VOL.64 スタン・ハンセン メモリアル


 来日回数131回は断然のナンバー1。猪木、馬場から藤波、長州、鶴田、天龍に三沢、川田、小橋まで、歴代の日本人トップ・レスラーと激しい勝負を展開。25年間走り続け、2001年1月28日、ジャイアント馬場3周忌追悼興行として行われた全日の東京ドーム大会で引退セレモニーを行った。今月は、史上最強そして最も愛された外人レスラー、スタン・ハンセンのメモリアル特集です。

プロフィール

 1949年8月29日、アメリカ・テキサス州ナックシティに生まれる。ウエスト・テキサス州大学時代からアメフトの選手として活躍。71年、大学卒業後、プロ・フットボールのボルティモア・コルツに入団。72年、移籍したサンディエゴ・チャージャースを退団し、中学の教師を経て、テリー・ファンクにスカウトされプロレス転向を決意。73年、プロレスラーとしてデビュー。75年、全日プロに初来日したが、大きな活躍は見られなかった。76年、ニューヨークのMSGでブルーノ・サンマルチノとWWFヘビー級選手権を争う。77年、新日プロに初参戦し、ウエスタン・ラリアートを武器にスターダムにのし上がり、猪木とNWFヘビー級選手権を争う。81年、新日−全日の引き抜き合戦で、全日プロに移籍、世界タッグ選手権に衝撃の乱入。以後、馬場、鶴田、天龍、三沢、川田、小橋らと熱戦を展開。2000年、ヒザの負傷で引退を決意。2001年1月28日、東京ドームで引退セレモニーを行う。それを機にロード・ブレアースに代わって、PWF会長に就任。

獲得タイトル

1980年 NWFヘビー級選手権
1983年 インター・タッグ選手権(パートナー:ロン・バス)
      PWFヘビー級選手権
      世界最強タッグ決定リーグ戦優勝(パートナー:ブルーザー・ブロディ)
1984年 PWF世界タッグ選手権(パートナー:ブルーザー・ブロディ)
1985年 PWFヘビー級選手権
      世界最強タッグ決定リーグ戦優勝(パートナー:ブルーザー・ブロディ)
      AWA世界ヘビー級選手権
1986年 インターナショナル・ヘビー選手権
1987年 PWFヘビー級選手権
1988年 UNヘビー級選手権
      世界最強タッグ決定リーグ戦優勝(パートナー:テリー・ゴディ)
1989年 インターナショナル・ヘビー選手権(PWF、UNと合わせ三冠統一)
      世界タッグ選手権(パートナー:天龍源一郎)
      世界最強タッグ決定リーグ戦優勝(パートナー:天龍源一郎)
1990年 USヘビー級(NWA/WCW認定)
1991年 世界タッグ選手権(パートナー:ダニー・スパイピー)
1992年 三冠ヘビー級選手権
      チャンピオン・カーニバル優勝
1993年 チャンピオン・カーニバル優勝
      世界タッグ選手権(パートナー:テッド・デビアス)
1995年 三冠ヘビー級選手権
1996年 世界タッグ選手権(パートナー:ゲーリー・オブライト)

伝説

○必殺ウエスタン・ラリアート
 今や最も使い手の多い、ポピュラーな技となったが、もちろんハンセンのラリアートが元祖であり、真の必殺技と呼べるのはハンセンのウエスタン・ラリアートのみである。アメフトのディフェンス選手であったハンセンがブロックする方法として使っていたもので、アメフトでは禁止になったものだったが、それをプロレスに応用した。

○ブルーノ・サンマルチノの首折り事件
 必殺技のラリアートでブルーノの首を折ったかのように感じられるが、実際は、オクラホマ・スタンピートを失敗し、ブルーノの首を変な角度でマットに叩きつけたことによるもの。

○田コロ決戦
 昭和56年9月23日、田園コロシアムで行われたアンドレ・ザ・ジャイアント戦は、究極の外人対決として今や伝説となっている。

○悲運のパートナー
 ブルーザー・ブロディーを筆頭に、テリー・ゴディー、ダニー・スパイピー、テッド・デビアス、ゲーリー・オブライトなどハンセンには多数のタッグ・パートナーがいるが、ブロディ、オブライトは既に他界している。その他のパートナーとも違う道を歩むことになった。G馬場ともタッグを結成したが、馬場の病死という結末。天龍とのタッグも天龍のSWS移籍で解消された。

名勝負10番

S55.2.8 東京体育館 vsアントニオ猪木 NWFヘビー級選手権
 新日本への4度目の参戦でつかんだ3度目のNWF挑戦で、エプロンの猪木へのラリアートでリングアウト勝ちをおさめ、遂に王座を初奪取した。

S56.9.23 田園コロシアム vsアンドレ・ザ・ジャイアント
 伝説として語り継がれるアンヂレとのド迫力超ヘビー級外人対決。アンドレを見事にボディースラムで投げきった。両者リングアウトの後、延長戦でアンドレの反則負けとなった。

S58.9.8 千葉公園体育館 vsジャイアント馬場 PWFヘビー級選手権
 全日に登場し、馬場と3度の対戦があったが、反則、両リンで決着は着いていなかった。4度目の対戦でラリアートからハンセンが初のフォールを奪い、PWF王座を初奪取した。

S60.5.13 大阪城ホール vs長州力
 新日時代はハンセンにやられっぱなしで、そのためラリアートをマスターしてしまったほどの長州がジャパン・プロレスのエースとしてハンセンに挑んだ。場外で両者ラリアートを自爆し、両者リングアウトとなった。

S63.7.27 長野市民体育館 vs天龍源一郎 PWF&UNヘビー級選手権
 全日の三冠統一の機運が高まり、Wタイトル・マッチとして行われた。直前に盟友のブロディが遠征先のプエルトリコで刺殺されるという事件があり、燃えたハンセンが場外でのラリアートでリングアウト勝ちし、二冠を統一した。

H1.4.18 大田区体育館 vsジャンボ鶴田 PWF&UN&インター・ヘビー級選手権
 遂に実現した三冠統一戦。2日前の対戦は無効試合となって行われた再戦で、鶴田が一瞬のスキをついてエビ片めに丸め込んだ。全日の至宝、三冠ヘビー級王座が誕生した歴史的な一戦。

H3.9.4 日本武道館 vs小橋健太
 小橋は秘策のスリーパー・ホールドでハンセンを追い込んだ。最後はハンセンがラリアートで勝利し、小橋が玉砕したが、ハンセン自身も小橋の成長を認めた。

H4.4.17 愛知県体育館 vs三沢光晴 チャンピオン・カーニバル優勝戦
 三沢の徹底的な左腕殺しに大苦戦したハンセンが右のらりあーといを放つが勝負が決まらず、最後は死力の左ラリアートで勝利。チャンピオン・カーニバル初優勝を果たした。

H4.6.5 日本武道館 vs川田利明 三冠ヘビー級選手権
 両者死力を尽くした熱戦の末、ハンセンがラリアート、パワーボム、ラリアートの波状攻撃で完全勝利。試合後、川田が意識もうろうとしながら控室のハンセンを追い、握手を求めた。プロレス大賞の年間最高試合賞を受賞。

H12.10.21 愛知県体育館 vs天龍源一郎 三冠ヘビー級王座決定トーナメント準決勝
 体調不良にあえぎながら、引退を決意して臨んだ最後の大一番。天龍のダイビング・エルボーに敗れたが、全力のファイトを披露した。