VOL.54 完全検証 橋本vs小川全ストーリー


第1戦1997.4.12 東京ドーム
 ○小川直也(9分52秒 スリーパーホールド)橋本真也×

 元柔道世界一の小川がプロ転向宣言。明治大学の先輩である坂口が社長を務める新日本プロレスに入門するかと思われたが、猪木に弟子入りしてプロ格闘家を目指すことになった。
 橋本はIWGP王者で、闘魂伝承をテーマに掲げ、猪木イズムの後継者として認められていた。
 そんな2人の初対決は、予定されていた橋本対ウエイン・シャムロック戦が中止となり、その代替カードとして行われた。
 猪木が小川サイドに付いたことに橋本は不快感を露わにしたが、プロレスファンはこれを好意的に受け取り、また戦前は橋本の圧倒的有利が伝えられていたため、小川コールも起るなど、プロレス対柔道という雰囲気の試合ではなかった。
 試合は、橋本の蹴りに苦しんだ小川が、橋本の一瞬のスキをついてSTOからスリーパーで逆転の勝利を納めた。セコンドには佐山がつき、猪木もリングサイドで観戦した。小川はまだぽっちゃりとした体型で、動きもぎこちなく、橋本が不覚の敗戦という感じだった。
 試合後、橋本は即座にIWGPのベルトを賭けての再戦を坂口社長に直訴し、すぐに大阪ドームでの再戦が決定した。

第2戦1997.5.3 大阪ドーム
 IWGPヘビー級選手権
  ○橋本真也(10分20秒 TKO)小川直也×

 橋本は「闘魂伝承」のテーマ曲、ガウンを捨てて、小川サイドについた猪木を強く意識して試合に臨んだ。 ローキックで倒れた小川が立ち上がりかけたところに非情の顔面蹴りが炸裂し、橋本が勝利した。セコンドの佐山がタオルを投入し、TKOとなったが、試合後も小川は立ち上がれず、再戦は橋本の完勝で、1勝1敗の成績となったが、橋本強しを印象づけて、2人の闘いに終止符が打たれたかに思われた。

第3戦 1999.1.4 東京ドーム
▲小川直也(6分58秒 無効試合)橋本真也▲

 前回の対戦から1年8ケ月という長い月日が流れた。小川は橋本との2連戦後も新日のリングに上がり、サ巡業にもプロレスラーの新弟子として帯同したが、結局、新日と絶縁し、猪木が旗揚げしたUFOのエースに成長した。肉体改造に成功、柔道着も脱ぎ捨て、もう昔の面影はまったく無かった。
 新日対UFOの対抗戦として実現した3度目の対決は、小川が顔面パンチを見舞うなどの無法ファイトで橋本を圧倒。最後は倒れた橋本の顔面に小川がキックを見舞い、橋本がリング外で起き上がれなくなったところで無効試合の判定が下ったが、どちらが勝ったかは明かだった。
 この闘いぶりと「新日ファンのみなさん、目を覚まして下さい」のマイク・アピールで、小川は一躍ヒールとしての地位を確立した。試合後は両陣営が入り乱れての大乱闘となり、飯塚に殴られた村上が病院送りになるという新たな因縁も生まれた。
 橋本は再戦を希望したが、坂口社長がUFOとの絶縁を宣言。再戦への道は閉ざされたかに思われた。

第4戦 1999.10.11 東京ドーム
NWA世界ヘビー級選手権
 ○小川直也(13分10秒 TKO)橋本真也×

 坂口が会長に、藤波が社長に就任するという新日本の新人事を受けて、新たな展開が生まれた。社長就任の挨拶でも橋本対小川戦の再戦実現を目標に上げた藤波が、猪木とのホットラインで因縁の再戦を緊急決定させた。
 橋本は一時は欠場に追い込まれるなど大きなダメージを受けていたが、減量に取り組み、復帰を果たしていた。しかし、まだ完全復活にはほど遠く、自分に何の相談もなく再戦が発表されたことに不信感も持っていた。
 因縁の再戦となった4度目の対決はNWA世界ヘビー級選手権として行われ、小川はNWAチャンピオンのテーマにベルト姿で登場。その時の凄まじい形相が印象的だった。橋本は一度は脱ぎ捨てた闘魂伝承ガウンを着て入場。猪木に対する思いに変化が見られた。
 試合は、橋本の頭突き、ローキックに小川がたじろぐ場面も見られたが、最後は小川のSTOのラッシュで橋本がフラフラ状態。立会人の猪木が試合を止めた。小川のTKO勝ちが宣言されると小川コールも起こり、小川の強さが観衆にも認められた。

番外戦1 2000 2000.1.4 東京ドーム
      (2分24秒 無効試合)
  橋本真也(8分59秒      小川直也
 ○飯塚高史(裸締め       )村上一成×

 橋本は再びリベンジを希望し、猪木にも相談して肉体改造に取り組む。しかし、再戦は時期尚早ということで、村上と飯塚の因縁を絡めたタッグマッチに落ちついた。
 村上のキックに飯塚がダウン。新日のセコンドが割って入ったところで試合は大混乱となり、一度はゴングが輝だされたが、猪木が試合続行を宣言。そこから新日コンビが巻き返し、飯塚がスリーパーで村上を締め落とした。橋本も小川と渡り合い、最後はリング下で小川を捕らえ、飯塚をサポートした。橋本組の勝利で再戦への機運が高まった。

番外戦2  2000.3.11 横浜アリーナ
 天龍源一郎      (8分51秒 小川直也
○ビッグバン・ジョーンズ 片エビ固め)橋本真也×

 力道山メモリアルの総指揮を任された猪木が突如として提案したのが橋本&小川組の実現だった。相手には天龍&高田組を指定していたが、高田の辞退により、ビッグバン・ジョーンズという外人覆面レスラーが参戦した。
 会場入りする橋本を村上が襲って負傷させるというアクシデントもあり、橋本と小川のタッグは何の絡みもないまま敗れたが、納得のいかない橋本は小川との再戦に引退を賭けると宣言した。

第5戦 2000.4.7 東京ドーム
 ○小川直也(15分9秒 KO)橋本真也×

 引退を賭けて、まさに背水の陣でこの一戦に挑む橋本は、坊主頭にし、坂口と柔道特訓を行った。対する小川は猪木から「橋本を殺せ」と指令を受けているとうそぶく。飯塚と村上の因縁マッチで・・・。両者のセコンドには猪木と坂口が付き、最後の闘いの舞台は整った。
 試合では橋本がSTOを踏みとどまり、ローキックやDDTで小川を追い込む場面もあったが、最後はSTOの6連発に沈みKO負けを喫した。
 当然、橋本の引退問題が取りざたされることになるが、猪木、坂口、藤波はそろって引退の必要なしのコメントをする。小川もUFOで歓迎するという発言をする。