VOL.111 文庫本で読む格闘技 PART4


 以前にも紹介した格闘技関連文庫本特集の第4弾です。2003年以降に刊行されたものを集めました。是非、読んで見て下さい。
「強く生きたい君へ」 大山倍達著
(光文社知恵の森文庫) 2004年10月15日初版発行 552円+税

 極真空手の総帥、故大山倍達氏の著書で、1976年に発行された「極真への道」を改題、再編集したものです。
 空手の技術解説、世界を巡った武勇伝を記した著者は多いですが、この本は精神面の修練を説いたものです。戦争の話しや孔子の言葉などが出て来て、少し古臭い気もしますが、興味深い内容です。


「お父さんのバックドロップ」 中島らも著
(集英社文庫) 1993年6月25日初版発行 400円+税

 最近の本ではありませんが、映画化されたこと、そして残念なことに作者の中島らもさんがお亡くなりになったことで注目を浴び、本屋に並んでいたので読んでみました。とても素晴らしいお話しでした。プロレスファンなら感動間違いなしの短編小説です。
 父親は悪役プロレスラーで、子供に馬鹿にされてしまったために、空手家との異種格闘技戦に挑むことを決意します。果たしてお父さんレスラーは子供の信頼を取り戻すことができるのでしょうか?


「グレイシー一族の真実 すべては敬愛するエリオのために」 近藤隆夫著
(文春文庫プラス) 2003年10月10日初版発行 600円+税

 スポーツジャーナリストの著者が、ヒクソン、ホイスなどへのインタビューを交え、グレイシ一族とグレイシー柔術の歴史と今を描いています。


「父・力道山 初めて明かす父の実像、父への愛」 百田光雄著
(小学館文庫) 2003年12月1日初版発行 552円+税

 力道山の実子であり、ノアの現役プロレスラーである百田光雄が父、力道山の反省をたっぷりと書いたもので、読みごたえ十分です。1983年に刊行された単行本が、力道山の没後40年を記念して文庫化されました。


「プロレス 影の仕掛人−レスラーの生かし方と殺し方」 ミスター高橋著
(講談社プラスアルファ文庫) 2004年1月20日初版発行 700円+税

 ミスター高橋の暴露本第3弾です。プロレスはマッチメイカーの立てた筋書きがすべてで、シナリオに忠実なレスラーこそがいいレスラーという強引な主張が展開され、まったく共感が持てませんでした。お前はそれほどのものだったのかという感じです。主役はあくまでもレスラーだと思います。


「流血の魔術 最強の演技−すべてのプロレスはショーである」 ミスター高橋著
(講談社プラスアルファ文庫) 2003年5月20日初版発行 680円

 物議をかもした暴露本の文庫化です。プロレスを愛しているから、プロレスの発展のために、プロレスがショーであると宣言した方がいいという考えのもとに書かれたということですが、暴露本を書いて金儲けをするような人がプロレスを愛しているとは思えません。
 かなり手前みそなところがありますし、明らかに事実でないこともありますし、内容もそんなにショッキングなものとも思えません。何でこんなものでガタガタ騒ぐのだろうという感じです。プロレスファンはプロレスを信じてもっと堂々としていればいいです。