Vol.40 全日、新日の今後


 2月は全日と新日、両メジャー団体に大きな動きがありました。そして、ともにドーム大会を控えていることもあり、2月13日の全日後楽園大会、2月14日の新日武道館大会は、両団体の今後の方向性を占うような大会になりました。
 2月13日後楽園ホールの全日ファン感謝デーは、馬場さん逝去後の初興行となりました。予想はされましたが、通路にも人があふれる程の大入りでした。グッズ売り場で、いつも馬場さんが座っていたところに、いつもの椅子があり、そこに馬場さんの写真が立てかけてあったのが、何ともいえない光景でした。試合前、百田から、馬場さんのお別れ会が4月17日に武道館で行われること、5.2東京ドーム大会が「ジャイアント馬場引退記念興行」に決まったことが表されましが、それ以外は、いつもとまったく変わらない興行でした。選手は、しめっぽくならないように、努めて普段通りに振る舞っていたように思います。ファンもそれを暖かく見守っていたと思います。ラッシャーのマイクでも馬場さんには触れず、「これからも全日本をよろしくお願いします」という内容でした。もちろん全日本コールが起こりました。
 全日本は5.2ドームに向けて、馬場さんの追悼という形で進んでいくでしょう。まだカードは決まっていませんが、馬場さんの追悼ということが大きな柱になります。引退記念というネーミングは何とも考えたものです。
 今まであまりにも大きな存在だった馬場さんが急にいなくなり、試合以外の部分で三沢に負担が大きくなって、レスラーとしての三沢にはきつい状況なのではないかというのが、少し不安ですが、この日の試合を見た限りでは、全日本のレスラーたちは、馬場さんが作り上げた「明るく、楽しく、激しいプロレス」を充分に引き継いでいってくれると思います。
 対して、新日本は、恒例の札幌2連戦で蝶野が4ケ月振りに復帰しました。そして2月15日に武道館でシリーズ最終戦が行われました。新日は、ドーム以外にはあまり力を入れていないのではないかと思えるくらい、後楽園や、武道館、両国クラスの興行というのは、カードもイマイチだったし、観客動員、盛り上がりもイマイチでした。
 今回は、IWGPヘビー級戦、復帰後した蝶野の都内初登場、マサ・サイトーの引退試合、ドン・フライ、大仁田の登場と、ラインナップも豪華で、内容も充実しており、久し振りに満足出来る内容でした。観衆も掛け値なしの満員でした。チャンピオン武藤のファイトスタイルは、前回の王者時代もそうでしたが、私はとても気に入っています。序盤はグラウンドでじっくりと責め、後半はダイナミックに展開し、責めは一点集中で、理にかなっているし、受けるところは受け、決める時にはきっちりと決める。これぞプロレスリングという感じです。それでも、序盤のグランウンドの時に「いつまでグラウンドやってるんだ」などと野次を飛ばす低レベルな観客がいたのが残念です。メインの武藤対健介戦は間違いなくいい試合でした。マサさんの引退も感動的でした。
 しかし、復帰した蝶野はAKIRA、nWoスティングと組み、天山、小島、ヒロと対戦しましたがnWoジャパンとの関係ははっきりしません。大仁田も「IWGP王者と電流爆破」を訴えましたが、それに対する答えもまだ出ていません。天龍、藤波も何となくくすぶっているという感じです。フライは出場しているものの、橋本とUFOの問題もあります。
 今後の展開が見えてきません。新日は全日と違って、ドラマを展開していく形なので、今はまだ予告編の段階なのかもしれません。はっきり言って、1.4ドームは最低の興行でした。4.10ドームに向けて、最高のドラマを展開してくれることを期待します。