日、後楽園に行った 人たち、そして大方のファンは、荒井社長や伊藤豪マネがリングに上がることに肯定的なのでしょう。
 この試合には、もう一人、私がリングに上がるのを否定している人物がいます。大仁田厚です。復帰戦を行ったときは、あれほどブーイングが飛んでいたというのに、いつの間にやら、歓迎ムードになっています。 試合後、次のシリーズには全戦参戦することをぶちあげました。まあ、大仁田のことは、これまで何度かふれているので、もう書きません。
 アメリカ・マットでは、エリック・ビショップ氏や、ニュース・キャスターが試合をしたり、女子マネージャーが試合に乱入するなんていうのは日常茶飯事です。バスケットボールやアメフトの選手が登場するのはプロのスポーツ選手だから、まだしもとは思いますが・・・。  日本でも他に、あの新間寿がプロレスラーと戦ってしまうなんてこともありました。そもそもFULLという、プロレスファンの夢をぶち壊した団体が復活して、それを観に行くファンがいるというのも、私には信じられないことです。新間がリングに上がるなんて言語道断です。
 女子プロOG戦というのもありました。大盛況だったようです。プロ野球でもOB戦というものは行われて おり、この辺は微妙なところです。以前の女子プロは、男である自分が立ち入れるような雰囲気はなかったため、OGたちにあまり思い入れはありませんが、彼女たちの生を知るファンの人たちは、今回のリング復帰を どのように思ったのでしょうか?
 プロレスのエンターテイメント性を否定するつもりはありませんが、やはり、素人をリングに上げるのは反対です。デスマッチとか凶器の使用などもそうですが、越えてはいけない一線というものがあると思います。 これだけ団体が乱立すると、独自性を出すためにやり過ぎが見受けられるような気がします。そしてファンもそれを受け入れてしまっているような気がします。ちょっと違うのではないかと思う今日この頃です。
 さて、ネオレディースのリングにもとんでもないやつが登場しました。ボディービルの全米チャンピオンで ECWの女マネージャーである、怪女ニコル・バス。確かにその鍛え抜かれた肉体は恐るべしでしたが、試合自体は本当にお粗末でした。まさか京子までもが、あっさり敗れ去ってしまうとは・・・。彼女は一応、レスラーとしてデビューということになっていましたから、素人ではありませんけどね。