増刊号 G1 CLIMAX’99
今年もG1の季節がやって来ました。今年で9年目になりますが、毎年この時期になると私の関心事はG1一色となってしまいます。正直言って、近年のG1は、結果的には期待したほどのものはないのですが、第1回目の感動が忘れられず、両国国技館に駆けつけてしまうわけです。
第1回のG1といえば、当時、闘魂三銃士と呼ばれ、売り出し中だった武藤、橋本、蝶野の3人が、藤波・長州の2大エースを打ち破り、決勝戦の舞台を独占し、中でも最も注目されていなかった蝶野が優勝した大会です。今にして思えば、まさに時代が変わる歴史的瞬間を生で体験したわけですから、あれだけの感
動があったわけです。特に私は、猪木の体力が衰え、興行敵にも、試合内容でもドン底だった頃の新日を知っています。せっかくプロレスを観に行ったのに、悲しい思いで会場を後にしたこともしばしばでした。友達はUWFに走りましたが、私は新日を応援し続けました。
その頃、前座で頑張っていたのが武藤、橋本、蝶野なのです。もちろん3人とも黒のショートタイツをはいていました。蝶野はパンチパーマでした。暗い気分になる中で、彼らがほのかな希望の光でした。
あの時の若造がメインイベントでこんないい試合をするようになったのかという、驚きと感動。藤波、長州が敗れたという少しの悲しみはあったものの、あれほど感動的な大会は他にありません。
そしてもう一つ、G1にインパクトがあったのは、前述の日本人5人に加え、ベイダー、ノートン、ビガロの外人3強という、当時の新日で紛れも無くトップの8人が総当たりのリーグ戦を行うというのが画期的でした。
その後、G1は残念ながら、徐々に色褪せていくわけですが、まずトーナメントという方式を採用したことが間違いだと思います。それから、とてもトップとは思えないような選手にまで参加枠を広げたことも間違いだと思います。何といってもG1はトップレスラー同士の総当たりに限ります。
第2回以降のG1は最大で7連戦まで拡大しました。その後は縮少傾向となり、最近は両国3連戦が定番になっていました。今年のG1は大阪で2戦、1日休みがあって両国で3戦というスケジュールです。試合形式は10選手が2ブロックに別れての総当たりリーグ戦です。
日程も形式もベストに近い形かなと思います。3日間だけで総当たりのリーグ戦というのは無理がある気がしますし、かつてあった両国7連戦も明らかに無謀でした。5日間という日程は妥当なところでしょう。両国だけで5連戦というのは興行的に厳しいだろうし、大阪で2試合というのもいいことだと思います。
コンセプトが日本人最強を決めるということなので、出場選手は日本人、それも純粋に新日本所属の選手です。メンバー的にも妥当なところでしょう。当然、参加しないものと思っていた藤波が出場するのは大歓迎です。ほぼ新日のベスト12のメンバーが出そろったと思います。安田だけが抜擢という感じですが、優勝戦線に割り込むのは無理としても、一発くらいは大物食いをやらかすと思います。たぶん安田に負けた選手がわずかのところで優勝戦進出を逃すなんてケースが出てくるのではないかと思います。
テレビ生中継が決定したというのも明るい話題です。明らかにG1をもじったK−1の方が、世間的には知名度を得ています。G1を世に知らしめるチャンスです。いい試合をしてくれることを期待します。
気がつけば、武藤、橋本、蝶野、健介の世代にも、天山、小島、中西、永田の新世代の足音が聞こえてくるようになりました。今年とまではいかなくても、近い将来、G1の舞台で世代交代のドラマが再現されるかもしれません。天山らの新世代には、武藤たちの世代に対するほどの思い入れがない私ですので、もう第1回ほどの感動は味わえないかもしれません。それでも私はあの感動の再現を求めて今年も両国に行きます。