Vol.36 格闘技月間を振り返る


 10月は格闘技系のイベントが相次ぎました。まずは10日に「L−1」がありました。神取がグンダレンコに雪辱を果たし、その他の女子プロレスラーも、相手の実力には?がつくものの、全員圧勝し、プロレスファンとっては久しぶりに幸せな結果でした。
 私は女子の格闘技はあまり好きではないので、会場には行きませんでした。決して女子を馬鹿にしているわけではありません。むしろ男が女に勝てるのは体力的な強さだけという気がするので、体力の強さが前面に出る格闘技戦で、男が女子に強さを求めてどうするんだという思いがあります。女子には男子にない女子だけの魅力もあるわけですから、私はそういうものを観たいと思います。
 しかし、何はともあれプロレス圧勝というのはいいニュースでしたが、その喜びは一日しか持ちませんでした。L−1の翌日、11日には高田対ヒクソンの再戦が行われました。この一戦には、最初はまったく興味が 持てませんでした。観に行くつもりはありませんでした。高田がまた負けると思ったからではなく、例え勝ったところで1勝1敗になるだけで、前回の負けが帳消しになるわけではない。どちらも強かった。めでたし、めでたしで終わると思ったからです。しかし、その日が近づくにつれ、やっぱり頑張って欲しい。今度はきっとやってくれるという思いが強くなり、結局、当日券を買って、東京ドームに行ってしまいました。
 結果はご存じの通り、本当に、やっぱり行くんじゃなかったと後悔しました。去年とまったく同じパターンで、あっさりギブアップというのが情けないです。プロレスファンが、去年より頑張ったとか、負けると思っていたとかいうことも情けないです。さらに高田の「何度でも戦いたい」というコメントはもう情けないどころか、あきれかえってしまいます。そんな悠長なことを言っているようでは何度やっても勝てないでしょう。 自分が負けることの重大さをまったく分かっていないとしか思えません。ギブアップするくらいの根性しかないのなら、リングに上がって欲しくありません。本当は2度目もないはずでした。3度目なんてもっとありません。高田はもういいです。他のレスラーが名乗りを挙げないのも情けないです。
 アレクサンダー大塚がマルコ・ファスに勝ったのが唯一の微かな希望の光でしたが、そのマルコ・ファスに高田が弟子入りしていたというのも考えてみれば情けない話しです。私が観た限りでは、ヒクソンの強さは他のバリトゥードの選手と比べてもずば抜けています。あの柔軟さと、スピードは驚異です。他の選手に勝っても何の意味もありません。ヒクソンを倒さないことにはどうにもなりません。プロレスとバリトゥードは別のものという考え方も分かりますが、こんな情けない状態になってしまった以上、レスラーがバリトゥードでヒクソンを倒すしかないじゃないですか。誰か何とかしてくれよ。
 24日には猪木率いるUFOの旗揚げ戦が行われました。UFOが掲げるのは格闘芸術です。闘いを追求しながら、芸術性も追求するというもので、これは確かに理想です。猪木が身をもってやってきたことです。最近のプロレスから薄れつつあるものです。しかし、そう簡単に出来るものではありません。
 UFOは格闘色を出しつつ、小川のフライ襲撃とか、カシン、藤田の引き抜き発言とか、プロレス的なエッセンスも散りばめられています。でも、あまりいい印象を与えているとは思えません。さらにエースの小川の評価はうなぎ下がりで、今や期待感はゼロです。
 さて、試合の方はというと、まずルールが不明確なのが最大の欠点だと思います。佐山が試行錯誤してルールを発表しましたが、猪木はルールなどいらないと主張し、試合の前からはっきりしませんでした。結局この日の試合はキックルールの1試合を除いて、ノールール時間無制限1本勝負となりました。バリトゥードの大会のように膠着状態がなく、展開が早いのは良かったです。前半の試合は面白かったと思います。しかし、後半戦になると、戦意喪失による負け、ノーコンテストと消化不良の試合が続き、メインでは小川がフライに裸締めで勝ったものの、レフェリーストップとなったフライはまったく元気で、すぐに立ち上がり、小川に殴りかかるとリング下に蹴散らしていまいました。小川はかなりダメージが残っているようで、フラフラとリング下を歩くだけで、どちらが勝者か分かりませんでした。
 こんな試合をしていたのでは前途多難です。ニュースターも出て来なかったし、今後の展開も見えてきません。小川にはもっと頑張って欲しいものです。