VOL.84 文庫本で読む格闘技 PART3


 以前にも格闘技関連文庫本特集の第3弾です。2001年以降に刊行されたものを集めました。是非、読んで見て下さい。
「プロレスがわかるのはオレだけだ」 ターザン山本著
(ワニ文庫) 2001年2月5日初版発行 533円

 言わずと知れたターザンの本です。一人の記者に過ぎないのに、行き過ぎの独断とあまりに影響力を持ち、プロレスに関わりすぎたことが鼻についてしまい、新日からの取材拒否がもとで週プロを退社してからターザンの文章にはご無沙汰していましたが、ターザンが編集長だったころの週プロが面白く、今の週プロが面白くないのは確かな事実です。久しぶりに読んでみることにしました。相変わらず「自分は何様のつもりだ」という感はありますが、概ね彼の意見には同調できます。


「ファイヤーボール・ブルース2」 桐野夏生著
(文春文庫) 2001年8月10日初版発行 448円

 直木賞受賞の推理作家が描く女子プロレスを舞台にした小説「ファイヤーボール・ブルース」の続編です。「ファイヤーボール」は主人公の女子レスラー、火渡抄子のニックネーム。火渡を取り巻く様々な出来事を火渡の付き人で若手レスラーの近田ひさ子の視点で語ります。前作同様、女子プロレスの世界がうまく描かれていますし、前作より数段面白かったと思います。


「宮本武蔵伝説」 別冊宝島編集部編
(宝島社文庫) 2001年12月8日初版発行 600円

格闘技の本というわけではありませんが、格闘技ファンとして強さということを考える上で、史上最強と噂される宮本武蔵というのは必ず出会う文豪です。その武蔵の数々の伝説に迫る一冊です。


「プロレスvs格闘技 カリスマ大戦争」 ターザン山本著
(ワニ文庫) 2002年3月5日初版発行 552円

 タイトル通り、プロレス、K−1、PRIDEについて、元週プロ編集長ターザン山本が語ります。2001年末の猪木祭り、ミスター高橋の暴露本、リングスの解散、武藤の新日離脱など、新しい話題が満載されています。相変わらず、思い上がりは鼻につきますが、言っていることはよく分かります。


「16週 あなたといた幸せな時間」 向井亜紀著
(扶桑社文庫) 2002年2月28日初版発行 552円

 格闘技の本ではありませんが、高田延彦の奥さんでタレントの向井亜紀さんの本ということで紹介してみました。妊娠の検診で子宮ガンであることが発覚してから子宮摘出の手術に踏み切るまでの16週間の思いをつづった本です。テレビ化もされました。高田も特別寄稿しています。


「プロレス 至近距離の真実−レフェリーだけが知っている表と裏」 ミスター高橋著
(講談社プラスアルファ文庫) 2002年4月4日初版発行 840円

 プロレス暴露本の「流血の魔術 最強の演技−すべてのプロレスはショーである」が話題となり、文庫化された1998年に書かれた本です。暴露本の類は大嫌いなので「流血」は買いませんでした。たまたま知り合いから借りて読みましたが、何を言ってやがるという感じでした。この本も暴露本であれば買う気はありませんでしたが、さっと見たところ、そんな感じではなかったので、買って読みました。レフェリー、マッチメイカーそして外人係りとしてレスラーに間近で接した著者ならではの数々のエピソードが紹介され、とても面白い内容でした。


「大山倍達、世界制覇の道」 大山倍達著
(角川文庫) 2002年8月25日初版発行 438円

 昭和47年にスポーチニッポン新聞社から刊行された単行本「ケンカ空手 世界に勝つ」の文庫化。大山倍達12冊目の著書です。「世界ケンカ旅行」の続編にあたるもので若き大山倍達の世界の強豪格闘家との闘いを描いています。


「わが夫、大山倍達」 大山智弥子著
(角川文庫) 2002年8月25日初版発行 552円

 平成7年にベースボールマガジン社から刊行された著書の文庫化。大山倍達の夫人である智弥子さんが、インタビュー形式で大山倍達のプライベートなエピソードの数々を語っています。娘のグレース恵喜さん、喜久子さんのインタビュー、前田日明と智弥子夫人の対談も収められています。


「力道山がいた」 村松友視著
(朝日文庫) 2002年10月1日初版発行 860円

 ベストセラー「私、プロレスの味方です」の著者が、リアルタイムで見た力道山を描く本格的評伝。プロレスの原点を知ることができます。読みごたえ十分です。