Vol.42 新日ドーム&馬場さんお別れ会


 4月10日、新日ドーム大会に行って来ました。注目は何と言っても蝶野VS大仁田の電流爆破だったわけで、それがあの結末でしたから、興行的にも大いに不満が残りました。1月4日のドームは大失敗でした。橋本VS小川、健介VS大仁田が不透明決着だったからで、新日内部でも、4月10日のドームは自粛するべきという意見もあったと聞きます。それを敢えてやったにしては、はっきり言ってあの結末では納得がいきません。茶番劇もいいところです。第0試合にした意味が分かりました。大仁田と電流爆破は客を集めるために必要。でも、内容については責任を持ちません。その後の新日本来の試合で満足して下さいということです。うまいやり方というより、汚いやり方だと思います。
 ドームでの興行は熱心なプロレスファンだけでなく、一般の観客も動員しなければ成り立ちません。ドーム興行に関しては、新日のノウハウは一級品でしょう。そしてプロレス界の活性化のためには新日のドーム大会が必要です。しかし、あんな茶番劇を演じてまで、ドームで興行をやる必要があるのか、疑問に思います。実際、今回のドームは、超満員とは言っていますが、いつもより入りは少なかったように思います。電流爆破しか興味のない人もいたようです。
 蝶野VS大仁田には、メジャーVSインディー、ストロングスタイルVS邪道の潰し合いなどというものは一切ありませんでした。新日は大仁田をいいように利用しただけであり、大仁田にもメジャーを潰すなどという気はさらさらなくて、甘んじて利用されているだけでした。あまりにみえみえなので、はっきり言いますが、引き分けという筋書きにしたことは、大仁田に敬意を表したのか、まだしばらく利用してやろうと思ったのか知りませんが、ある意味では大仁田を認めたということであり、新日の負けといえるでしょう。
 この試合に関しては、もう一つの見方があります。まだ長州VS大仁田のプロローグであるという見方です。私は、最終的には長州VS大仁田が実現すると見ています。そうなると、いろいろ語りたいこともあるのですが、あくまでも予想なので、今の時点では何も言いません。
 蝶野はよく戦ったと思います。結果にこだわらないというのが不満ではありますが、こんな試合で結果にこだわる必要はないというのが、逆に蝶野なりのこだわりであったのかもしれません。その感覚は理解出来ます。「花火が怖いのか」の挑発に対して、堂々と未体験の電流爆破のリングに立ったことは、素直に立派だと思うし、初めてにしては驚くほど電流爆破の戦い方を理解して、うまく戦っていました。さすがにいいセンスをしています。大仁田が真鍋アナを巻き込んで大仁田劇場を演じれば、ノーTVを主張し、有刺鉄線リングに対しては、おかしなところがあれば軍用ジープでぶっ潰すと言い、煙草と灰皿騒動には、葉巻をくわえて登場するといった具合で、大仁田の土俵であるパフォーマンス合戦でも、まったく引けを取りませんでした。そして極めつけは「パーティーは終わりだ」の一言です。この一言で、大仁田が命がけでこだわってきた電流爆破をあっさりと余興扱いにしてしまいました。
 大仁田に皮ジャンをかけてやったり、ドン・フライとも親しげにするなど、策士振りも発揮して、ドームの主役になりました。蝶野と大仁田の個人的な戦いとしては、完全に蝶野の勝ちでした。
 さて、もう一方の主役である武藤は、メインでドン・フライとIWGP選手権を行いました。蝶野VS大仁田と試合内容で比較されることは明らかで、それがああいう結果になり、興行をいい形で締めなければならないという状況で、フライというのは非常に難しい相手だったと思いますが、とてもいい試合になりました。第0試合のもやもやは多少解消されました。ドロップキックからムーンサルトの奇襲は、武藤の天才たるゆえんでしょう。見事な攻撃でした。その後も素晴らしい攻防で、好試合になりました。
 個人的には、無理にドームで派手なことをやるよりも、武道館あたりでこうしたいい試合を見せてくれればいいのにと思います。
 話しは変わりますが、4月17日には、馬場さんのお別れの会に行って来ました。大勢のプロレスファンが集まっていて、改めて馬場さんの偉大さを感じました。でも、まだ馬場さんがいないということが信じられないような気持ちです。全日の選手も喪服を着て、出口の所に立っていました。前日までチャンピオン・カーニバルで激しい戦いをしていたのに、たぶん一日中ああして立っていたのだと思います。新日と違って、すごく誠実さを感じました。