Vol.35 ムエタイ観戦記&全日、新日の新時代


 9月5日から5日間の日程でムエタイ・ツアーに行って来ました。バンコクは物価も安くて、食べ物もおいしくて、なかなかいいところでした。ムエタイ以外にも見所はありましたが、ここではムエタイに限ってお話ししたいと思います。
 ルンピニとラチャダムノンという2つのスタジアムがあります。どちらかの会場で毎日試合が行われています。当然、両方の会場に行きました。どちらも後楽園ホールくらいの大きさで、ほぼ満員になっています。試合は全部で10試合くらい、8試合目くらいがメインで、メイン後に2試合ほどあります。これはプロレスとは違う形態です。メインが終わると半数くらいが帰ってしまいます。
 試合は3分5R休憩2分です。ほとんどが判定決着になります。派手なKOシーンを期待していると、肩すかしをくらいます。首相撲といわれるヒザ蹴りの攻防が主体です。それでも1度だけハイキック1発でKOという場面がありましたが、これはさすがにど迫力でした。
 ムエタイといえば賭けがつきものですが、判定が多いのは賭けを成立させるためという要素が強いようです。地元の人はお金を賭けているので騒然とした雰囲気になります。試合内容よりも、むしろあの騒然とした雰囲気を味わうという気持ちで行った方がいいでしょう。あの雰囲気は今のプロレス会場にはないもので、体験する価値は十分です。
 ムエタイの話しはこれくらいにして、プロレス界のメジャー2団体にも大きな変化が起きています。全日本では、小橋が3冠王者となり、エースとのコンビを解消。小橋&秋山組、そして三沢&小川組が誕生しました。確かに全日の試合はレベルが高いですが、だからこそ逆に新しいメンバーが入りにくいという面があり、 四天王と秋山、何人かの常連外人というメンバーで、カード編成もいささか行き詰まりの感がありました。
 9月12日の武道館大会では、小橋が田上を破り、三冠王座を防衛。三沢の新パートナーとして俄然注目を集めた小川は秋山とシングルで対戦し、好勝負を展開しました。早くもタッグチーム変更による新たな流れが生まれています。
 次回の武道館では、小橋対三沢の三冠戦が決定しました。少し早すぎる気もしますが、今後の全日本を占う上でとても重要な試合になるでしょう。そして続く年末の最強タッグも今年は新鮮なチームが揃いそうで楽しみです。意図的に沈黙を守っているように見える川田の動向も気になります。大森、多聞、泉田にも奮起して欲しいところです。
 さて、新日本の方では、蝶野が藤波に勝利し、初のIWGPヘビー級王座を手にしました。名実ともに新日のトップに立ったわけです。さてこれからどうなるかというときに、負傷による長期欠場が発表されました。 トップに立った蝶野がこれからどんなことをしていくか楽しみにしていたので、とても残念です。
 9月23日の横浜アリーナ大会では、その蝶野の代打として、凱旋帰国したばかりの永田が抜擢され、ノートンと王座決定戦を行いました。さすがにノートンが強さを見せつけ、新王者となりました。とりあえずは、誰がノートンに挑戦するのか、誰が王座を奪回するのかというのが焦点となります。蝶野が長期欠場という事態で、橋本と武藤の一騎打ちが同じ日に行われました。正直言って名勝負とは呼べない試合でした。この日の勝利とG1の優勝で、次期挑戦者には橋本が一歩リードというところでしょうか。その前に橋本対蝶野も組んで欲しい気がします。