増刊号 10.11新日ドーム観戦記


 今年2回のドーム大会そして神宮大会と新日のビッグマッチは大ハズレの連続でした。特に神宮大会は最低で、ファンもだいぶ離れたと思います。今年3度目のドーム大会は空席がかなり目立ちました。長年、新日派だった私も、さすがに愛想が尽きかけていましたが、大仁田が出場しないこと、橋本対小川の再戦が決まったことで、もう一度期待してみようと思い、東京ドームに行って来ました。
 最近の新日本は大仁田を利用して商売をしていただけで、メジャーとインディーの意地を賭けた闘いなどというものはまったくありませんでした。猿芝居でファンの気を引いてビッグマッチを乱発していただけです。 ギミックとか因縁とかいうプロレスの要素を否定するつもりはありません。そうした魅せる部分もプロレスの大きな魅力だと思っています。しかし、それは根本に闘いがあって、それを盛り上げるためのものであるから面白いのだと思います。
 猪木が小川を使ってやっていることは、そうした本当の闘いというものを忘れてしまった新日本に対する問いかけだと思います。今回、新日本が大仁田を排除し、小川をリングに上げたことは私にとっては大歓迎の流れでした。
 さて、まずその橋本対小川戦ですが、結果は小川がSTO、パンチ、キックを雨のように浴びせ、橋本が立ち上がれなくなり、TKO勝ち。小川の完勝でした。橋本がリベンジすると予想していたし、期待もしていたので意外な結果でしたが、久しぶりにワクワクするような闘いでしたし、小川の方が橋本より強いというのがはっきり分かる試合でしたから、それはそれで良かったです。ただ、橋本が倒れているのに、藤波レフリーはダウンカウントを数えず、最後は猪木が割って入ったこともあり、すぐに小川のTKO勝ちとはっきりアナウンスしたから良かったものの、一歩間違えば不透明決着になるところでした。前回の不透明決着もレフェリングの悪さが大きな要因になっています。レフェリングは本当にしっかりやってもらいたいと思います。
 橋本が「闘魂伝承」のガウンを着て入場したこと、最後にマイクで「猪木さんありがとうございました」と叫んだことにどんな意味があるのか。次なる展開への謎かけでした。
 メインからセミに格下げされた武藤対中西のIWGP戦でしたが、武藤の試合内容で勝負するという言葉通り、素晴らしい試合でした。プロレスの魅力をたっぷりと見せてくれました。今年の武藤は大一番では必ず名勝負を展開し、王者として本当に素晴らしい働きをしてくれました。
 健介対天龍も真向勝負のいい試合でした。逆水平チョップ合戦で健介が押していたあたりでは、さすがの天龍ももう年かなと思いましたが、最後は健介の決め技であるノーザンライトボムを逆に決めて勝ったところなどさすが天龍でした。役者が上という感じです。藤波も含めて昭和世代のレスラーにもまだまだ頑張ってもらいたいと思います。
 キモは期待通り、十字架を背負って入場しました。あのキャラクターはプロレス向きです。今後もどんどんプロレスのリングに上がってもらいたいと思います。マウント・パンチからスリーパーで敗れた永田はあまりにも無策でした。
 全体的にドームとしては寂しいカードでしたが、内容的には満足出来ました。無理に話題を作って観客を集めるよりも新日本らしい試合を見せてくれた方が私としては嬉しいです。大仁田ファンがいないからか、会場の雰囲気も神宮より数段良かったと思います。今回の内容次第では新日ファンを辞めようかと思っていましたが、今回のような興行をやってくれるなら、これからも応援します。
 しかし、これで最近蓄積された新日への不信感が完全に取り払われたかというと、残念ながらそうではありません。私には、新日本が「さすがに神宮はまずかったから、今回はとりあえず大仁田は1回休みでストロングスタイルで行こう」と考えているように思えてなりません。来年1.4のドームは長州対大仁田をやるだろうというのが私の予想です。そんなものは絶対に許せないと思っています。
 私に共感してくれる方もいるでしょう。違う考え方の人もいるでしょう。どちらが正しいとも言えません。でも、私はプロレスに本当の闘いを見たいと思いますし、新日本にはそういう試合を期待します。
Vol.47 ファン思いの全日本、PRIDE6、そして新日本は・・・

 9月は夏休みの海外旅行のため1週間、日本を留守にしましたが、その間にプロレス界にはいろいろなことがあったようです。
 全日本のファン感謝デーはファンによる抽選で全カードが決定するという斬新な企画で、チケットは発売開始1、2時間で売り切れるという人気振りでした。百田、永源がメインに登場するという結果になり、大いに盛り上がりました。
 ファン感謝デーの前には武道館で5大シングルが行われました。三冠戦にとらわれず、ファンの見たいカードを提供していくという三沢の方針でしたが、もう一つ新たな試みとして試合順はファン投票によって決められました。試合順は当日の試合の時に発表され、入場のコール時にファンがドッと沸きました。ファンが選んだメインは意外にも秋山対大森でした。着実に新たな時代が迫って来ているようです。
 本当に全日本はファンに対して誠実な団体です。全日の会場は居心地の良い空気で満たされています。開始時間はきっちりと守り、進行もスムースで試合を観ることに集中出来ます。他団体も見習って欲しいものです。
 高田はもういいやと思いつつも、日本を離れる前に気になっていたのが「PRIDE6」です。アレクと高田のプロレスラー対決がメインを取り、桜庭がモンゴリアン・チョップを出すなどプロレスファンにとっては満足のいく大会になったようです。
 小川直也が「プロレスもバリトゥードも関係ない。俺にとってはすべてプロレス」と語っていますが、実に頼もしい言葉です。私はプロレスが最強の挌闘技と信じて疑いませんが、現状がそうなっていないのを非常に歯がゆく思っています。早くプロレスラーがそれを証明して欲しいものだと思います。
 さて、神宮球場で最低の興行をやり、愛想が尽きかけていた新日本ですが、私が日本を留守にしている間に大変なことがありました。猪木と小川が本当に久し振りに新日本のリングに登場し、橋本とマイクでやり合いました。猪木信者で新日ファンの私にとってはワクワクするような事件でした。
 乱入とか因縁とか、そういうリング外のドラマも私は好きです。それもプロレスの一部であると思います。しかし、それはリング内での闘いがあって、そのサイドストーリーとしてあるから面白いのです。このところの新日本はリング外での話題だけがあり、闘いがありませんでした。
 最近の新日本は大仁田を使って商売をしていただけです。そこにはメジャーとインディーの意地を賭けた闘いなど存在しませんでした。それに対するファンの不満が爆発したのが神宮大会でした。私も、10月のドームには期待しないし、その内容によっては二度と観に行かないとまで思いました。しかし、藤波が橋本対小川の再戦を決めたことは、私にとっては何とも嬉しい流れです。ドームのカードも今のところ納得出来るものになっています。大仁田の登場もなさそうです。ようやく新日本も気づいてくれたのかなと思います。
 でも、まだ新日本に対する不信感が完全に消えたわけではありません。最近の新日本に対するファンの怒りはそれほど大きなものです。それを心して、ドームでは素晴らしい試合を見せて欲しいものです。